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車の売却をする際に、疑問として多いのが、「未経過分の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の保険料って返ってくるの?」という質問です。

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは?


車を所有していると必ず加入する自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)ですが、自賠責保険とは何なのでしょうか?
この項目では、自賠責保険の意義や目的、支払っている保険料の目安についてお話しました。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は強制加入の保険
任意保険と違い、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、自動車および原動機付自転車(原付バイク)を使用する以上、すべての車の所有者に強制的に加入を義務付けられている保険になります。
公道で走行する際に加入が義務付けられているところから別名を「強制保険」とも呼ばれています。
人身事故発生時の被害者救済が目的の保険
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、自動車損害賠償保障法が施工された1955年(昭和30年)に交通事故が発生した場合の被害者の補償を目的として開始された対人保険制度です。
あくまでも、人身事故の場合の被害者補償を目的としているため、人身事故が発生した際であっても、加害者の車の修理代や物損(建物や被害者の車など)の補償はされません。
自賠責保険は、すべての自動車保有者があらかじめ加入することで、交通事故の被害者は「被害者請求制度」を使うことによって、加害者を介することなく、「最低限の損害賠償金」を直接受け取ることができます。
支払っている自賠責保険料の目安
自賠責保険料の目安は以下の表のとおりです。
保険期間 | 自家用乗用自動車(普通自動車)単位(円) | 軽自動車(検査対象)単位(円) |
12ヵ月 | 11,500 | 11,440 |
13ヵ月 | 12,010 | 11,950 |
24ヵ月 | 17,650 | 17,540 |
25ヵ月 | 18,160 | 18,040 |
36ヵ月 | 23,690 | 23,520 |
37ヵ月 | 24,190 | 24,010 |
※上記の金額は本土用です。沖縄県やその他離島では異なります。(令和5年4月1日以降始期の契約に適用)
豆知識:自賠責保険の期間と車検期限がずれる理由
新車購入時の初回車検は3年、その後の継続車検は2年です。ではなぜ、自賠責保険は上記の表のように25ヵ月や37ヵ月といった期間が存在するのでしょうか?
その理由は、車検を通すことができるのは、自賠責保険に加入しているのが前提となります。車検を受けている際に整備不良などで車検がやり直しになってしまった場合、自賠責保険が車検期間と同じであると、車検を通す前に自賠責保険が切れてしまう事態が発生してしまいます。
自賠責保険が切れた状態では公道を自走することができず、車検を通すための余計な手間がかかってしまいとても厄介な状態になるのを防ぐために、あらかじめ自賠責保険の保険期間を13ヵ月、25ヵ月、37ヵ月と言った期間を設定しているのです。
自賠責保険料が還付されない理由と、どういうときに還付されるのか?


車を売るだけでは自賠責保険料は還付されません。ただし、買取業者の対応によっては形を変えて還付される場合もあったりするのです。そこは買取業者によって対応がマチマチです。
また、廃車の場合は自賠責保険料が還付されます。
自賠責保険料が還付されない理由と還付される場合、どのような対応になるのか?廃車の場合の還付に必要な書類についてお話しました。
車売却の場合は自賠責保険料は還付されないが査定額に上乗せされて戻ってくる場合が多い!
車を売却する際に未経過分の自賠責保険料は還付されるのか?と言った質問が多いようですが、基本的に売却の際の保険料の還付はありません。
理由は、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、該当の車が加入する保険になります。車を売却後も車は、売却先の買取業者および次のオーナーへと継続して所有されるからです。
「じゃ、未経過分の自賠責保険の分は損をするのか?」と言った意見も多いようです。業者によって対応はさまざまですが、実際に未経過分の保険料は売却する車の査定料に上乗せされて戻ってくる場合が多いのです。
ただし、未経過分の保険料が買取金額に上乗せされるのは、保険の残存期間が3ヵ月以上である場合です。これが残存期間が2ヵ月以下の場合は上乗せはされないことがほとんどです。理由は、車が売却されて次のオーナーへと渡るまでの期間で2ヵ月以上かかる場合がほとんどであり、そのときには保険が切れてしまい新たに加入する必要があるからです。
なので、愛車を売却する際は、必ず残存期間の保険料の還付はあるのか?また、買取明細に金額が明記されていますが、自賠責保険料の未経過分の上乗せがあるのか?の確認をされることをおすすめします。
返金額は自動車査定協会(JAAI)が基準になっている
たいていの場合、車を売却すると車買取業者は、未経過分の自賠責保険料の残額を計算して買取金額に上乗せした形で還付してくれる場合がほとんどです。
その際に、還付金額は自動車査定協会(JAAI)の自賠責残加算表の数字を参考にして残額分の計算を行います。下記の表はその未経過分の期間によって「1点=1,000円」で計算を行います。
自賠責残加算表(その11) (2年車検用)
車種・残月数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
普通自動車 | 1 | 1 | 2 | 2 | 3 | 3 | 4 | 4 |
軽自動車 | 1 | 1 | 2 | 2 | 3 | 3 | 4 | 4 |
車種・残月数 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
普通自動車 | 5 | 5 | 6 | 6 | 7 | 7 | 8 | 8 |
軽自動車 | 5 | 5 | 6 | 6 | 7 | 7 | 8 | 8 |
車種・残月数 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
普通自動車 | 9 | 9 | 10 | 10 | 11 | 11 | 12 | 12 |
軽自動車 | 9 | 9 | 10 | 10 | 11 | 11 | 12 | 12 |
※保険期間の開始が令和5年4月1日以降のものに適用する
引用先:自賠責残加算表(その11)
上記の表の加算表は、「自賠責残月数の保険解約料(損害保険料率算出機構が定める解約保険返戻料)を四捨五入し、自賠責残点点数とする」としています。
また、車検残月数と自賠責の計算方法は、下記の引用の通りです。
査定年月日から起算して満月数で計算し、翌月の査定日と同日をもって1ヵ月とし、1ヵ月に満たない日数は算入しない。
[車検残月数、自賠責の計算例]査定年月日 ○○年5月16日、車検証有効期間、同年8月20日、自賠責同年8月21日とした場合、
○○年5月16日~同年8月16日まで3ヵ月
8月17日~20日、21までは算入しない。
還付される金額は、上記のように自動車査定協会(JAAI)の加算表を参考にして買取店が計算します。ただし、必ずしも1点=1,000円でお金が還付されるわけではなく、還付される金額は買取店によってマチマチです。加算表の数字はあくまでも参考だということをご理解しておいて下さい。
ただ、このような計算方法があるということを知った上で売却をするのと、知らずにするのとでは全く状況が違ってきます。有利に売却をすすめる意味でもある程度の知識は必要だということですね。
廃車の場合は自賠責保険料は還付される
車の登録を抹消して、廃車の手続きをするということは、付随している自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)も消滅するということになります。
その場合、売却では還付されなかった自賠責保険料が戻ってくる可能性があります。自賠責保険料の還付には廃車にする際の自動車の登録抹消が必要です。必ず業者に確認するようにしましょう。
自賠責保険料の還付に必要なもの
廃車で登録を抹消する際に必要なものがいくつかあります。
自分でも簡単に用意することができるものばかりですので、忘れずに用意して未経過分の自賠責保険料を受け取れるようにしておきましょう。
一時抹消登録証明書の原本(一時抹消するなら)
・乗りたい人がいれば譲りたいので、解体しないで抹消登録だけをしておきたい
一時抹消登録を行うには下記のものが必要になります。
・印鑑証明書(車の所有者のもので、発行日から3ヵ月以内のもの)
・印鑑(所有者本人が申請するときは実印、所有者本人が直接申請できない場合で代理人が申請する場合は、実印を押印した委任状
・自動車検査証(車検証)
・ナンバープレート
・申請書
・手数料印紙(350円)
・車検証に記載されている所有者の氏名・住所と印鑑証明書の氏名・住所が一致しない場合は、それぞれ変更の経緯のわかる次のものが必要➡個人:住民票・戸籍謄本・抄本 法人:商業登記簿謄本・抄本(発行日から3ヵ月以内のもの)
登録事項等証明書(廃車にするなら)
登録事項証明書の交付請求には以下のものが必要になります。
・請求書(運輸支局または自動車検査登録事務所の窓口で配布しています。)
・自動車登録番号と車台番号
・請求の事由
・請求者の氏名および住所
・手数料納付書:1件につき300円
・請求される方の本人確認をする書面(運転免許証、健康保険証、住民基本台帳カードなど、本人の氏名・住所が確認できるもののいずれか)
自賠責保険証の証書

自動車損害賠償責任保険証書(自賠責保険証)は、加入した際に発行されるものであり、通常は車検証と一緒に車のグローブボックスに保管されている場合が多いです。
理由は、自動車を公道で走行させる場合に、運転免許証と同じく携帯する義務があり、不携帯の場合は「30万円以下の罰金」ということになっています。
また、うっかり紛失してしまった場合は、再発行ができます。再発行は保険会社または保険代理店の窓口で行っています。再発行の際に窓口に持参するものは、
・印鑑
・本人だとわかる本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポート等)
ただ、無いと運転ができないので、再発行の際は公共交通機関を利用しましょう。
所有者の印鑑
自賠責保険の契約者の印鑑も必要です。法人の場合は法人印を用意しましょう。実印である必要はありません。本人が契約したことが確認できればそれで充分でしょう。あくまでも契約者本人による手続きであることを証明できればそれでいいのです。
振込先の口座情報
廃車をすることによる自賠責保険の還付金は、たいていの場合銀行振り込みになります。自分の口座情報を用意しておきましょう。解約日は廃車をした日ではなく、自賠責保険の解約を申し出た日になります。要するに、解約に必要な書類一式を提出し、保険代理店が受け取った日です。
手続きが遅れると還付される金額も少なくなってしまうので迅速に対応できるようにしましょう。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている場合の車の売却を行うときの注意点


通常の車売却の場合だと、買取店に見積もり依頼をすることで、車の売却を進めることができますが、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れた状態の車を売却する場合は、ちょっと注意が必要です。手順や手間が倍かかるので厄介なのです。
この項目では、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている車の売却をする際の手順ややり方、注意点についてお話してみました。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れていると公道を走行できない!
車検切れの車で公道を走行した場合の罰則
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている車で公道を走行した場合の罰則
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている車を売却するときの対処法
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れていると公道を走行できない!
車を所有して公道を運転する場合は、必ず自賠責保険への加入が必須だということは、支払っている自賠責保険料の目安の項目のところで先述している通りです。自賠責保険が切れている車では公道を走行することはできません。
同時に、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れているということは、車検も切れているはずです。自賠責や車検が切れた車であっても車の売却はできますが、そんな状態の車を運転して買取店などに査定に出向いたらどうなるでしょうか?とても重い罰則が待っているのです。
車検切れの車で公道を走行した場合の罰則
もし、車検の切れた車で公道を走行した場合の罰則は下記のとおりです。
「無車検車運行」という罰則で道路運送車両法第58条違反となり、以下の罰則が科されます。
・刑事処分:30万円以下の罰金または6ヵ月以下の懲役
・行政処分:違反点数6点、免停30日間
また、前歴が重かったり累積点数が多かったりする悪質な場合は、運転免許取消の可能性もあります。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている車で公道を走行した場合の罰則
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている車で公道を走行した場合の罰則は下記の通りです。
「無保険車走行」として自動車損害賠償保障法第5条違反として、以下の罰則が科されます。
・刑事処分:50万円以下の罰金または1年以下の懲役
・行政処分:違反点数6点、免停30日間
車検と自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の両方が切れている車で公道を走行した場合の罰則
「無車検車運行」に「無保険車走行」が合わさると、刑事処分については刑法によって併合され、行政処分に関しては免停期間が延長されます。罰則は以下の通りです。
・刑事処分:80万円以下の罰金または1年6ヵ月以下の懲役
・行政処分:違反点数6点、免停90日間
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている車を売却するときの対処法
先述した通り、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れた車で公道を走行することは固く法律で禁じられていますし、違反をしてしまうと、重篤な罰則が待っています。そのようなことにならないように、ここでは自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れた車を売却する際の方法や注意点についてお話しました。
出張査定を利用する
車の売却を依頼する場合には、査定を行いますよね。それで買取店が納得のいく価格を提示したら売却を決めるかとのでしょうが、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている車では公道を走行できないため、こちらから買取店などに査定に出向くことはできませんね。
そこで、ぜひ利用すれば良いのが無料の出張査定です。昨今は無料の出張査定を行っている買取店も多く見かけます。買取店に自宅や車を保管している場所まで出向いてもらって査定をしてもらうと良いでしょう。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)に再加入し、仮ナンバーを取得する
仮ナンバーとは、車検の切れた車が暫定的に公道を走ることができるための走行許可を与えるナンバープレートのことです。正式名称を「自動車臨時運行許可番号標」と呼びます。街中でたまに赤い斜め線が入ったナンバープレートを見かけたことがあるかと思いますが、あれが「仮ナンバー」になります。
仮ナンバーを取得するには、切れてしまった自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)に再加入しなくてはなりません。自賠責保険の有効期限が切れている場合は、以前に加入していた保険会社の窓口で再加入の手続きをします。手続きに必要な書類は以下の通りです。
自賠責保険に再加入したら、以下の書類を持ってお住まいの市区町村の窓口へ向かい、仮ナンバーの申請手続きを行います。申請に必要な書類は以下の通りです。
また、仮ナンバーは発行から最大で5日までと有効期限が決まっています。それと事前に申請した使用目的や運行経路、所要時間の通りに車を走らせないといけないため注意が必要です。
仮ナンバーを取得しない場合の売却は運搬費用がかかる
仮ナンバーを取得するのが面倒でも車の売却は可能です。
ただし、仮ナンバーも無い状態では公道を走行することができないため、査定が終わり売却が決まった場合、買取業者が車を引き取る際に、運送費の別途負担になります。
レッカー車等で牽引すると車輪が道路に設置するため、公道を走行したことになり法律違反になってしまいます。そのため車全体を荷台に載せた状態で積載することになるので、高くついてしまうのです。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは?
●自賠責保険料が還付されない理由と、どういうときに還付されるのか?
●自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が切れている場合の車の売却を行うときの注意点
でしたね。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、加入を義務付けられている保険です。保険料の還付は基本的には廃車をする場合ですが、査定に上乗せされる場合が多いことと、強制保険だけに有効期限が切れていると車の売却がとても厄介だということをご理解戴いたと思います。
有効期限を切らせることは稀かもしれませんが、車を売却などのための知識として知っておいて損は無いでしょう。
あなたの愛車の値段がわかる!
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「大事に乗ってきた愛車だから、できるだけ高く売りたい!」

車を大事に乗ってきた方の本音ではないでしょうか?でも、どこに見積もりに出せば高く買い取ってくれるのか?今まで車を買い換えるたびにディーラーなどに下取りに出していた方は迷うところですよね。
そういう方は、「車一括査定」を利用してみればいいかもしれません。
ただ、皆さんが心配されるのが、買取業者からの電話ラッシュですよね。
でも、大丈夫!楽天Car車買取なら、オークション形式なので、複数社からの電話ラッシュは一切無し!安心して、どこよりも高く愛車を売却できますヨ!
結論から言うと、車を売却するだけでは基本的には自賠責保険料は還付されません。でも、たいていの場合、買取業者によっては査定価格に未経過分の保険料を上乗せしてくれるパターンが多いようです。
今回は、車の売却に伴う自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)に関することと、保険料の還付について、詳しくお話しました。
ぜひ参考にして戴けると幸いです。