トーションビーム式サスペンションのメリットやデメリットを徹底解説!|30プリウス(3代目プリウス)の乗り心地が他のトーションビーム採用の車種に比べて悪い理由とは?

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トーションビーム式サスペンションのメリット

ライター

「安かろう、悪かろう」と酷評されるトーションビーム式サスペンションですが、メリットもちゃんとあります。

この項目では、トーションビーム式サスペンションのメリット(長所)についてお話しました。

トーションビーム式サスペンションってどんなサスペンション?

トーションビーム式サスペンションとは、小型ハッチバック車のリヤサスペンションに採用されることが多い。左右のサスペンションをトーションバー(アクスルバー)と呼ばれる鋼製の棒でつながれた構造をしている。

昨今のスポーツカーや高級車のサスペンションの主流となっている「マルチリンク式サスペンション」や「ダブルウィッシュボーン式サスペンション」は、独立懸架式といって前後左右が独立して取り付けられている。

それらと違い、トーションビーム式サスペンションは左右がトーションバーでつながれた状態なのが、他の種類のサスペンションとの大きな違いだろう。

 

荷室の幅が広く取れる

トーションビーム式サスペンションとは、軽自動車やFF車やミニバンのリヤサスペンションに採用されるケースが多い。

その理由は、人や荷物を後部座席やラゲッジスペースに多く載せるのを前提の車にとって、後部座席やラゲッジスペースの広さは、使い勝手を左右する重要な要因だからである。

トーションビーム式サスペンションは、そのシンプルな構造から構成するパーツの数が少ないため、上下左右の突起物が少なく、結果、後部座席や荷室のスペースが大きく取れるというメリットがある。

実際にその効果を具体的に確認するための材料が、トヨタの30プリウス(3代目プリウス)と50系プリウス(4代目プリウス)と60プリウス(5代目プリウス)のラゲッジルームの大きさで比較してみるとその違いが確認できる。

室内のサイズ 30プリウス(3代目プリウス) 50プリウス(4代目プリウス) 60プリウス(5代目プリウス)
長さ(㎜) 1,905 2,110 1,840
幅(㎜) 1,470 1,490 1,500
高さ(㎜) 1,225 1,195 1,135

 

荷室(ラゲッジスペース)のサイズ 30プリウス(3代目プリウス) 50プリウス(4代目プリウス) 60プリウス(5代目プリウス)
容量(L) 446 502 410
高さ(㎜) 640 890 680
幅(㎜) 1,580 1,390 1,390
奥行(㎜) 880 715 815

上記の2つの表を見て戴ければご理解できるかと思うが、車の室内の大きさの中でも、幅は30から60へとモデルチェンジをするたびに広くなっているのがわかる。

しかし、幅が広くなっているのに、ラゲッジスペース(荷室)の幅は狭くなっているのだ。この要因は、トーションビーム式のサスペンションを採用していた30プリウス(3代目プリウス)から50プリウス(4代目プリウス)にモデルチェンジした際に、ダブルウィッシュボーン式サスペンションに移行しているからである。

ラゲッジスペース(荷室)の使い勝手の良さは、奥行きや高さよりも幅や地面からの高さで決まると言っても過言ではない。これらのことがトーションビーム式サスペンションを採用した車のメリットではないだろうか。

 

低床にできる

トーションビーム式サスペンションは、その部品数の少なさからスペースが大きくとれるため、低床にすることができる。このメリットを大いに利用できるのがハイブリッドカーなのである。

ハイブリッドカーは、ハイブリッドバッテリーを重心近くの床にマウントすることが多い。そのマウントのスペースを取りやすいのである。

 

メンテナンスが容易

トーションビーム式サスペンションは、構造そのものがとてもシンプルなことと、構成されるパーツの点数が少ないこともあって、メンテナンスがとても用意なことにある。

構成される部品が少ないと言うことは調整箇所も少なく、劣化した際に交換する部品数が少なくて済むということだ。

 

コストが安い

部品点数が少ないと言うことは、コストが抑えられるということである。

低コストで軽量コンパクトなトーションビーム式サスペンションは、軽自動車やコンパクトカー、商用車に用いられている。

 

トーションビーム式サスペンションのデメリット

ライター

トーションビーム式サスペンションには、乗り心地の悪さを含めたデメリットが多く存在するのが現状です。

では、なぜそんなに乗り心地が悪くなるのでしょうか?この項目では、乗り心地が悪くなる数々の要因などについてお話しました。

他のサスペンションに比べて乗り心地が悪い

トーションビーム式サスペンションと他の種類のサスペンションとの乗り心地の違いは、普段の平坦な道路を普通に走行しているときにはあまりわからない。でも、悪天候の際や、荒れた路面のところ、またスポーツ走行をしたときのハンドリングでその差は歴然と出てしまう。

左右のサスペンションを鋼製のトーションバー(アクスルバー)でつないだトーションビームは、どちらか片一方の車輪が段差を踏んだ際に、もう片一方の車輪にまで振動が伝わってしまう。結果、車は横方向に振動するのだ。

また、荒れた路面の場合、路面の衝撃を直に受けてしまうため、車は強い振動を起こすのだ。これは実際にトーションビーム式サスペンションを採用している車に乗った人でないと理解できないだろう。

これが、独立懸架式のマルチリンクやダブルウィッシュボーンだと、どちらか片方の車輪が段差を踏むなど、路面からの衝撃を受けても、もう片方の車輪には影響しない。サスペンションの路面追従性が良いので、乗り心地に影響しないのだ。この差は思った以上に大きいだろう。

また、脚が早く動くことが求められるスポーツ走行には向かず、構造も単純であることから、ハンドリングも乗り心地もマルチリンクやダブルウィッシュボーンなどの独立懸架には全く及ばないのである。

30プリウス(3代目プリウス)をローダウンしないほうが良い理由と併せて、”できるだけ乗り心地を損なわない30プリウスのローダウンの方法”

 

アライメントの自由度が低い

車のチューニングで不可欠なのが、足回りのチューニングである。

見た目の良さや走りやすさ、乗り心地の改善のために、トー角やキャンバー角、またキャスター角の調整は不可欠だ。これを総称して「アライメント調整」と呼ぶ。

車輪の取り付け角度が固定されているトーションビーム式サスペンションでは、これらの調整が不可能なのである。特にトー角とキャンバー角は純正状態では不可能なのだ。

 

30プリウス(3代目プリウス)のトーションビームが他の車種のトーションビーム搭載車に比べて乗り心地が悪い理由

ライター

コンパクトカーのFF車やミニバンなど、トーションビーム式サスペンションを採用している車種はたくさんあります。では、なぜ同じトーションビーム式のサスペンションを採用している30プリウス(3代目プリウス)は乗り心地が良くないのでしょうか?

この項目では、30プリウス(3代目プリウス)に乗っている僕が、その原因について試案・検証したお話をしました。

ホイールベースの違いが大きい?

トーションビームを採用している車種は実に多い。でも、その中でも30プリウス(3代目プリウス)は特に乗り心地の悪さを感じるのだ。同じトーションビームを採用しているトヨタのアクアや日産のノートオーラe-Powerだと、そこまで乗り心地の悪さは感じなかった。

これは、僕の見解であるので間違っているか正しいのかはわからないが、おそらくホイールベースの差ではないだろうか?

車種 ホイールベース(㎜)
30プリウス(3代目プリウス) 2,700
10アクア(初代アクア) 2,550
フィット(GR3)(FF車) 2,530
シビックタイプR(FK2) 2,600
スイフトスポーツ(ZC33S) 2,450

上記の表をご覧戴くと、そのホイールベースの差が一目瞭然である。

同じトーションビーム式サスペンションを採用している他の車種に比べて、30プリウス(3代目プリウス)の2,700㎜にもなるホイールベースはとても長い。

このホイールベースの長さが、リヤタイヤのどちらか片方が段差を踏んだ際の衝撃によって、前輪にてこの原理で影響すると思われる。実際に、30プリウス(3代目プリウス)を運転しているときに、後輪の片方が段差を踏んだ際に、前輪のトラクションが不足してスリップサインが出ることが多いのだ。これで何度か怖い思いをしたことがある。

僕の家は、10アクア(初代アクア)も所有している。妻が使用している車であるが、僕もたまに運転することがあるが、このような乗り心地の悪さは感じたことが無い。30プリウス(3代目プリウス)の乗り心地が悪いのは、この他の車種に比べてホイールベースが長いことが仇になっている気がしてならない。

長いホイールベースの車は、高速巡行時の安定が良い。綺麗に整備された高速道路を走るさいは疲れにくい。ただ、一旦一般道路の悪路を走る際には、長いホイールベースがマイナスに影響すると思われるのだ。

30プリウス(3代目プリウス)のリヤサスに採用されているトーションビーム式サスペンション|ダブルウィッシュボーンなど、他のサスペンションとの違いを徹底解説

 

ホンダのトーションビームが優れている理由

同じトーションビーム式サスペンションを採用しているホンダのシビックタイプR(FK2)は、ニュルブルクリンクのテストコースでFF車最高タイムを叩き出した実績がある。

理由をいろいろ調べてみたら、ホンダのトーションビーム式サスペンションの優れた構造に感心してしまった。

説明が非常にしにくいが、以下の通りだと考える。

タイヤに上下に加わる力によって、タイヤに加わる力によるモーメントがダンパーにかかってくる。それによってダンパーロッド、ロッドガイド、ピストンとダンパー内部のパーツに横方向の力が発生し、これによってフリクション(摩擦の力)が大きくなる。

フリクションが大きすぎるとダンバーがスムーズに動かないことになる。そこで、「サイドフォースキャンセルスプリング」の出番だ。

スプリングをダンパーの中心軸からずらして配置したり、スプリング自体の巻き方を工夫したりして、タイヤから加わる曲げの力と逆の方向に力をかけている。つまり、スプリングがダンパーのたわみを減らす方向に力を発生している。これでダンパーがスムーズに動くようになる。スプリングのたわみがダンパーの動きを助ける働きをしているのだ。

ホンダのサスペンションに関してよく耳にする話は、ノーマルのダンパーやスプリングを外品に換えたときに、「ノーマルの方が良かった」と言って、ノーマルのダンパーとスプリングに戻すユーザーが多いと言う。車高を下げてカッコ良くしたいと考えて安易に外品に換えないほうが良いのだろう。足回りに拘って煮詰めた仕上がりはホンダのお家芸だと思える。

トヨタのトーションビームは、ダンパーとスプリングが別の位置に取り付けられていることもあるので、このようなことができない。シビックタイプR(FK2)もダンパーとスプリングは別の位置に付いているが、それ以外に「アダプティブ・ダンパー・システム」を採用するなど、とても工夫されたサスペンションに仕上がっているのだ。

他の要因として、ルノーのメガーヌRSやFK2シビックの場合は、フロントサスペンションにダブルアクシス・ストラットサスペンションを採用しているおかげで、うまく作用しているのもあるだろう。

 

まとめ

ライター

いかがでしたでしょうか?

今回のお話は、大まかに言って、

トーションビーム式サスペンションのメリット
トーションビーム式サスペンションのデメリット
30プリウス(3代目プリウス)のトーションビームが他の車種のトーションビーム搭載車に比べて乗り心地が悪い理由

でしたね。

何だか、トーションビーム式サスペンションの弱点を多く話しましたが、車好きの僕にとって、やはり車を運転する喜びとは、外観や内装のカッコ良さよりも、エンジンや足回りの性能が大事だなと感じるのです。

同じ思いを感じている方も多いのではないでしょうか。

 

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