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ハイブリッドカーは燃費が良くて経済的だ。でも良いことばかりではないようだ。
普通のガソリン車と違って、ハイブリッドカーには厄介な要素がある。それは駆動用バッテリーを含めたハイブリッドシステムの劣化具合である。

ハイブリッドカーの寿命はどのくらい?


燃費が良くて経済的なハイブリッドカーですが、気になるのは「いつまで調子の良い状態で乗り続けられるんだろうか?」ってところではないでしょうか?
愛着がある車ならいつまでも長く乗っていたいものですが、ハイブリッドカーは普通のガソリン車のように構造がシンプルではないので、そこは心配ですね。
この項目では、気になるハイブリッドカーの寿命についてお話しました。
ハイブリッドカーの寿命は、駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命しだい
ハイブリッドカーの寿命は、結論から言ってしまうと、
ハイブリッドカーの寿命=駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命
かもしれない。
普通のガソリン車の場合、車の寿命というのは、エンジンだったりボディやその他の部位だったりするが、昨今の車はよほどでない限り、簡単に壊れたりはしない。その車の持ち主であるオーナーが乗り続けたいと思えば、20年、30年と長く乗り続けることができる。
ところが、ハイブリッドカーの場合は、普通のガソリン車と違って、駆動用のバッテリーの存在が長く車を所有して乗ろうとする場合に厄介になってくるのだ。今現在、日本国内でハイブリッドカーで使用されているニッケル水素電池がほとんどだろう。
バッテリーは長く使用していると、どうしても劣化してくるし、寿命を迎える。その後も継続してその車に乗りたいと考えると、駆動用ハイブリッドバッテリーの交換をしないといけなくなる。普通のガソリン車のようにエンジン本体をオーバーホールしたり、足回りをリフレッシュしたりという具合にはいかないのだ。
駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命
国内の各自動車メーカーによると、駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命はたいてい同じような内容を謳っている。そしてメーカーの補償の対象となるのは以下の表のとおり。
保証の対象となる年数 | 保証の対象となる走行距離 | |
トヨタ | 5年 | 100,000km |
日産 | 5年 | 100,000km |
ホンダ | 5年 | 100,000km |
三菱 | 5年 | 100,000km |
スズキ | 5年 | 100,000km |
スバル | 5年 | 100,000km |
ダイハツ | 5年 | 100,000km |
ただし、これはメーカーの保証の期間であり、駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命は、その車の使用状態や使用環境によってバラバラである。
実際は、100,000kmにも満たないその半分すぎぐらいの距離でハイブリッドシステムの警告ランプが点灯して、「寿命ですよ」という恐怖のお知らせが表示される車も存在するようだし、150,000kmを過ぎて200,000kmが目前なのに元気に走っている車もあるぐらいなのだ。
後述するが、駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命は、「そのオーナーの乗り方次第」といった要素が大きいようなのである。
補機バッテリーの寿命
ハイブリッドカーの補機バッテリーの寿命は、だいたい4~5年といったところだ。
ハイブリッドカーの補機バッテリーは、ナビゲーションやドライブレコーダー、ドアの施錠・解錠に電気を供給している。
補機バッテリーは、ハイブリッドカーの場合、普通のガソリン車と違ってエンジンを始動する際のような大きなパワーには使用されないため、普通のガソリン車よりも劣化の度合いが低い傾向にある。
普通のガソリン車のバッテリーの寿命が2~3年が目安とされているのに対して、1~2年程度長持ちするようだ。
駆動用ハイブリッドバッテリーの交換費用
駆動用ハイブリッドバッテリーをいざ新品に交換しようとすると、車種にもよるが、プリウスだとだいたい工賃込みの費用が20万円ちょっとぐらい、レクサスのLSクラスになると40万円ぐらいだろう。
近年は、新品バッテリーの他に、「リビルトバッテリー」と呼ばれる中古バッテリーを整備して使用できるようにしたリビルト品が出回っている。これだと新品の半額ぐらいの価格で交換できる。ただ、「リビルト品」なので、その品質は、新品のように保証されるものではないのが現状だから、注意するに越したことはないだろう。
補機バッテリーの交換費用
ハイブリッドカーの補機バッテリーの交換費用は、2~3万円ぐらいが相場のようだ。補機バッテリーの交換費用は、交換先にもよるが、オートバックスやイエローハットなどのカーショップでだいたい2~3万円ぐらいで、ディーラーで交換すると4万円ぐらいかかる。
ただ、メーカーやグレードによって価格はバラバラであるが、ハイブリッドカーの場合、普通のガソリン車よりも価格が高い傾向にある。
その乗り方、駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命を縮めますよ!


ハイブリッドカーの寿命は、その車を所有するオーナーの乗り方によってだいぶ変わってきます。愛着ある車なら、できるだけ良いコンディションで長く乗りたいもの。
この項目では、ハイブリッドカーの命とも言える「駆動用ハイブリッドバッテリー」の寿命を縮めてしまう危険な取り扱い方についてお話しました。
EVモードの使い過ぎ!
ハイブリッドカーには何種類かの走行モードがあり、その中でもエンジンを使用せずにモーターだけで走行できる「EVモード」と呼ばれる走行モードがある。
EVモードの正しい使い方は、早朝の住宅街など、できるだけエンジン音をさせずに静かに走行したい場合に使用するのが有効だな使い方だ。
にもかかわらず、必要以上に低燃費を追求するあまりに、EVモードを乱用している方を見かけることがあったりする。EVモードの使い過ぎは、駆動用ハイブリッドバッテリーの劣化を早める大きな原因である。
通常は、ノーマルモードを使うようにし、EVモードは必要な時に正しく使うようにしたい。
エコ運転のやりすぎ!
エコドライブのやりすぎも、駆動用ハイブリッドバッテリーの劣化を早める乗り方だ。
エコドライブを意識しすぎるあまりに、信号待ちからのスタートの際に、ものすごくゆっくりとスタートしてなかなか加速しようとせずにゆっくり走る人がいる。
後続の車にとても迷惑だし、そういう乗り方をしてエンジンを十分に回さないドライブを続けていると、インジェクター付近やEGRバルブにカーボンが堆積して、エンジンの調子も悪くなる。
僕の最寄りの修理工場にハイブリッドカーの修理が入る場合、このケースがとても多いそうだ。エンジンをきちんと回していないものだから、カーボンが堆積してしまい、逆に燃費が悪くなるのだ。
出来るだけエンジンをかけないで走るのが燃費を良くする方法ではあるが、モーターとエンジンとバランス良くドライブしてこそのエコカーなのである。
ハイブリッドカーの中古車の上手な探し方


普通のガソリン車の中古車を探すときの探すときのコツと違い、ハイブリッドカーの中古車を探すときの探し方のポイントはあるのです。やはり損をするような買い物はしたくないものです。
この項目では、失敗しないハイブリッドカーの中古車の上手な探し方についてお話しました。
ΔSOCの値を確認する
駆動用ハイブリッドバッテリーの劣化具合を知る方法として「ΔSOC」という数値がある。
ΔSOCとは、簡単に言うとハイブリッドバッテリーの電圧のバラつきを数値化したものだ。これは%であらわされており、劣化具合の確認は下の表のとおり。
20%以下 | 正常値 |
30%超 | 要注意 |
40%超 | 要交換 |
ΔSOCを計測する機器は、ハイブリッドカーを整備している整備工場やディーラーが持っている。中古車業者でも持っているところもあるので、お目当てのハイブリッドカーの中古車を見つけた場合は、商談に入る前に必ず「ΔSOC」の数値を確認するようにしたい。
年式や走行距離にこだわりすぎない!
中古車を選ぶ際の目安として、年式や走行距離はとても大事な要素の一つである。修理歴の有無や事故歴の有無、車の状態などもあるが、普通のガソリン車の場合は、年式や走行距離で中古車の価格の大が決まっていたりする。
勿論、ハイブリッドカーの中古車の場合も年式や走行距離は車を選ぶ目安としては大事な要素かもしれない。しかし、それにこだわりすぎないほうが良いような気がする。
年式が古かったり、走行距離が多くても状態の良い車は存在するし、逆もしかりである。年式・走行距離へのこだわりすぎは、本当に良い中古車探しの邪魔になるように思えるのだ。
できれば、中古車を探す際に知り合いや友人にハイブリッドカーに詳しい人がいたら、協力してもらうと良いだろう。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●ハイブリッドカーの寿命はどのくらい?
●その乗り方、駆動用ハイブリッドバッテリーの寿命を縮めますよ!
●ハイブリッドカーの中古車の上手な探し方
でしたね。
ハイブリッドカーは、駆動用バッテリーの劣化具合が車の命とも言えることはご理解戴けたでしょうか?ハイブリッドカーのことをもっと知れば、車ともうまく付き合っていけると思うので、この記事を参考にして戴けると幸いです。
ハイブリッドカーじゃなくても普通のガソリン車や軽自動車にも経年劣化というものはあります。ただ、ハイブリッドカーの場合は、少々その要素が厄介なのです。
でも、大丈夫!その特性を認識しておけば怖いものはありません。特性を知ってお気に入りのハイブリッドカーに長く乗るためにも、この記事ではハイブリッドカーの寿命についてお話しました。
今後の参考にして戴ければ幸いです。