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車検でチェックされる「ブーツ類」とは?

車検ではブレーキやライトに加え、足回りや駆動系を守る「ブーツ類」が非常に重要な検査対象です。
ブーツは単なるゴムカバーではなく、内部の金属ジョイントを異物から守り、潤滑グリスを閉じ込める「最後の砦」です。もし破れたまま走行を続けると、砂や水が入り込んでジョイントを摩耗させ、最悪の場合は走行中に足回りが脱落する致命的な故障を招きます。
ここでは、見落とされがちなブーツ類の役割と、なぜ車検で一切の妥協なく「破れ=不合格」とされるのか、その真実を整理していきましょう。
そもそもブーツ類とは何をする部品なのか
ブーツ類とは、主に可動部や関節部分を覆っているゴム製のカバーの総称です。
ドライブシャフトやステアリング、サスペンションなど、常に動き続ける部位に取り付けられています。
これらの部位は内部にグリース(潤滑剤)が封入されており、金属同士がスムーズに動くよう設計されています。ブーツは、その 潤滑環境を外部から守る役割 を担っています。
見た目は地味ですが、ブーツがなければ可動部はすぐにダメージを受けてしまいます。
ゴム製カバーが担う3つの重要な役割
ブーツ類には、主に次の3つの役割があります。
グリースの保持内部の潤滑剤が外に漏れ出るのを防ぎ、金属摩耗を抑えます。 水分・砂・異物の侵入防止
雨水や砂ぼこりが入り込むと、錆や摩耗が急速に進行します。 可動部の寿命を延ばす
過酷な環境から関節部を守ることで、部品全体の耐久性を高めます。
つまりブーツは、「直接動力を生む部品ではないが、壊れると致命的」という特徴を持つパーツなのです。
なぜ車検でブーツ類が重要視されるのか
車検は「安全に走行できる状態かどうか」を確認する制度です。そのため、将来的に重大な故障や事故につながる恐れのある不具合 は、たとえ小さな部品であっても見逃されません。
ブーツ類は、破れてしまうと内部部品の劣化が一気に進みます。その結果、
・ハンドル操作が不安定になる
・異音や振動が発生する
・最悪の場合、走行不能に陥る
といったリスクが高まります。
こうした理由から、ブーツ類は「予防的な安全部品」として車検で厳しくチェックされているのです。
「小さな破れ」が重大なトラブルにつながる理由
ブーツの破れは、最初は ほんの小さな亀裂から始まることがほとんどです。しかし一度破れてしまうと、
走行中の遠心力でグリースが飛び散る雨水や砂が内部に侵入する
摩耗が加速度的に進行する
といった悪循環に陥ります。
そのため車検では、「今すぐ危険かどうか」ではなく「近い将来危険になるかという視点でブーツ類が判断されます。
結果として、軽度に見える破れやひび割れでも 不適合(車検NG)になるケースが多いのです。
車検の検査対象になる主なブーツ類と役割

車検でチェックされるブーツ類は1つではありません。足回り・駆動系・操舵系・制動系など、安全性に直結する複数の部位に使われています。
ここでは、車検で特に確認されやすい代表的なブーツ類について、それぞれの役割と、破損した場合の影響 を分かりやすく解説します。
ドライブシャフトブーツ|駆動力を守る最重要ブーツ
ドライブシャフトブーツは、エンジンの力をタイヤに伝えるシャフト部分を覆っているブーツです。
内部には大量のグリースが封入されており、タイヤの回転やハンドル操作に合わせて大きく動くため、ブーツ類の中でも 特に負担が大きく、劣化しやすい部品と言えます。
その重要性から、ドライブシャフトブーツは車検で最も指摘されやすいブーツのひとつです。
破れたまま走行すると起こる具体的なリスク
ドライブシャフトブーツが破れると、
グリースが周囲に飛び散る関節部が乾燥・摩耗する
異音や振動が発生する
といった症状が現れます。
放置すると、ドライブシャフト本体の交換が必要になるケースもあり、修理費用が高額化します。このため、わずかな破れでも車検では不適合と判断されます。
ステアリングラックブーツ|ハンドル操作を支える要
ステアリングラックブーツは、ハンドルの操作をタイヤに伝える機構(ステアリングラック)を保護するブーツです。
ハンドルを切るたびに左右に動く部位のため、こちらも 可動量が大きく、異物侵入に弱い特徴があります。
操舵系トラブルが安全性に直結する理由
ステアリングラック内部に水や砂が侵入すると、
ハンドル操作が重くなる操舵時に引っかかりが出る
最悪の場合、正常に舵が切れなくなる
といった深刻なトラブルにつながります。
操舵系は 安全性への影響が非常に大きい部位のため、ラックブーツの破れも車検では厳しくチェックされます。
タイロッドエンドブーツ|足回りの関節部を保護
タイロッドエンドブーツは、ステアリングラックとタイヤ側をつなぐ 関節部分(ボールジョイント)を保護しています。
ハンドル操作や路面からの衝撃を直接受ける部位のため、経年劣化や走行環境の影響を受けやすいブーツです。
異音・ガタつきが出る前に確認すべきポイント
このブーツが破れると、内部のジョイントが摩耗し、以下のような症状が出ることがあります。
ハンドルを切ったときの異音走行時のガタつき
直進安定性の低下
ブーツだけでなく ジョイント本体の交換が必要になる前に対処することが重要です。
ロアアーム・スタビリンク系ブーツ|走行安定性を支える部品
ロアアームやスタビリンクに使われるブーツは、サスペンションの動きを支える関節部を保護しています。
これらの部品は、コーナリング時の安定性や車体の姿勢制御に大きく関わるため、ブーツの状態は走行性能に直結します。
経年劣化が進みやすい理由と見落としやすい症状
ロアアームやスタビリンク周辺は、常に泥・水・砂を浴びやすい環境にあります。
そのため、
ゴムが硬化しやすいひび割れに気づきにくい
異音が出るまで劣化が分かりにくい
という特徴があります。
車検時には軽微な劣化でも指摘されやすいポイント です。
ブレーキ・サスペンション系ダストブーツ
ブレーキキャリパーやショックアブソーバーにも、ダストブーツと呼ばれる保護用のゴム部品が使われています。
これらは、
・ブレーキの作動不良
・ショックのオイル漏れ
といったトラブルを防ぐための重要な役割を担っています。
制動力や乗り心地に影響する意外な重要性
ダストブーツが破れると、
ブレーキの動きが悪くなるショック内部が傷みやすくなる
といった影響がでます。
直接見えにくい部位ですが、安全性・快適性の両面で重要なチェックポイントと言えるでしょう。
ブーツが破れていると車検に通らない理由

「少し破れているだけなら大丈夫では?」そう思われがちですが、ブーツ類の破損は車検では原則NGになります。
その理由は、ブーツが単なるカバーではなく、安全性や耐久性に直結する保安部品として扱われているからです。
ここでは、車検でどのようにチェックされ、なぜ軽度の破れでも不合格になるのかを解説します。
車検ではどこまでチェックされるのか
車検時のブーツ類は、主に目視による検査が行われます。検査員は車をリフトアップし、下回りを直接確認します。
チェックされるポイントは以下の通りです。
・ゴムの破れ・裂けがないか
・明らかなひび割れが発生していないか
・グリースの飛散や漏れがないか
特別な工具を使わなくても、外観で異常が確認できる状態であれば不適合と判断されます。
目視検査で「即NG」になる具体的な状態
次のような状態が確認された場合、その場で車検不合格になる可能性が高くなります。
ブーツが完全に裂けているグリースが外部に付着している
破れ部分から内部が見えている
「まだ走れているかどうか」は関係ありません。安全基準を満たしていない時点でNG となります。
軽度のひび割れでも不合格になるケース
一見すると軽微に見える表面のひび割れでも、状態によっては不適合と判断されることがあります。
特に、
・ゴムが硬化している
・亀裂が深く、広がる可能性が高い
・走行中に負荷がかかる位置にある
といった場合は、「近い将来破損する恐れがある」と判断されます。
ユーザーが誤解しやすい判断基準
多くのユーザーが誤解しやすいのが、
「まだグリースは漏れていない」「小さいヒビだから問題ない」
という判断です。
しかし車検は、今現在の状態だけでなく、安全に走行できるかを基準に評価します。
そのため、破れや劣化が確認できる時点で予防的にNGになるケースが少なくありません。
ブーツ類の交換時期と点検の目安

ブーツ類は消耗品のため、いずれ必ず劣化・交換が必要になる部品です。
ただし、ブレーキパッドのように明確な残量表示があるわけではないため、「交換時期が分かりにくい」と感じる方も多いでしょう。
ここでは、走行距離・使用年数・使用環境の3つの視点から、ブーツ交換の目安を解説します。
走行距離・年数から見る交換タイミング
一般的に、ブーツ類の交換時期の目安は以下の通りです。
・走行距離:5万km前後
・使用年数:5〜7年程度
これはあくまで平均的な目安ですが、ゴム部品は走行距離だけでなく時間の経過によっても劣化します。
たとえ走行距離が少なくても、年数が経過していれば硬化やひび割れが進行しているケースもあります。僕の妻の車も普段はほとんど使用しておらず、年間の走行距離も5,000km未満です。でも、先日の車検で交換を促されました。やはり経年劣化をしていくものなのです。
「まだ大丈夫」と判断してはいけない理由
ブーツ類の劣化は、目に見える異常が出る頃にはすでに末期ということも少なくありません。
特に、
車検直前で破れが発覚する点検時に初めて指摘される
といったケースは非常に多く見られます。結果として、想定外の出費や車検期間の延長につながることもあるため、「壊れてから交換」ではなく 予防交換が理想的です。
使用環境によって寿命が短くなるケース
ブーツ類の寿命は、
車の使われ方や走行環境によって大きく左右されます。特に注意したいのが、以下のような環境です。
・悪路・未舗装路を走る機会が多い
・雪道を走行する地域(融雪剤の影響)
・縁石への乗り上げや段差が多い
雪道・悪路・街乗り中心での違い
雪道で使われる融雪剤(塩化カルシウムなど)は、ゴムや金属部品の劣化を早める原因になります。また、街乗り中心であっても、
短距離走行の繰り返しハンドルの切り返しが多い
といった使い方は、特定のブーツに負荷が集中しやすくなります。
「走行距離が少ない=安心」ではない点は、ぜひ覚えておきたいポイントです。
ブーツ交換にかかる費用相場と内訳

ブーツ類の交換費用は、「ブーツ代が安い=修理費も安い」 とは限りません。理由は、ブーツそのものよりも分解・組み付けにかかる工賃の割合が大きいためです。
ここでは、費用の内訳と、なぜ価格差が出るのかを分かりやすく解説します。
ブーツ単体交換とASSY交換の違い
ブーツ交換には、主に次の2つの方法があります。
・ブーツ単体交換
・ASSY(部品一式)交換
ブーツ単体交換は、破れたブーツだけを交換する方法で、部品代は安く抑えられるのが特徴です。
一方ASSY交換は、ブーツが付いている部品全体を丸ごと交換します。
結果的に高くつくケース・安く済むケース
一見するとブーツ単体交換の方が安く感じますが、
分解工数が多い内部部品の摩耗が進んでいる
といった場合は、ASSY交換の方が結果的に工賃・耐久性の面で有利になることもあります。
逆に、
破れが初期段階内部の状態が良好
であれば、ブーツ単体交換で費用を抑えることが可能です。
ディーラー・整備工場・カー用品店の費用差
ブーツ交換の費用は、依頼する店舗によっても差が出ます。
一般的な傾向は以下の通りです。
・ディーラー:安心感は高いが費用は高め
・整備工場:柔軟な対応で費用バランスが良い
・カー用品店:対応できる車種・部位が限定的な場合あり
どこで交換するのが最適か判断するポイント
判断の基準としては、
車検と同時にまとめて整備したい費用をできるだけ抑えたい
純正部品にこだわりたい
といった 優先順位を明確にすることが重要です。ブーツそのものが一見安いと感じても、優先順位が明確になっていないために、高くついてしまったということもあるので注意が必要なのです。
特に車検時は、他の整備と同時作業することで工賃を抑えられるケースもあるため、事前相談がおすすめです。
ブーツ類を長持ちさせるためにできること

ブーツ類は消耗品ですが、日常の使い方やちょっとした心がけで 寿命を延ばすことは十分可能です。
ここでは、特別な工具や知識がなくても実践できる、現実的な対策を紹介します。
日常運転で意識したいポイント
ブーツ類は、急激な動きや大きな負荷がかかるほど劣化が進みやすくなります。
そのため、
・急発進・急加速を控える
・フルロック状態での急な切り返しを避ける
・段差や縁石を乗り越える際は慎重に走行する
といった運転を心がけるだけでも、ブーツへの負担を軽減できます。
ブーツに負担をかけやすい運転操作とは
特に注意したいのが、ハンドルを大きく切った状態での発進・加速です。
この動作はドライブシャフトブーツやタイロッドエンドブーツに強いねじれと伸縮を同時に与えるため、劣化を早める原因になります。
点検・洗車でできる簡単な予防策
ブーツ類は、泥・砂・融雪剤などが付着したまま放置すると劣化が進みやすくなります。
そのため、定期的な下回り洗浄が効果的です。
下回り洗浄が効果的な理由
下回りを洗うことで、
ゴム表面に付着した汚れを除去できる劣化の原因となる薬剤を洗い流せる
破れやひび割れに早く気づける
といったメリットがあります。
高圧洗浄機で強く当てる必要はなく、水で流すだけでも十分な予防効果が期待できます。
まとめ|ブーツ類の点検は車検対策と安全の第一歩
ブーツ類は、普段あまり意識されない部品ですが、車検の合否や安全性に直結する重要なパーツです。
破れや劣化があれば車検には通らず、放置すれば修理費用が高額になる可能性もあります。
定期的な点検早めの交換
日常的な予防意識
これらを意識することで、車検トラブルを未然に防ぎ、愛車を長く安全に乗り続けることができます。
車検前だけでなく、日頃からブーツ類の状態に目を向けておくことが、結果的に安心・安全・コスト削減につながると言えるでしょう。


車検ではタイヤやライトだけでなく、目に見えにくい「ブーツ類」も検査対象です。ゴム製のカバーですが、破れていると車検に 通らなくなるだけでなく重要な部品の故障リスクが高まります。
この記事では、ブーツ類の役割・車検との関係・交換費用や長持ちさせる方法まで徹底解説します。