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僕は30プリウスに乗っている。
良い車でとても気に入っているが、不満な点もいくつかある。
それは、リヤのサスペンションが少々古臭いのだ。

サスペンションの構造と役割


サスペンションは車のパーツの中でもとても重要な役割をしています。
この項目では、サスペンションの構造や役割について簡単にお話しました。
サスペンションは安全で快適な走行のための大切な役割
サスペンションは、車の足回りには欠かせない重要なパーツだ。
路面からの衝撃を吸収したり、車が安定して安全で快適に走行するために大切な役割を担っている。
また、チューニングやセッティングを施すことで、車を自分好みのスタイルや乗り味に変化させることができるのだ。
サスペンションは、大きく分けて「コイルスプリング」「ショックアブソーバー」「サスペンションアーム」の3つのパーツから成り立っている。この3つのパーツのそれぞれの役割は以下の通りだ。
コイルスプリング
コイルスプリングは、その名の通り金属の線材をらせん状に巻いたスプリングで、衝撃を吸収するクッションのような役割をする。
バネの巻き数や太さは、その車の重量などに合わせてセッティングされている。
このスプリングの太さや長さを変えることで、車高を下げたりカーブを曲がる際のロールを少なく抑えることができる。
ショックアブソーバー(ダンパー)
ショックアブソーバーは、金属でできた筒状の棒のパーツだ。
コイルスプリングは路面からの衝撃を受けると振動が発生する。その振動を抑える役割を果たすのがショックアブソーバーだ。
筒状の構造のショックアブソーバーには、粘度の高いオイルとガスが入っており、「復筒式」と「単筒式」に大別される。
コイルスプリングとのバランスの良い組み合わせにより、路面からの抵抗や衝撃によって、縮んだバネが戻ろうとする反発力を抑えて、穏やかな力に変換することでコイルスプリングの振動を抑えるという仕組みである。
サスペンションアーム
サスペンションアームは、タイヤの位置を決めたりタイヤを上下に動かして車が安定して走行するための重要な役割をしている。また、ショックアブソーバーやコイルスプリングとともに、タイヤを支えている。
サスペンションの種類


世の中に出回っているサスペンションはいくつも種類があります。
ここでは、乗用車に多く採用されているいくつかの種類のサスペンションの特性を簡単に説明しました。
一番多く出回っているストラット式サスペンション
最も出回っているスタンダードなタイプのサスペンションがストラット式サスペンションだ。
開発者の名前と取って「マクファーソンストラット」と呼ばれることも多い。ほとんどは前輪のサスペンションとして採用されている。
ストラット式サスペンションのメリット
とても造りがシンプルで、ショックアブソーバーとコイルスプリングを同じ軸上に配置しながら、一本のサスペンションアームで車輪を支持できる。また、小スペースでも配置できるので、小型車に多く採用されている。
そのため、何種かのサスペンションの中でも軽量であり、コストが安い。
ストラット式サスペンションのデメリット
造りがシンプルな反面、剛性やアライメント調整の幅は狭い。
ダブルウィッシュボーンやマルチリンクのような上級な乗り味は望めない。
スポーツカーや、高級車に採用が多いダブルウィッシュボーン式サスペンション

ダブルウィッシュボーン式サスペンションは、車のことをあまり知らない方でも名前ぐらいは聞かれたことがあるかと思う。
ダブルウィッシュボーンは、スポーツカーやレーシングカー、大型高級セダンに採用されることが多い。名前の由来は、鳥の叉骨(ウィッシュボーン)の形状に似たアームが上下に二つあることで付けられた名前だ。
ダブルウィッシュボーン式サスペンションのメリット
サスペンションの剛性が高いため、過酷なドライブを要するスポーツカーやレーシングカーに広く採用される。
F1での採用は、とても有名な話だ。
サスペンションが上下にストロークした際の対地キャンバーが少ないので安定した走りができる。
また、チューニングの自由度が高いので、綿密なセッティングが可能だ。

僕が若い頃乗っていた30ソアラのサスペンションもダブルウィッシュボーンでした。
大型の国産クーペでの採用であり、乗り心地はとても良かった記憶があります。
適度な車高ダウンにも応答が良好でした。
ダブルウィッシュボーン式サスペンションのデメリット
構造が複雑で、パーツ数も多いので高額になること。
構造上、多くのスペースを必要とするので、制約が厳しい。
また、パーツ数の多さから重量がかさむため、バネ下重量が重くなりやすい。
ダブルウィッシュボーンの進化型であるマルチリンク式サスペンション
マルチリンク式サスペンションは、ダブルウィッシュボーン式サスペンションに比べ、アームの本数を増やしそれぞれのリンクへ機能を分担させた設計から「ダブルウィッシュボーンの進化型」とも呼ばれている。
市販車では、1982年にベンツ190Eのリアサスに採用されて脚光を浴びた。
マルチリンク式サスペンションのメリット
乗り心地の良さとロードノイズの低さから、高級車に採用されることが多い。
世界では、メルセデスベンツが最初に採用した方式のサスペンションである。
複数のリンクが車輪を支えることでトレッドや対地キャンバーの変化をなくしたり、車がカーブを曲がる際にロールした際のトー変化を抑えることができる優れものだ。
マルチリンク式サスペンションのデメリット
構造が複雑で部品点数も多いため、取り付けには高い技術力が要求される。
また、高い性能を維持するためにこまめなブッシュ交換を要し、作業工程や調整箇所が多く長い時間を要す。
上記の事から高コストでお金がかかる。
コストが安く、整備が簡単な車軸式サスペンションの一種であるトーションビーム式サスペンション
トーションビーム式サスペンションは、固定車軸方式の一種のサスペンションだ。
左右の車輪が1本の車軸で連結されているシンプルな方式である。小型車やFF車やFFベースの4WD車の後輪に採用されることが多い。
トーションビームなどの車軸式の場合のメリット
構造がとても簡単な造りでできているため、整備が容易にできる低コストなことがメリットのサスペンションである。
簡単でシンプルな造りのため、スペースを取らないことが功を奏して、トランクルームを広く取れたり、室内を広く取れる。
トーションビームのデメリットなどの車軸式の場合のデメリット
トーションビーム式サスペンションのデメリットは、車軸式サスペンションの特徴である左右のサスペンションをトーションバーでつないでいるため、片方の車輪の衝撃がもう片方の車輪に伝わりやすいことである。
そうなることで、トーションビームの乗り心地は決して良いとは言えない。
FF車は駆動輪が前輪であるため、後輪には駆動が掛からないとは言え、段差を踏んだ時に対角上にある駆動輪のフロントタイヤが浮き上がってしまい、怖い思いをすることになる。
また、左右輪が逆ストロークになる悪路では、スタビライザー効果が仇となって、車の振動が止まらなくなる。悪路での乗り心地は正直悪い。
スポーツカーや高級セダンに多く採用されるダブルウィッシュボーンやマルチリンクと違い、サスペンションの動きが制限されるトーションビームは、ホイールベースの短いコンパクトカーや軽自動車ならまだマシだが、30プリウスのような3ナンバーのセダンタイプの車に採用するにはちょっと無理があると思う。
トーションビーム式サスペンションは「安かろう悪かろう」なのか?
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低コストだが、他の種類のサスペンションと比べると、乗り心地や路面追従性に欠けるなど、さんざん酷評されてきたトーションビームですが、メーカーや車種によっては、トーションビームを積極的に採用し、デメリットを改善しているものも中にはあるのです。
この項目では、スポーツカーなのにトーションビームを採用している例でをお話しています。
同じトーションビームでもメーカーや車種によって違う!
実は、同じトーションビームを採用していても、メーカーや車種によって、その出来具合は全く違ってくる。
歴代スイフトスポーツのトーションビーム

歴代スイフトのトーションビームは、ねじり剛性などが細かく調整されている。
長い間のノウハウの蓄積により、じっくりと煮詰めてあるのと、あの世界の一流ブランドである「モンロー」製のサスペンションを歴代のスイフトスポーツは採用しているのだ。
それでも、公道での突き上げは強めではあると言う。
シビックタイプR(FK2型)のトーションビーム

シビックタイプR(FK2型)はトーションビームを採用している。
それでもニュルブルクリンクではFF車で最速タイムを出したことは有名な話だろう。
しかし、トーションビームであっても、アダプティブ・ダンパー・システム※の採用により、乗り心地やハンドリングを改善し、トーションビームの弱点を克服しているのだ。
※アダプティブ・ダンパー・システムは、ZFザックス(SACHS)という、多くの自動車メーカーにサスペンションパーツ、クラッチパーツを供給するドイツの巨大企業が開発、供給する製品。ヨーロッパ車にはとても多く採用されており、街乗りから、サーキット走行まで自在に味付けができると言われているサスペンション。
上記のことから、同じトーションビームでも、車を作る際に煮詰められた構造のものがあると言うことが分かったと思う。
残念ながら、30プリウスのトーションビームは、そこまでは考えられて採用されてはいないだろうと予想ができてしまう。
ギャラリー
画像の左から、30プリウスのトーションビーム、10アクアのトーションビーム、右側2個の画像はダブルウィッシュボーン式サスペンション。
30プリウスのトーションビームが乗り心地が悪い理由


僕の愛車の30プリウス(3代目プリウス)にもトーションビームが採用されています。
このサスペンションが原因で、何度か怖い経験をしています。なぜ、30プリウスにトーションビーム式のサスペンションが合わないのか?僕の意見で恐縮ですが、お話しました。
ホイールベースの長さが原因になっているように思える
実際に30プリウスを愛車として毎日乗っている僕だから理解できることかもしれないが、30プリウスのトーションビーム式サスペンションのよる乗り心地の悪さの原因は、30プリウスのホイールベースの長さにあるかもしれない。
実際に先述した同じ形式のリヤサスに、トーションビーム式を採用しているFK2型シビックやスイフトスポーツ、またトヨタの10アクア(初代アクア)のホイールベースと30プリウスのホイールベースを比較してみると下の表のようになる。
車両 | ホイールベース |
スイフトスポーツ | 2450㎜ |
FK2型シビック | 2600㎜ |
10アクア(初代アクア) | 2600㎜ |
30プリウス(3代目プリウス) | 2700㎜ |
FK2型シビックや10アクアとは、たった10㎜の差なのである。本来、トーションビーム式サスペンションは、ホイールベースの短いコンパクトハッチには支障なくマッチできる。僕も妻の10アクア(初代アクア)にたまに乗る機会があるが、取り立てて乗り心地の悪さは感じない。
30プリウスのようなセダンタイプ(実際はセダンではないが)の車にトーションビーム式のリヤサスを採用してしまうことで乗り心地の悪さが生じてしまうのではなかろうか?
悪天候時に前輪のトラクションがかからないことも!
30プリウスに乗っていて、怖い思いをすることがあるのが悪天候の時である。
交差点近くになって、軽くブレーキを踏んだ際に段差があったり、水たまりを踏んでしまうと後輪が路面の衝撃を吸収しきれずに前輪のトラクションがかからずに、スリップサインがでることが時々あるのだ。その時の車は多少不安定な動きをして怖い思いをするときがある。このような経験は、30プリウス(3代目プリウス)の前型の20プリウス(2代目プリウス)でも経験したことがある。
もしかすると、17インチのタイヤ・ホイールを採用していないツーリングモデル以外のグレードの純正タイヤ・ホイールは15インチなので路面の影響を受けにくいため、このようなことは無いのかもしれない。
そもそも、セダンタイプの車にトーションビーム式のサスペンションは無理があるのだ。リヤサスのバタつきが前輪にも影響してしまうのである。
そのようなユーザーの苦情があったのかどうかは知らないが、30以降の型の50プリウス(4代目プリウス)や60プリウス(5代目プリウス)のリヤサスペンションはダブルウィッシュボーン式を採用しているし、このような事態は解消されて乗り心地も良くなっているのだ。
未だに人気があり、中古車市場でも売れている30プリウスだが、このようなところは30プリウスユーザーの僕としてはとても残念でならない。
17インチのタイヤ・ホイールを履いたツーリングモデルや純正ホイールからインチアップしたユーザーは、ショックアブソーバーやサスペンションなどの足回りを外品に交換したとしても、この問題は解消できないだろう。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、30プリウスのリヤサスにも採用されているトーションビーム式サスペンションの機能とその他の種類のサスペンションとの違いなどについてでした。
「安かろう悪かろう」と世間で言われているトーションビーム式サスペンションも近年は進化しているのがご理解戴けたかと思います。
かと言って、ダブルウィッシュボーンのようなしなやかさや、セッティングの自由度の高さが魅力的に映るのは否めない!
我が30プリウスのトーションビームは古いタイプのものなので、近年のトーションビームのようにはいきませんが、今後のサス・ショックの強化品への交換等などで、乗り心地の改善を図りたいと考えています。恐らく改善は難しいでしょうけどね。
30プリウスのリヤサスは、「トーションビーム式サスペンション」です。
世の中で高性能とされているダブルウィッシュボーン式やマルチリンク式と違って、機能面で劣るのです。
しかし、近年のトーションビームは進化していて、スポーツカーにも採用されているのだとか…。
今回は30プリウスのリヤサスにも採用されているトーションビーム式サスペンションと、ダブルウィッシュボーン式をはじめ他の種類のサスペンションの構造や違いなど、徹底して解説しました。
聞いて損をしない情報ですので、是非最後まで見ていってね。