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エンジンオイルと違い、意外と見落とされがちなのがATF(オートマオイル)のメンテナンスだ。
正式名称は、「オートマチックトランスミッションフルード」と言い、車のAT内に充填されているオイルだ。
ATF(オートマオイル)のメンテナンスを怠ると、愛車にとっては良くない。
今回はATF(オートマオイル)の重要な役割や種類、どのような交換方法があるのかお話してみた。
是非参考にして、ご自分の愛車は大丈夫なのか考えてほしい。
ATF(オートマオイル)とはどのようなものか?

ATF(オートマオイル)のとても重要な役割を知ろう!
ATF(オートマオイル)の正式名称は、「オートマチックトランスミッションフルード」と呼ばれる。
ATF(オートマオイル)の役割はざっと言うと以下の通りである。
とても重要な役割を担っているのでしっかり理解しておきたい。
エンジンからの動力を伝達
ATF(オートマオイル)の最も重要な役割は、トルクコンバーター内に充満されたATF(オートマオイル)が油圧の力でエンジンからの動力をミッションに伝える役割を果たしているのだ。
オートマチックトランスミッションには、マニュアルミッションのようなクラッチペダルが無い代わりに、トルクコンバーター(田舎育ちの僕はトルコンと呼んでいた)と呼ばれる装置が搭載されている。
このトルクコンバーターはエンジンとトランスミッションの間にあり、中に充満されているATF(オートマオイル)を介してエンジンの動力をミッションに伝えるのだ。
このトルクコンバーターはマニュアル車のクラッチのように明確につないだり切断したりしないので、エンジンが始動している間は常に駆動している。
そのせいで、エンジンブレーキがかからず、アクセルを踏んでいなくても車が前に行く性質なのである。
スムーズなシフトチェンジ
ATF(オートマオイル)は、油圧制御装置を作動させる役割を担っている。
オートマチックトランスミッションには、複数の変速ギヤがあり、エンジンの回転数や車速、アクセルの開度に合わせて油圧制御装置によって適切なギヤにシフトチェンジする。
トランスミッションの冷却・洗浄
ATF(オートマオイル)は、オートマチックトランスミッション内の熱を吸収し、オイルクーラーに循環させることでトランスミッションの冷却をしており、ギヤ類の焼き付きを防ぐのである。
オートマチックトランスミッション内には変速ギヤやクラッチディスクがあり、それが組み合わさって駆動している。
ギヤやクラッチディスクが駆動する際に熱を発する。
ATF(オートマオイル)はそれらを冷却する働きをしている。
また、ギヤ同士の摩擦によって生じた不純物を取り除き、フィルターの役割をするストレーナーまで運んで、トランスミッション内を綺麗に保っているのだ。
CVTF(CVTオイル) も同じ役割
一方、車にはAT(オートマチック)だけでなくCVT(無段変速機)やDCT(デュアルクラッチトランスミッション)も存在する。
CVTはギヤの代わりに特殊な金属製のベルトを使用したものだ。
ATのようにはっきりとしたギヤで変速するのではないためスムーズに変速することが可能だ。
ATとCVTは内部構造が全く異なるが、CVTF(CVTオイル)もATFと役割はほぼ同じである。
ATF(オートマオイル)をなぜ交換しないといけないのか?
結論から言えば、ATF(オートマオイル)は定期的に交換したほうが良い。
理由は、使用しなくても経年劣化するし、使用することで汚れていくからだ。
ATF(オートマオイル)の交換に関しては、メーカーや車種によって様々な見解があることも事実だ。
無交換の車もあったり長期間交換しなくても良いと明記された車があるのも事実だ。
僕の愛車の30プリウスのメンテナンスノートにも「無交換」と明記されている。
しかし、オイルは使用してもしなくても経年劣化していくもの。
ギヤの摩耗によって汚れていくし、熱で酸化もする。
特に日本の都市部の交通事情を考えると、常に渋滞した道路を走らないといけない。
低速でのストップ&ゴーを繰り返す車にとって過酷な走行でオイルの劣化はどうしても早まっていく。
シビアコンディションに置かれた車は、メーカーが推奨するよりも早めに交換するのが望ましい。
ATF(オートマオイル)の種類
ATF(オートマオイル)には、油種による違いと規格による違いがある。
特に、規格は多種に及ぶため、自分の愛車に合ったオイルをチョイスすることが大事だ。
油種による違い
ATF(オートマオイル)の油種は大きく分けて2種類。
鉱物油と全合成油の2種に大別できる。
ただ、昨今のATの多段化(多いものだと10速AT)やメカニズムの進歩によってATF(オートマオイル)も低粘度に対応せざるを得ない環境になってきている。
なので、以前のような鉱物油はほとんど採用されず全合成油ベースのATF(オートマオイル)がスタンダードになってきている。
規格による違い
ATのメカニズムの進化によって、車種ごとにATの設計が異なってきている。年を追うごとに車が進化していっているのだ。
自動車メーカーは、車種ごとに最適なATF(オートマオイル)を設定している。
それを「規格」と呼ぶのだが、実に多種にわたる。
ただ、実際にGM車や一部のフォード車が承認した「Dexron Ⅵ」や、多くのフォード車が承認している「Mercon Ⅴ」が世界標準となっている。
また、日本国内では日本車全般のAT向けである「JASO 1A」や、低粘度ATFを用いるAT向けの「JASO 1A‐LV」が定められ、広く使用されている。
ただし、多くの車種で汎用性が可能だが、愛車に合ったものをチョイスできるように交換の際はディーラーに相談すると良いだろう。
知っておくと得!ATF(オートマオイル)の交換方法

下抜き
ATF(オートマオイル)の下抜きは、エンジンオイル同様、車をフロアジャッキあるいはガレージジャッキでジャッキアップして、下部のドレンコックを緩めてオイルを抜き取り、新しいオイルを足していくというやり方だ。
ただ、一回の交換ではオイルパンに溜まった分だけのオイルしかできないため、数回の作業が必要になってくるので、多少手間と時間がかかる。
ただ、このやり方だとオイルパンの底に溜まったスラッジを攪拌させてATを壊しす原因になる心配が無いため、無難な方法だと言えよう。
上抜き
ATFレベルゲージの穴からホースを差し込んで、古いATF(オートマオイル)を抜き出した後、新しいATFを注ぎ込むというやり方。
繰り返し循環させながら交換していく工程から「循環吸引方式」とも呼ばれる。
繰り返し古いオイルと新しいオイルを入れ替えていく方法だが、吸引した際にオイルパンにこびり付いたスラッジを攪拌させ、ATを壊してしまう原因にもなりやすい。
ATを壊してしまうと、その程度にもよるが10万円~100万円の費用が掛かってしまうので注意が必要だ。
過走行車(10万㎞以上)や日頃の定期的なメンテナンスをしていない車は避けた方が良いやり方だろう。
圧送交換
ジャッキアップして、オイルクーラーラインから交換する方法。
圧力をかけ、内部の古いATF(オートマオイル)を強制的に排出して循環させる。
古く汚れたATF(オートマオイル)が廃油タンクに溜まっていく一方、新しいATF(オートマオイル)が自動的に充填されていく仕組みだ。
下抜きや上抜きに比べ、作業時間が大幅に短縮されるやり方だが、圧力をかけて循環させるため、上抜き同様、オイルパ
ンの底に溜まったスラッジや不純物を攪拌させてしまう懸念がある。
純正品のATF(オートマオイル)をおすすめする理由
上記でお話したとおり、ATF(オートマオイル)には汎用性があるが、メーカーの純正のものを選んだ方が無難である。
メーカー純正は、その車種に合ったものをチョイスしている。
車には車ごとにバランスというものがある。
純正でないものを選んで入れてしまい、ATを壊してしまったという例も過去に見てきた。
僕の友人なのだが、レスポンス重視のために硬いオイルを入れていたのだ。
純正ではなく、社外品である。
そうなるとメーカーの保証対象外になってしまうのだ。
まとめ
今回は、ATF(オートマオイル)の役割や種類、交換方法に関してお話させてもらった。
エンジンオイルと違い、ATF(オートマオイル)はメンテナンスの中でもあまり気にかけている方が少ないのが現実だ。
でも、とても重要な役割を果たしているし、メンテナンスを怠るととんでもないことにもなりかねないので、是非参考にして楽しいカーライフを送ってほしい。
僕がこのサイトのライターです。