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愛車のタイヤ・ホイールのインチアップをしたけど、ハンドルが重くなったり乗り心地が悪化したりしたという話をよく耳にします。
特に2インチ以上のインチアップは、足回りのバランスが大きく狂ってしまうのです。きっちりとセッティングをすれば別なのですが、そこまでする人が少ないのです。

タイヤ・ホイールのインチアップで、乗り心地が悪くなる原因


タイヤ・ホイールのインチアップをしたら、車はカッコ良くなります。しかし、その犠牲になってしまうのが、「乗り心地」なのです。
この項目では、インチアップによって乗り心地が悪化する原因と対策についてお話しました。
インチアップでハンドルが重くなったり、乗り心地が悪くなる原因は「バネ下重量」にある!
せっかく高いお金をかけてタイヤ・ホイールをインチアップしたのに、ハンドルは重いわ!乗り心地は悪くなるわ!で最悪!って状況になっていませんか?
原因を言ってしまいますと、たいていの場合は「バネ下重量」が重くなっていることに原因がある場合が多いのです。

一部画像引用先:タイヤ&ホイールの専門量販店「フジ・コーポレーション」
「バネ下重量」とは、サスペンションの付け根の部分である「アッパーマウント」と呼ばれるお皿のようなパーツより下の位置を占めるショックアブソーバーやコイルスプリングといったサスペンション、ブレーキローターやキャリパーといったブレーキ類、タイヤ&ホイールなどのパーツ群の総重量のことを指します。
インチアップをすることで、タイヤ&ホイールの重量が重くなり、足廻りのレスポンスが鈍くなったり、ハンドルが重くなったり、乗り心地が悪化したりして、機能性に悪影響が出るのです。
タイヤ・ホイールのインチアップによって、インチアップする前よりもタイヤ・ホイールの重量が重くなっていることが多いはずです。車というものは、車を製造する時点で純正パーツ同士でバランスが取られているからです。
特に足回りは、サスペンションやタイヤ・ホイールのバランスが走行性能に大きく影響するため厳密に設計されています。インチアップによって、社外品のタイヤ・ホイールに交換するということは、バネ下重量が重くなり、バランスが多少なりとも崩れるのです。
タイヤ・ホイールをインチアップするということは、それだけバネ下重量が重くなるということを理解しておきましょう。
例えば、現行(2022年8月現在)のカローラ(WxB 2WDハイブリッド)ですと、車両重量は約1,370㎏で純正のタイヤサイズは、215/45R17です。ホイールサイズは、リム径が17インチで、リム幅が7Jになります。
これを、18インチにインチアップしますと、タイヤサイズは215/40R18となり、ホイールサイズはリム径が18インチで、リム幅は変わらず7Jとなります。純正の17インチのホイールが12㎏前後でタイヤが10㎏前後なので合計すると約22㎏だ。これを18インチにインチアップすると、ホイールが14㎏前後でタイヤが12㎏前後なので合計すると約26キロにもなるのです。
上記の重量計算はあくまでも平均値ですが、タイヤ・ホイール1本あたりで約4㎏のバネ下重量が増える計算になるということなのです。たった1インチのアップでこんなにも重量が増えてしまうのです。これが2インチ以上のインチアップをしたら、足廻りが重くて仕方がないですよね。
1インチ程度のインチアップなら特に問題ありませんが、2インチ以上のインチアップや、タイヤ幅を大幅に太くした場合はバランスが大きく崩れてしまう懸念があるため、注意が必要です。
僕が、他の記事でも、インチアップをするのなら、1インチ程度にしておいた方が良いと話しているのは、そのバランスの関係を考慮してのことなのです。
バネ下重量が重くなり、乗り心地が悪くなるのを改善する方法


インチアップによるバネ下重量の増加を低減するための対策はいくつかあります。
この項目では、バネ下重量を軽くして、乗り心地を改善する方法をいくつかご紹介しました。参考にして戴いて、愛車の乗り心地が改善できれば幸いです。
鍛造ホイールに交換する

実はアルミホイールには、その製造方法で大別しますと、「鍛造ホイール」と「鋳造ホイール」の両方があります。
鍛造ホイールは、ビレットと呼ばれるアルミ合金の塊を金型に入れ、下から火であぶって熱しながら、上から高圧のプレス機で押しつぶしながら成形していく作り方です。一方、鋳造ホイールは金型に溶かしたアルミ合金を流し込み、そのまま冷やして固めて製造されます。それぞれにはメリット、デメリットがあります。
鍛造ホイールのメリット
鋳造ホイールよりも少ない材料で強度の高いホイールを作ることができるサイズの精度を高くできる
大口径ホイールに適している
鍛造ホイールのデメリット
価格が高い量産できない
鋳造ホイールのメリット
価格が安い大量生産が可能
デザイン性の高いホイールを作れる
鋳造ホイールのデメリット
鍛造ホイールと比べて強度が低い強度を高めるために肉厚を厚くしないといけないため重量が重くなる
サイズの精度が低くなる
鍛造ホイールと鋳造ホイールのそれぞれにメリット・デメリットはありますが、バネ下重量が重くなるのを緩和するには、鍛造ホイールに交換することが手っ取り早い方法です。これから愛車のインチアップを検討されている方は、鍛造ホイールをチョイスすること検討してみて下さい。
鍛造ホイールは、モノによっては17インチでありながら15インチの鋳造ホイールよりも軽いものもあるのだから驚きですね。
ダンパーやサスペンション、ブレーキ等の足回りを見直してみる

通常は鋳鉄製のブレーキキャリパーもスポーツカーなどでは、アルミキャリパーが使用されます。
ショックアブソーバーも通常のものは鋳鉄製が多いのですが、ストラットシェルケースをアルミ製にしたり、単筒式のショックアブソーバーを倒立構造式にするとかの方法もあります。
また、前後のスタビライザーを強化品に交換して硬い足回りを軽減するということも対策の一つではありますね。
ただ、休日に愛車でサーキットを走る方を除いて、通勤や買い物などで愛車を使用する一般ユーザーにとっては現実的な方法ではないでしょう。費用がとても高いですし、セッティングがとてもシビアなのです。それにセッティングが上手なショップを探すのが大変かもしれません。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●タイヤ・ホイールのインチアップで、乗り心地が悪くなる原因
●バネ下重量が重くなり、乗り心地が悪くなるのを改善する方法
でしたね。
タイヤ・ホイールのインチアップに伴う乗り心地の悪化の軽減策として、
●鍛造ホイールへの交換
●足回りの見直し
などが対策としては有効ですが、現実的なのはインチアップする際に始めから鍛造のアルミホイールをチョイスするのが手っ取り早くて一番簡単な方法だと思います。
既にインチアップをしてしまった方も、これから愛車のインチアップを検討している方はぜひ参考にして戴けると幸いです。
その理由は、足回りとタイヤ・ホイールのバランスの因果関係があるのです。
今回は、インチアップによる乗り心地の悪化の予防や対策について話してみました。愛車の乗り心地の悪化が軽減されたり、改善されるヒントがたくさんあるので参考にして戴けると幸いです。