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最近よく耳にすることが多い、「ユーザー車検」ですが、ユーザー車検とは、どのようなものなのでしょうか?

車検を自分で行う「ユーザー車検」とは、どんなもの?


車検には、ディーラーや整備工場、民間車検場に依頼する通常の車検のほかに、自ら車検を行う「ユーザー車検」があります。
この項目では、ユーザー車検の特徴やメリット・デメリットについてお話しました。
ユーザー車検とはどのようなもの?
ユーザー車検とは、ディーラーや自動車整備工場、民間車検場などに依頼せず、自分で運輸支局や軽自動車検査場に自ら車を持ち込んでユーザー自身で車検を行うことです。
ユーザー車検のメリット
ユーザー車検を受けることは、以下のメリットがあります。
ユーザー車検を受けるメリット
通常の車検よりも費用を抑えられる
車に対する知識や整備スキルが身に付く
合格すれば車検が1日で終わる
通常の車検よりも費用を抑えられる
予約や必要書類の手配、手続きなどを全て自分で行うため、通常の車検よりも手間や時間がかかりますが、車検にかかる費用を安く抑えることができるのがユーザー車検の魅力の一つでしょう。
通常の車検よりも最大で3~4万円ぐらいは安く抑えることができるのがユーザー車検の最大のメリットかもしれませんね。
車に対する知識や整備スキルが身に付く
ディーラ―や整備工場などの車検業者がお客様のクルマを車検場に持ち込んで車検を行うのと同じ手順で、自ら車検を行わないといけない為、車に関する知識や整備スキルを深めることが出来たり、自身の車に対する愛着がより一層上がるといったメリットがあります。
ユーザー車検を受けるには、車に関する整備スキルや知識が必要なため、整備スキルに自信がある方や現役の整備士の方にはおすすめの車検の方法です。
合格すれば車検が1日で終わる
ディーラ―や整備工場、民間車検場などの業者に車検を依頼すれば、平均で2~3日はかかります。その点、ユーザー車検は最短1時間ほどで検査が終了します。車を自身で検査場に持ち込む手間はあるものの、終了すれば、その日のうちに愛車に乗れるところもユーザー車検のメリットでしょう。
ユーザー車検のデメリット
ユーザー車検を受けることは、メリットだけではなくデメリットもあります。
ユーザー車検のデメリット
車の整備状況によっては不合格になる可能性がある
公的な車検場のため、土日祝日は営業していないので平日に時間を取らないといけない
別途で24ヵ月法定点検を受けないといけない
追加整備が必要な場合、修理費用が生じる
車の整備状況によっては不合格になる可能性がある
先述しましたユーザー車検のメリットで、「車に対する知識や整備スキルが身に付く」といったお話をしましたが、その反面、車に対する知識や整備スキルが乏しいと、不合格になる可能性があるのがユーザー車検です。
整備が行き届いていなかったり、検査時の操作ミスなどが原因で不合格になることもあります。検査項目がいくつもあるうちの1箇所でも不適合と判断されると不合格になるので、その場合は必ず問題個所を確認しましょう。
ユーザー車検は、当日中であれば最大2回まで無料で検査を受けることができます。修理が必要でその日のうちに再検査が受けられない場合は、15日以内に再検査を受けるようにしましょう。
公的な車検場のため、土日祝祭日は営業していないので平日に時間を取らないといけない
運輸支局や軽自動車検査協会は公的な機関です。営業日や営業時間が決まっています。当然ですが、土日祝日や年末年始(12月29日~1月3日)は閉庁日となっています。
そのため、休日が土日祝日のサラリーマンの方は、別途平日に休みを取らないとユーザー車検を受けることができません。
運輸支局 | 軽自動車検査協会 | |
営業時間 | 8時45分~11時45分 13時~15時45分 |
8時45分~11時45分 13時~16時 |
営業日 | 土日祝 12月29日~1月3日 |
土日祝 12月29日~1月3日 |
別途で24ヵ月法定点検を受けないといけない
車検とは別に受けないといけない検査で、「24ヵ月法定点検」があります。整備記録を自分で作成し記録することはできますが、設備や整備スキルが必要です。
ですので、ユーザー車検を受ける場合は、24ヵ月法定点検を業者に依頼することが必要になってきます。そのための時間を取らないといけないことや、別途に費用が必要になります。
追加整備が必要な場合、修理費用が生じる
不合格と判断されると追加で整備が必要になります。特に部品の消耗や劣化の場合は交換しないといけないので、その費用も発生します。
特にヘッドライトやサイドスリップなどに関わる修理は設備が必要なため、業者やカー用品店に依頼するのが良いでしょう。
車検費用を安く抑えられるなどのメリットがある反面、不合格になる可能性もあるなどのデメリットもあるのがユーザー車検の特徴です。
ユーザー車検には、それなりの準備や覚悟が必要なのです。では、ユーザー車検を受ける際に必要な書類と費用は、どのようなものでしょうか?次の項目で見ていきましょう。
ユーザー車検を受ける際に必要な書類と費用


先述した項目で、ユーザー車検のメリット・デメリットはご理解戴いたと思いますが、いざユーザー車検を受けようと決断した際に、必要な書類はどれとどれなのか?また費用はいくらかかるのか?気になりますよね。
この項目では、ユーザー車検に必要な書類と費用についてお話しました。
必要な書類一覧
ユーザー車検を受ける際に必要な書類は、ディーラーや整備工場、民間車検場に依頼する際に用意する書類よりも多いです。ユーザー車検に必要な書類の名称と意味は以下の通りです。
ユーザー車検に必要な書類とその意味
OCR申請書
車検の際に車検証をコンピューターで発行するために必要な申請書。正式名称は「継続検査申請書」
自動車検査証(車検証)
通常の車検証のことです。
自動車検査票
車検や構造変更検査、新規登録検査などの際に、自動車の保安適合基準状況を記録する書類です。車検証に記載された情報を基に記入し、検査項目ごとに合否が付けられます。
自動車損害賠償責任保険証明証(自賠責保険証)
自動車やバイクが自賠責保険に加入していることを証明する書類です。自賠責保険は、自動車損害賠償保証法に基づいて定められた強制保険であり、すべての自動車やバイクに加入が義務付けられています。
自動車重量税納付書
ユーザー車検時に必要な書類で、車両の重量に応じて課される自動車重量税を支払ったことを証明する書類です。1年ごとにかかる重量税を車検時にまとめて支払います。車検当日に窓口で用紙をもらい、車検証を基に必要事項を記入します。
自動車税(種別割)納税証明書または軽自動車税(種別割)納税証明書
自動車税もしくは軽自動車税を納入したことを証明する書類です。自動車税および軽自動車税は、4月1日時点で車検証に記載されている車の所有者が納める税金で、毎年継続して納入します。
点検整備記録簿
24ヵ月法定点検の整備内容を記録した書類です。別名「メンテナンスノート」とも呼ばれます。点検整備記録簿にはハンドルやブレーキ、ヘッドライトなどの点検項目が記載されています。車検の検査員は、この記録簿を基に保安基準に適合しているかどうかを確認します。
手数料納付書
車検に関する手数料を納付するための書類です。ユーザー車検の手数料納付書には、車検証の情報を記入し、必要な金額分の収入印紙を貼り付けて提出します。
必要な費用
ユーザー車検に必要な費用は、法定費用と整備費用の合算です。
法定費用の内訳は、以下の通りです。
法定費用の内訳
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)
自動車重量税
検査手数料
上記を合算した費用は、普通車で約5万円、軽自動車で約3万円ほど。
整備費用は、部品の交換等が発生した場合にのみ生じます。車体や部品に問題がなく、無事検査をパスした場合は、法定費用のみでユーザー車検を受けられます。
ユーザー車検の流れ(予約~完了まで)


ユーザー車検は、車検を予約することから始まり、検査証が発行されて終了します。この項目では、その流れと内容をお話しました。
ユーザー車検の予約
まずは、ユーザー車検の予約をします。運輸支局・軽自動車検査協会ともに、ネットでの予約に対応しています。予約は車検実施日の14日前から予約できます。予約なしの飛び込みではユーザー車検を受けることができないので要注意です。
必要書類を準備
予約が完了したら、必要書類を準備します。
事前に準備しておく書類と車検実施日当日に準備する書類は以下の通りです。
事前に準備する書類
自動車検査証(車検証)自動車税(種別割)納税証明書または軽自動車税(種別割)納税証明書
自動車損害賠償責任保険証明証(自賠責保険証)
定期点検整備記録簿
車検実施日当日に準備する書類
自動車重量税納付書OCR申請書(継続検査申請書)
自動車検査票
手数料納付書
運輸支局または軽自動車検査協会に到着したら上記の書類をもらって記入しましょう。書き方がわからない場合は職員の方に聞けば教えてくれるでしょう。
窓口で受付・手続き
車検実施日当日、運輸支局・軽自動車検査協会に着いたら、事前に用意しておいた書類を提出します。その際にOCR申請書(継続検査申請書)、自動車検査票、自動車重量税納付書を記入しますので、設置してある書き方に従って記入して下さい。
検査開始~完了までの内容(検査項目)
ユーザー車検での検査項目は以下の内容になっています。業者に依頼する内容と同じです。
ユーザー車検での検査項目
同一性確認
外廻り検査
サイドスリップ検査
ブレーキ検査
スピードメーター検査
ヘッドライト検査
排気ガス検査
下廻り検査
完了後、検査証が発行される
検査(再検査)に合格すれば、検査証が発行されて、車検は終了です。
ユーザー車検で不合格になった場合の対処法


ユーザー車検では、車の整備状況によっては不合格になる可能性もあります。でも、本当に不合格になってしまったら凄い焦りますよね。
この項目では、ユーザー車検で実際本当に不合格になってしまった場合の対処法についてお話しました。
ユーザー車検で不合格になった場合
当日中に再検査を受ける15日以内に再検査を受ける
15日以降に再検査を受ける
当日中に再検査を受ける
ユーザー車検は、当日中に2回まで再検査を受けることができます。
追加の費用はかからず無料で受けられますが、当日中に再検査を受けるための修理や整備を行わないといけません。もし、間に合わない場合は、後日に再検査を受けるようにしましょう。
15日以内に再検査を受ける
ユーザー車検を受けた日から15日以内であれば、不合格になった不適合箇所だけの検査で済みます。そのため、初回の検査に比べてとても短時間で検査が終了します。
ただし、15日以内に再検査を受ける場合は、運輸支局や軽自動車検査協会の検査場の窓口で「限定自動車検査証」を発行してもらわないといけません。この検査証の有効期限は15日なので、これを過ぎると最初からユーザー車検を受けなければいけなくなります。
15日以降に再検査を受ける
15日を過ぎてからユーザー車検を受けることもできます。ただし、この場合は最初から検査を受けることになり、手続きも最初からしないといけませんし、費用も発生します。とても勿体ないですね。
車検証が切れるリスクもあるので、できれば15日以内に再検査を受けるようにしましょう。
ユーザー車検で一発合格するための必勝法


いくら厳しいユーザー車検とはいえ、不合格は避けたいもの。
この項目では、ユーザー車検に一発合格して、晴れてその当日から愛車に乗れるような「ユーザー車検必勝法」についてお話しました。
近隣のテスター場(予備検査場)で予備検査を受ける
テスター場(予備検査場)とは、ユーザー車検と同じ検査を受けることができる施設のことです。たいていの地区は、運輸支局か軽自動車検査協会の近隣にあることが多いです。ユーザー車検の直前にテスター場(予備検査場)を利用することで不具合を発見できます。
費用は、神奈川県にある施設の費用を例に挙げると、
ヘッドライト、サイドスリップ、スピードメーター、ブレーキ、排気ガス、電気廻りランプ類チェックの前箇所であれば4,000円で、下廻り目視点検は500円~となっています。
事前に整備を行っておく
ユーザー車検とは言え、やはり「段取り9分、実行1分」なのです。
事前に愛車の整備を入念に行っておくことや、普段からメンテナンスを丁寧に行っておくと、いざというときに焦ったり困ったりしないものです。愛車のメンテナンスをおろそかにして、一発合格しようというのはあまりにも虫が良すぎるように思います。
自分のメンテナンスに不安がある方は、ディーラーや整備工場に相談して整備を依頼しましょう。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●車検を自分で行う「ユーザー車検」とは、どんなもの?
●ユーザー車検を受ける際に必要な書類と費用
●ユーザー車検の流れ(予約~完了まで)
●ユーザー車検で不合格になった場合の対処法
●ユーザー車検で一発合格するための必勝法
でしたね。
ユーザー車検にはメリットもあればデメリットもあります。両方を理解した上で、事前にしっかり準備することで、一発合格することも十分できますし、ユーザー車検を経験することで車の知識や整備スキルが上がったり、車に対する愛着が湧いてきたりして、良いことが多いのです。
今回のお話を参考にして戴ければ幸いです。
ユーザー車検は、ディーラーや整備工場、民間車検場に依頼する通常の車検とは違った難しさがあります。でも、きちんと内容を理解していれば、十分、一発合格できますし、恐れることはありません。
今回は、ユーザー車検の特徴やメリット・デメリット、一連の流れ、一発合格するための必勝法についてお話しました。
ぜひ、参考にして戴いて、ユーザー車検に果敢にチャレンジしてみて下さい。