車売却での契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)とはどんなもの?|トラブルを回避する方法と解決策を徹底解説

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「愛車をできるだけ高売りたい!」

車を売却しようと思い立ったら誰もがそう思うでしょう。

要注意なのは今回のあなたは、「車を買う側」ではなく、「売る側」です。

車を売る側として考えておかないといけないのが「契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)」です。

ライター

全国的に意外と多いのは、車売却での契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)でのトラブルなんです。

今回はこの法律の内容と、トラブルに巻き込まれないための回避策などについて詳しくお話しています。是非参考にして戴いて、安心して車売却にお役立て下さい。

車売却での契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)とはどういうもの?

ライター

車を売却するということは、車を買う側と違い「売る側の責任」というものが発生します。

この項目では、契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)とはどのようなものなのか?例を挙げながらお話しました。法律用語ですので少し難しく感じるかもしれませんが、できるだけわかりやすいようにお話しましたので、参考になれば幸いです。

車売却における契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)とは?

契約不適合責任とは?
売主から買主へ引渡した目的物に、あらかじめ取り決めた種類や品質、数量に関して、契約内容に適合しない引渡しを行った場合につき、売主側で負担する責任のことを指します。

つまり、車売却における契約不適合責任が生じる事例を想像すると、

愛車を売却すべく買取業者に査定を依頼し、売却が成立したとします。

売買契約を済ませ、ホッとしたのもつかの間、契約が成立した買取業者から連絡があり、

査定時に申告されていなかったメーター改ざんが発見された
オークションに出した会場で事故車であることが判明した

などの理由で、買取代金の減額や契約の解除、損害賠償の請求などを買取業者からされてしまう。

という事態が全国あちこちで起こっているのです。

せっかく満足いく価格で車が売却できたのに、このようなことが起こってしまうと困ってしまいますよね。

車を売却することでこのようなことが起きないように、事前にしっかりと対策をしておきましょう。

 

「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ民法が改正

2020年4月の民法改正によって、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと改正されました。

改正民法前の瑕疵担保責任には売主の「隠れた瑕疵」が定義されていました。

ただ民法上、瑕疵には定義が明記されてはいませんでした。

瑕疵とは「個々の契約の趣旨に照らせば、目的物が通常有すべき性質・性能を欠いている」ということが解されており、買主が購入する時に発見できなかった目的物の欠陥を売主に責任追及できたのです。

ライター

民法の解釈はとても難しいのです。

ちょっと回りくどいですが、ここでは「隠れた瑕疵」を不動産を例に挙げて説明してみます。

例えば、新しく住宅を購入した際に、住宅の一室が雨漏りをした場合の事を想像してみましょう。

通常、新築住宅の購入においては、売主・買主の認識としては雨漏りをしない性質を備えていることを前提とした住宅の売買が行われているはず。新築の住宅から雨漏りがすることがわかったら誰もがびっくりしますよね。

これらの「瑕疵」の判断としては、「通常有すべき性質・性能」の「通常」であるかどうかは、売主と買主の当事者の合意だけでなく、社会一般に通用している常識や見解の観点からも判断されます。つまり、誰が見てもそのように判断される当たり前の状態のことですね。

このケースにおいては、売買の目的物である住宅の「通常有すべき性質・性能」は雨漏りをしないという性質と考えられるはずです。明らかに外見で損傷がある場合ならともかく、新築でピカピカの住宅が、まさか雨漏りするとはだれもが想像しにくいですよね。

また、「隠れた」というのは、瑕疵があることにつき買主が「善意無過失」であることが前提として解釈されていました。つまり、雨漏りしていることを認識していたり、容易に認識していた場合、雨漏りは「瑕疵」と考えられますが「隠れた」瑕疵ではないので、買主は売主に対して瑕疵担保責任を追及できないということになります。

つまり、住宅の雨漏りに対する責任追及が売主に対してできないのです。

これは、不動産である土地や住宅である場合と、動産である車の場合も同じことが言えます。

売主が中古車で買って何年か使用した後に売却した。売却した車が実はメーター改ざん車であったことが判明した場合、メーターが改ざんされていたことを売主は知らなかった、つまり、「善意無過失」であったわけです。その場合は売主は瑕疵担保責任を追及されなかったわけです。

それが、2020年4月の改正民法による「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと移行したことによって、上記のメーター改ざんの例がたとえ善意無過失であっても売主へ責任追及できるようになったということなのです。

 

契約不適合責任と民法が改正されたことにより買主保護が強化された

民法改正にあたっては、この「隠れた」、「瑕疵」という表現を削除し、売主の責任が発生する場合を「目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」と明記しました。

つまり、買主保護の一層の強化へと民法が改正されたということになりました。

民法を引用しますと、以下の内容になります。

(買主の追完請求権)
第562条
引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は売主に対し、目的物の修補、代替物の引き渡しまたは不足分の引き渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

引用先:e-Gov 法令検索

民法は書き方が堅苦しいのでわかりにくいかと思います。下の表を参照してみて下さい。

種類に関する契約不適合 購入したものと違う種類の商品を間違って引き渡した場合
品質に関する契約不適合 商品が契約で予定されていた品質の基準を満たしていなかったとき
数量に関する契約不適合 引き渡された数量が購入数量に不足する場合

 

それと同時に、売主に上記のような契約不適合責任が認められる場合に、買主が取り得る手段として下記のように制定されました。

(買主の請求権)
契約解除(564条):契約解除(解除に基づく代金返還請求)
損害賠償請求(564条):損害賠償請求
追完請求(562条1項):修補請求、代替品引渡し請求、不足分の引渡し請求
代金減額請求(563条):購入代金の減額の請求

引用先:e-Gov 法令検索

民法改正によって新たに、「追完請求」と「代金減額請求」が追加されています。

これらの改正民法を車の売却にあてはめると、車を売却する立場である皆さんが売主で、買取業者が買主となるわけですから、車を売却する際には十二分に契約不適合責任に対する対策をしておかないと、想定外のトラブルに遭ってしまうことになるのです。

車売却における契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)のトラブルを回避する方法

 

ライター

愛車をなるべく高く売りたいけど、契約不適合責任によるトラブルだけは絶対に避けたい!

ここでは、契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)によるトラブルを回避する方法についてお話します。

普段からこまめにメンテナンスをやっておく

普段からのメンテナンスをこまめに行っておくことで、車の不具合を防ぐことができますし、車の状態がどうなのか把握することができます。

逆に、普段のメンテナンスが適当だと、不具合や故障が起きやすいですし、突発的な不具合に遭遇してしまう可能性が高まってしまいます。

例えば、オイル交換はいつやったとか、そろそろタイヤの溝が無くなってきたぞって感じで愛車の状態を常に把握しておくのです。メンテナンスノートに交換した部品や日付、距離数などできるだけ詳しく明記しておくと管理しやすいでしょう。

また、メンテナンスの際にディーラーや修理工場の担当メカニックと親しくなって、車の状態や今後しておくべきメンテナンスを把握しておくと安心ですね。

車を大切にする人のための車のメンテナンス13項目|ポイントと注意点を徹底解説!

 

事故歴や修理歴、不具合を隠さず正直に申告する

自分の車がいつ、どこを修理したか?事故があるか無いかは、オーナーであるあなたが一番知っているはずです。愛車にもし、事故歴や修理歴がある場合は、査定士に正直に申告して下さい。

「愛車をできるだけ高く売りたい!」という気持ちはよくわかります。しかし、事故歴や修理歴を隠して査定に出すのだけは絶対にやめておいて下さい。

査定時に、愛車に事故歴や修理歴があった場合に正直に報告しておくと、後で契約不適合責任に伴うトラブルに発展することを防ぐことができます。

いずれにせよ、相手は査定のプロです。

事故歴や修理歴は、隠しても簡単に見つけてしまいます。そんなことをして車を査定に出したら契約不適合責任のトラブルに発展してしまう以前に、あなた自身の心象を悪くするでしょうし、後味が悪いでしょう。

正直に申告して、すっきりと次の車に乗りましょう。

 

良い買取業者を選ぶ

車売却でのトラブルを回避する手段の一つとして、査定を依頼する際に「良い買取業者を選ぶ」のはとても大切です。

たとえ、買取業者がテレビやラジオのCMで有名な業者であっても、最近とても悪いことをする業者もいたりします。有名な業者だからといって安心できるわけではないのです。

査定を依頼する買取業者を選ぶ方法として下記の方法があります。

 

複数の業者に査定を依頼する(競合させる)

近年は一括査定と言ったインターネットで一社に査定を依頼するだけで複数の買取業者から相見積もりが取れるサイトもたくさんあります。「一括査定サイト」と呼ばれていますが、使ってみると良いでしょう。

 

即決をひつこく迫ってくる業者は断る

ひつこく即決を迫ってくる業者は断りましょう。このような業者は、契約成立後にトラブルになる可能性が高いです。

汚い言い方かもしれませんが、買取業者にとって中古車は大切なビジネスの餌です。餌に逼迫している業者ほど即決を迫る傾向にあります。売れていないセールスマンのようなものです。

近年は昔と違い、車人口が減り続けており、車が売れない時代なのです。かと言ってそんな強引な商売しか出来ない業者は自然淘汰されていくでしょう。

 

JADRI(日本自動車流通研究所)加盟店を選ぶ

「JADRI」という社団法人に加盟している業者に絞って査定を依頼するのも良いでしょう。

JADRIは優良な買取業者のみを会員にすることで、中古車業界の質の向上や規模の拡大を目指している団体です。これに加盟している業者は、買取後の再査定を禁止しているので、安心して査定を依頼することができます。



 

車売却でトラブルになってしまったら

 

ライター

愛車を売って、うっかり買取業者とトラブルになってしまったり、運悪く悪徳業者に当たってしまった場合は、慌てずに落ち着いて対処を行いましょう。

車売却でのトラブルは、一般の方が一人で解決するには難易度が高いかもしれません。無料の相談先も複数ありますので、ここではそれについてお話します。

トラブルになってしまった場合の相談先

車売却で買取業者と想定外のトラブルに遭ってしまった場合は、以下の相談先に相談することをおすすめします。

相談先 特徴 リンク
国民生活センター 国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地により、国民生活に関する情報の提供および調査研究を行うとともに、重要消費者紛争について法による解決による手続きを実施している。 国民生活センター
JPUC車売却消費者相談室 車買取のトラブルに精通した相談員を配置し、困りごとに迅速なアドバイスをもらえる相談窓口。 JPUC車売却消費者相談室
法テラス 法テラス(日本司法支援センター)は、さまざまな法的トラブルを抱えてしまったとき、問題解決の道案内をしてくれる相談窓口。 法テラス

国民生活センター、JPUC車買取消費者相談室、法テラスは、電話での相談が基本になるため、あくまでも相談ということで解決力には乏しいかもしれません。

ただ、法律や専門の知識に乏しい一般の方からすれば、解決への知恵を授けてくれるので、相談してみることをおすすめします。

それでも、解決しない場合はお金を払って弁護士を雇うしかないかもしれません。ただ、契約書や文書に落ち度は無いかなど具体的な解決策でしっかりと対応してくれるでしょう。

 

まとめ

今回お話した内容は大きく分けて以下の通りです。

車売却での契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)とはどういうもの? 改正民法により、瑕疵担保責任から契約不適合責任へ改変されたことによる内容の変更や、契約不適合責任はどういうものか?また、旧瑕疵担保責任との違いを説明しています。
車売却における契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)のトラブルを回避する方法 車売却でトラブルにならないための、具体的な対処法について説明しています。
車売却でトラブルになってしまったら もし、想定外のトラブルに巻き込まれてしまった場合の相談先を説明しています。

 

車売却でのトラブルは、全国的に意外と多いのが現状です。

「自分だけは大丈夫」と油断せずに、万全の備えをしておきたいですね。

 

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ライター

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