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車のメンテナンスの中でも、とても大切なエンジン冷却水(クーラント液)のメンテナンスですが、本当に適正な交換時期は実際にわからなかったりするものです。

エンジン冷却水(クーラント液)の役割と適正な交換時期

車のメンテナンスの中でも、エンジン冷却水(クーラント液)は、エンジンを良いコンディションに保つための大事なアイテムです。
ただ、適切な交換時期が明確でなかったりして、戸惑う方も多いようです。この項目では、エンジン冷却水(クーラント液)の適切な交換時期についてお話しました。
エンジン冷却水(クーラント液)はエンジンを保護して状態維持に欠かせない大切な液体
エンジン冷却水(クーラント液)は、製造メーカーやグレードによって呼び方や色が変わっていたりしますが、中身はそう変わりません。
ただ、LLC(ロングライフクーラント)とスーパーLLC(スーパーロングライフクーラント)は主成分が違うことで、スーパーLLCは、LLCより寿命が長いのです。
| 主成分 | |
| LLC(ロングライフクーラント) | エチレングリコール |
| スーパーLLC(スーパーロングライフクーラント) | プロビレングリコール |
主成分の違いによる特徴は、従来のLLCより吸熱性、放熱性に優れるというものです。
エンジンは、ガソリンや軽油を燃焼・爆発させることで、動力を作り出しています。その燃焼時の熱をそのままにしておくと、熱によってピストンやシリンダーが溶けたり、破損したりしてエンジンを損傷してしまいます。
エンジン冷却水(クーラント液)とは、エンジンブロック内にあるウォータージャケットに冷却水を送り込み、エンジン内を冷却液によって冷却することでオーバーヒートを防いだりして、エンジンが正常に作動できるような働きをしています。
その他にも、ハイブリッドカーや電気自動車などのシステムを冷却するのにも使われているのです。
また、水でなく冷却水が使われる理由は、水だと冬場の寒い時期にエンジン内が凍結してしまったり、錆や腐食が発生してエンジンが使えなくなってしまうのです。
そのため、エンジン冷却水(クーラント液)には、防錆性(ぼうせいせい—錆びるのを防ぐ)、防蝕性(ぼうしょくせい—金属の腐食を防ぐこと)、不凍性(ふとうせい—凍結を防ぐ性質)といった性質があります。
エンジン冷却水(クーラント液)の推奨交換時期は自動車メーカーによって違う!
エンジン冷却水(クーラント液)の推奨交換時期は、自動車メーカーによって違っていたりします。
| メーカー | 交換推奨時期 |
| トヨタ | すべての車種にスーパーロングライフクーラントを入れている。 新車から:16万㎞もしくは7年の早いほう 2回目以降:8万㎞もしくは4年の早いほう |
| 日産 | ロングライフクーラントは車検ごと、 スーパーロングライフクーラントは 新車から:16万㎞もしくは7年の早いほう 2回目以降:8万㎞もしくは4年の早いほう |
| ホンダ | スーパーロングライフクーラント 新車から:20万㎞もしくは11年の早いほう 2回目以降:12万㎞もしくは6年の早いほう |
| マツダ | 純正LLCゴールデンの場合 新車から:18万㎞もしくは9年の早いほう 2回目以降:10万㎞もしくは4年の早いほう |
2回目以降の交換時期が半減する理由
上記の表を見ると、どのメーカーも2回目以降の交換時期が、初回の交換時期に比べて半減しているのが確認できます。
その理由は、ラジエターなどの冷却システム内に、劣化したエンジン冷却水(クーラント液)が残ってしまい、混ざってしまうことを想定しているためなのです。
自動車メーカーが車検ごとにエンジン冷却水(クーラント液)の交換を勧めてくる理由
車検や点検などでディーラーを訪れると、たいていのディーラーが車検時にエンジン冷却水(クーラント)の交換を勧めてくることが多いですね。
「前回の車検でも交換したのに、また交換しないといけないの?」と疑問に感じるユーザーも少なくありません。
それもそのはず、エンジン冷却水(クーラント液)は確かに経年劣化するものですが、前回から年数は2年、走行距離もそんなに走っていないのにどうして?と思うでしょう。
これは、あくまでも僕自身の推測であるが、僕の若い頃と違って、今車が売れない時代なのです。
車の台数を売れない分、ディーラーは車検やメンテナンスで稼ごうとしているのです。これは、国産・海外のどのディーラーにもあてはまります。
昔、某ディーラーの営業マンをしていて引退した方が知り合いにおられますが、2年の車検ごとに交換するのを見て、「もったいない!」と思っていたそうなのです。実際に交換する必要が無いのです。
昔は、車を頻繁に新車に買い替えたりする人が多くおられました。中には、車検など受けたことなく、3年ごとに新車に乗り換える酔狂な方もいたりして、実に車がよく売れた時代だったのです。
今は、いったん車を購入してしまったら、とにかくとことん長く乗ってやろう!言い方は悪いですが、「とことん乗りつぶしてやろう!」と考えるユーザーさんも多いと思います。今は、そんなに頻繁に車を買い替える余裕のある人が少なくなったのです。
それだけでなく、今は車を取り巻く環境が昔と大きく変化してきています。
車を必要な時だけ時間単位でレンタルできる「カーシェアリング」の広がりや、残価設定型クレジット(残クレ)やサブスクリプション(サブスク)のような買い方も出て来たりして、車との付き合い方が少しづつ変化してきているのが現状です。
結局、必要の無い交換をせずに無駄なお金を使わないで済む方法は、エンジン冷適切な交換時期を、自分の愛車の状態を見ながら、自分で判断することなのです。
エンジン冷却水の適切な交換時期は、車種や車の状態によってさまざま
では、エンジン冷却水(クーラント液)の適切な交換時期はいつなのでしょうか?
それは、自分の愛車の種類や状態を見て判断するようにしましょう。
僕の長い車経歴の経験の中で、同じ車を10年以上保有したことがなかったのです。一概には言えませんが、ターボ車のようなエンジンが熱を持ちやすい車の場合は、冷却水の劣化も早いので必然と交換サイクルも早いのでしょう。
冷却水の色が、新しいときの色と違って濁ってくるのがわかりましたので、それに気が付くと交換していました。だいたい2年の車検ごとに交換していたように記憶しています。
普通のガソリン車やハイブリッド車、特にハイブリッド車はエンジンが熱を持ちにくい性質があります。それらの車を所有しているときに僕は車を所有している期間はエンジン冷却水(クーラント液)を交換した記憶がありません。
では、交換時期の目安となる点検方法と、交換費用についてお話してみましょう。
エンジン冷却水の点検方法と交換費用の目安や注意点

エンジン冷却水の適切な交換時期を知って、タイミング良く交換することでエンジンの状態を良好に保つことができます。この項目では、エンジン冷却水(クーラント液)の状態の点検方法や、費用の目安、注意点についてお話しました。
リザーバータンクを確認して量や色をチェック
ボンネットを開けると、どの車でもエンジン冷却水(クーラント液)が入ったリザーバータンク(冷却水を貯めておくタンク)があるのが見えます。
タンクには目盛があって、冷却水がMAX近くまで入っていれば量はOKです。LOW近くやLOW以下の目盛まで冷却水が減っていれば、補充のサインです。
上の画像は、ZVW30プリウス(3代目プリウス)のリザーバータンクですが、トヨタのハイブリッドカーの場合は、エンジンに冷却水を供給する用のものと、ハイブリッドシステムを冷却するインバーター側の2つのリザーバータンクがあります。
また、上の画像のように色がキレイなピンク色や青や緑の場合は、まだ交換しなくても良いというサインです。ただ、色が黒っぽく濁っていたりすると交換したほうが良いでしょう。
他にも、リザーバータンクとラジエターなどを繋いでいるホースが劣化している場合もありますので、常に目視で確認しておくようにしましょう。
量の異常な減り方には要注意!
エンジン冷却水(クーラント液)の減りがやたら早かったりする場合は、冷却水がどこかから漏れている可能性が高いので要注意です!
漏れている場合は、車の下の決まった箇所に冷却水が漏れたことによるシミができたり、エンジンルームから甘い匂いがしますので、そういう場合は早急に対処することが必要です。
ディーラーやカーショップと距離が違い場合は、応急処置の必要はありませんが、距離が離れる場合は、冷却水を補充するなどして、交換する場所に到着するまでオーバーヒートしないようにしておきましょう。
車検を受けた後に、冷却水が異常に減っているのに気が付いたら、車検を依頼した業者が冷却水を補充した際に、キャップを閉め忘れており、冷却水が漏れていたというのを聞いたことがあります。冷却水はそんなに減るようなものではありません。少しでも減っていたりしたら、必ず点検を行うようにしましょう。
ラジエターキャップも点検・交換が必要!
ラジエターキャップは、ただのキャップと思われがちですが、ラジエターキャップには圧力調整機能が備わっており、不具合があるとエンジンの冷却効果が落ちますし、エンジンのオーバーヒートにもつながるので注意が必要なのです。
各カーショップの交換費用と要する時間
エンジン冷却水(クーラント液)を最寄りのカーショップで交換する際の費用や所要時間は以下の表のとおりです。
| ショップ名 | 費用 | 所要時間 |
| オートバックス | 2,200円~ | 15分~ |
| イエローハット | 2,200円~ | 30分~ |
| ジェームス | 2,900円~ | 30分~ |
エンジン冷却水(クーラント液)のセルフ交換をおすすめしない理由
エンジン冷却水(クーラント液)の交換には、専門の道具と知識・技術が必要だ。エンジンオイルの交換同様、フロアジャッキも必要になります。
また、エア噛みによってオーバーヒートの危険性もあるため、交換は必ず信頼あるショップに任せるようにしたほうが良いでしょう。
使い終わったエンジン冷却水(クーラント液)は産業廃棄物に該当するため、ショップに交換してもらうと、交換費用込みで処分してくれるので安心ですね。
ただし、交換ではなく量を補充する場合は、自分でやってもOKです。
エンジン冷却水(クーラント液)を補充する場合の注意点
エンジン冷却水を補充する場合は、
F(FULL)とL(LOW)の間に冷却水の上面がくるように補充する。同じ種類、同じ色の冷却水を補充する。(色が違うと、濁って劣化具合が判断できない)
必ず、エンジンが冷えているときに作業する。
ということに留意しましょう。
エンジン冷却水(クーラント液)の代わりに水道水を入れてもいいの?
冷却水の代わりに、水道水を入れてしまうと、冷却水が通るウォーターデポジット内に錆が発生してしまったり、冬場の氷点下以下の気温で、エンジンが凍結してしまうので絶対にやらないようにしましょう。
エンジン冷却水(クーラント液)の代わりに、水道水を使用するのは、冷却水の漏れが発生して、修理工場まで自走しないといけない場合の応急措置としての使用に限ります。
寒冷地仕様のクーラントは濃度が濃い!
クーラントの通常の濃度は、30%が一般的ですが、寒冷地仕様のクーラントの濃度は50%です。
濃度を上げることで、凍結温度が下がり、-35℃ぐらいにならないと凍結しなくなります。冬場の環境が厳しい寒冷地では、そのような対応が必要なのでしょう。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は大まかに言って、
●エンジン冷却水(クーラント液)の役割と適正な交換時期
●エンジン冷却水の点検方法と交換費用の目安や注意点
でしたね。
メーカーやディーラーの営業の言ってることがバラバラで、適正な交換時期がわからない!って方は多いのです。
ただ、大事なのはご自分の愛車の状態を常に見て知っておくことで、無駄なお金を使わずに、適正な処置ができますので、愛車の状態は常にわかっておきたいですね。


エンジン冷却水は、エンジンを保護するとても大切な油脂類の一つです。
ただ、スーパーLLC(スーパーロングライフクーラント)の登場など、高寿命化によって、適正な交換時期が不明だったりします。中には、交換する必要が無いのに、ディーラーの営業マンに勧められるままに交換してしまったり…。
ここでは、本当に適正な交換時期はいつなのか?についてお話しています。参考にして戴ければ幸いです。