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それは、僕の愛車の30プリウスのATF(オートマオイル)の交換時に担当メカニックにした一つの質問から始まった。
実は、プリウスのミッションの機構は、一般的なCVT(無段変速機)とはちょっと違い、金属ベルトではなく、ギヤを使用しているのです。
要するに、トヨタのハイブリッドカーには日産やホンダなどの他のメーカーが採用している一般的な無段変速機(CVT)ではなく、「電気式無段変速機」が使用されているのです!
うーん、知らなかった!
車のライターを自称して車の情報を発信している僕はとても恥ずかしくなりました。
でも、それと同時にトヨタのハイブリッドシステムに採用されている電気式無段変速機について徹底的に調べてみることにしたのです。そしたらトヨタのハイブリッドシステムは本当にすごいことが分かったのです!
このサイトに来て戴いている皆さんも、絶対に知っておいて損はしない話なので、是非じっくり当記事を読んでいって下さい。
トヨタのハイブリッドカーに採用されている電気式無段変速機とは?
トヨタのハイブリッドカーに搭載されている「電気式無段変速機」の機構に関してお話しています。その緻密なメカニズムは口頭ではとても説明しにくいので、YouTube動画を使っての説明になりました。
一般的な無段変速機(CVT)と電気式無段変速機の違い
ベルトを使っていなくても、ギヤ比を可変できるミッションは結果的に無段変速機と同じ
一般的な無段変速機(CVT)と電気式無段変速機の違い
一般的な無段変速機(CVT)とトヨタのハイブリッドカーで採用されている電気式無段変速機は機構そのものが全く違います。
結論から言えば一般的な無段変速機(CVT)が金属ベルトが使用されているのに対し、電気式無段変速機はプラネタリギア(游星ギヤ)が使用されています。
トヨタのハイブリッドカーで採用されているトヨタハイブリッドシステム(THS⁻Ⅱ)の電気式無段変速機は、他のメーカーで採用されている一般的なCVTとは完全に一線を画すのです!
せっかくこのサイトに来て戴いているあなたには是非この違いを知っておいて戴きたい!
一般的な無段変速機(CVT)は、入力プーリーと出力プーリの二つのプーリーを金属ベルトでつないでいます。
それぞれのプーリーの溝の幅が広くなったり狭くなったりしながらアクセルの開き具合やスピードによって変化していきます。
そしてエンジン、ジェネレーター(発電機)、駆動モーターを接続し、駆動輪に直結する仕組みなのです。
それに対して電気式無段変速機は、プラネタリギア(游星ギア)を使って、エンジン、ジェネレーター(発電機)、駆動モーターを接続し、駆動輪に直結する仕組みなのです。
トヨタのハイブリッド車に採用されているハイブリッドシステム(THS-Ⅱ 1.8L)には通常のAT(オートマチック)や
一般的なCVTのような変速システムはありません。
一般的な無段変速機(CVT)のようにプーリーも金属ベルトも存在せず、プラネタリウムギヤ(游星歯車)と発電機の働きによって変速しているのです。
トヨタのハイブリッドシステム(THS⁻Ⅱ 1.8L)を構成している主なパーツと役割は以下の表のとおりです。
トヨタハイブリッドシステム(THS⁻Ⅱ)を構成するもの | 主な役割 |
プラネタリウムギヤ(游星歯車) | MG1、MG2とエンジン、車輪を接続し、変速を行うギヤ。 |
MG1(モータージェネレーター) | エンジンを始動するためのスターターモーター、通常走行ではジェネレーターの役割を果たし、ハイブリッドバッテリーへの充電やMG2への電力供給を行っている。 |
MG2(モータージェネレーター) | 動力モーターとして単独で走行する役割であり、エンジンをアシストし、バックの際には逆回転する。 |
DC-DCコンバーター | 500Vに昇圧することができる。 |
インバーター | 直流⇔交流に変換する |
駆動用ハイブリッドバッテリー | 28セルから構成される。30プリウスではニッケル水素だが、50プリウスではリチウムイオンに進化した。 |
これらのパーツがどのように変速機の役割をしているかを簡単に説明しますと、
システムの中央に位置するプラネタリウムギヤ(游星歯車)が発電機に出力される動力と車輪に出力される動力を分配します。分配の割合は、MG1の発電抵抗を変えることで回転抵抗を変え、その回転抵抗によって決定されます。(発電抵抗が変わると回転抵抗が変わる)
これらの働きが結果的に変速機としての役割を果たすのです。
システムは一見複雑に見えるが、実に理にかなったシステムではないか!
ベルトを使っていなくても、ギヤ比を可変できるミッションは結果的に無段変速機と同じ
一般的な無段変速機(CVT)のようなプーリーや金属ベルトでなく、プラネタリウムギヤ(游星歯車)と発電機の働きによって変速しているトヨタの電気式無段変速機も、ギヤ比を可変できる点では一般的な無段変速機と同じです。
変速する過程は一般的な無段変速機(CVT)とは違えど、結果的に変速できるのは同じなのです。
ただ、トヨタの電気式無段変速機は一般的な無段変速機(CVT)より機能的に優れている点がいくつもあるのです。
とにかく「凄い!」の一言、トヨタの電気式無段変速機
こんなに凄い仕組みの無段変速機ですが、実は最初に電気式無段変速機がトヨタのハイブリッドカーに採用されたのは、初代プリウス(10系プリウス)だったのです。
意外と歴史がある変速機なのです。この項目では、一般的な無段変速機(CVT)との違いを知って戴くことで、より一層、トヨタの電気式無段変速機の凄さが理解できるでしょう。
実はとても凄い!トヨタの電気式無段変速機
トヨタの電気式無段変速機の凄いところは、初代のプリウス登場と同時に採用されているところなのです。
トヨタのハイブリッドカーの先駆けとなった初代プリウスから今現在のトヨタのハイブリッドカーに至るまで、電気式無段変速機を採用し、進化を遂げてきています。
実際に、電気式無段変速機は一般的な無段変速機(CVT)に比べると機能的に優れていると言えるでしょう。
その理由は、一般的な無段変速機(CVT)のメリットとデメリットを見てみるとわかります。
まだまだ人気の30プリウス。ただ、中古車を買う際はちょっと注意してほしいことがあります。
今回は良い30プリウスの中古車を探すポイントについてお話しました。
一般的な無段変速機(CVT)のメリット
・変速ショックやタイムラグを感じにくい
・エンジンの回転を無駄なく車輪に伝えられるのでロスが少ない
・街乗りのストップ&ゴーの繰り返しの運転に向いている[/box]
一般的な無段変速機(CVT)のデメリット
・滑りやすくなったり、摩擦が大きくなったりする
・金属ベルトが摩擦を引き起こしやすい
・高トルク車に対応できない(2000cc以上の大排気量車には向かない)
電気式無段変速機が一般的な無段変速機(CVT)の弱点を解消する!
また、プーリーや金属ベルトを使用しない電気式無段変速機は、一般的な無段変速機(CVT)の弱点を解消しているのです。
その解消点は以下の通り。
●一般的な無段変速機(CVT)では、そのしくみから高トルク車に対応できない。(大排気量車には向いていない)電気式無段変速機は大排気量車に対応できる。
●一般的なCVTは、金属ベルトやプーリー摩擦によって摩耗してくるので高コストになってしまう。メンテナンスフリーの電気式無段変速機はそれを解消している。
僕は、30プリウスに乗っているが、トヨタハイブリッドシステム(THS⁻Ⅱ)の仕組みの凄さを改めて知ることになり、とても感動しました。
優れた車メーカーは世界中にありますし、ハイブリッドカーは世界中のあちこちに存在していて活躍をしていますが、果たしてここまで優れたハイブリッドシステムがあったでしょうか?
まとめ
今回は、トヨタやレクサスのハイブリッドカーに採用されている電気式無段変速機のしくみの凄さについてお話させて戴きました。
中古で入手し、愛車として保有している30プリウスの初めてのATF交換から恥ずかしながら新たに知った電気式無段変速機のしくみですが、本当にすごいと思いましたし、今まで以上に30プリウスに愛着が湧いたのです。
トヨタのハイブリッドカーに乗っている方は、この仕組みを知っておいて欲しいですし、他社のハイブリッドカーに乗っている方も同じです。
プリウスのミッションはCVTなのに、なぜCVTF(CVTフルード)ではなくATF(オートマオイル)を使用するんですか?