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愛車をカッコ良くドレスアップしたい!
車の走行性能をアップして快適なドライブをしたい!という方にとってタイヤ・ホイールのインチアップは欠かすことのできないドレスアップ・チューニング方法だ。

タイヤ・ホイールの正しいサイズや特性を知って正しいインチアップをしよう!


タイヤ・ホイールをインチアップしたら、カッコいいですよね。でも、ちょっと待って!自分の愛車の純正のタイヤ・ホイールサイズを知らずにインチアップをしてしまうととんでもないことに!
この項目では、正しいインチアップをするために、純正のタイヤ・ホイールサイズや注意点についてお話しました。
正しいタイヤ・ホイール選びは純正のタイヤ・ホイールサイズを知るところから

正しいインチアップをするためには、愛車の現在のタイヤ・ホイールサイズを把握しておくところからスタートする。
純正のホイールの場合は、車の運転席側のドアを開けると、上の画像のようなサイズを明記したシールが貼ってあるはずだ。上記の画像は、僕の愛車の30プリウス(3代目プリウス)のものであるが、ツーリンググレードに設定されている純正ホイールは、純正にしてはまあまあワイドで低扁平率のタイヤを履いている。
このような表記のラベルが、ほとんどの車は必ず車の運転席のドアに貼ってあるので、そのサイズをまず把握しておきたい。
タイヤサイズの表記例およびロードインデックス、スピードレンジ(速度記号)

タイヤサイズの表記例
① | タイヤ幅(㎜):車のタイヤ幅の表記 | タイヤの幅の表記。㎜で単位で表記される。数字が大きくなるほどタイヤの幅も太くなる。適合のタイヤ幅は、リム径によって変わってくる。 |
② | 扁平率(%)=断面高さ÷断面幅×100 | 扁平率は数字が小さくなればなるほど低扁平率になる(タイヤの厚みが薄くなる)。大口径のホイールになるほどタイヤの扁平率は低扁平率になる。
扁平率が低いと、タイヤのグリップ力や応答性などは向上し、見た目もカッコよくなるが、乗り心地は硬くなる。逆に扁平率が高いと、乗り心地は柔らかくなるが、タイヤのグリップ力や応答性は低下する。 |
③ | ラジアル構造 | 現在ではほとんどの乗用車用のタイヤはラジアル構造となっている。 |
④ | リム径(インチ) | インチ表記となっている。1インチ=25.4㎜に換算して自分のホイールのサイズを把握しておこう。 |
⑤ | ロードインデックス(LI/最大負荷能力)) | ロードインデックスは、タイヤが支えることのできる最大負荷能力の指数のことだ。ロードインデックスは数値が大きいほど耐えられる負荷が大きい。 |
⑥ | 速度記号(スピードレンジ) | 規定の条件下でそのタイヤが走行できる速度(最高速度=能力)を示す記号のこと。記号ごとに走行可能な最高速度(km/L)が規定されている。 |
ロードインデックス
荷重指数 | 負荷能力 | 荷重指数 | 負荷能力 | 荷重指数 | 負荷能力 | 荷重指数 | 負荷能力 |
(LI) | (kg) | (LI) | (kg) | (LI) | (kg) | (LI) | (kg) |
60 | 250 | 76 | 400 | 92 | 630 | 108 | 1000 |
61 | 257 | 77 | 412 | 93 | 650 | 109 | 1030 |
62 | 265 | 78 | 425 | 94 | 670 | 110 | 1060 |
63 | 272 | 79 | 437 | 95 | 690 | 111 | 1090 |
64 | 280 | 80 | 450 | 96 | 710 | 112 | 1120 |
65 | 290 | 81 | 462 | 97 | 730 | 113 | 1150 |
66 | 300 | 82 | 475 | 98 | 750 | 114 | 1180 |
67 | 307 | 83 | 487 | 99 | 775 | 115 | 1215 |
68 | 315 | 84 | 500 | 100 | 800 | 116 | 1250 |
69 | 325 | 85 | 515 | 101 | 825 | 117 | 1285 |
70 | 335 | 86 | 530 | 102 | 850 | 118 | 1320 |
71 | 345 | 87 | 545 | 103 | 875 | 119 | 1360 |
72 | 355 | 88 | 560 | 104 | 900 | 120 | 1400 |
73 | 365 | 89 | 580 | 105 | 925 | 121 | 1450 |
74 | 375 | 90 | 600 | 106 | 950 | 122 | 1500 |
75 | 387 | 91 | 615 | 107 | 975 | 123 | 1550 |
インチアップをする際は、上記の表を参考に純正タイヤの標準同等もしくはそれ以上の荷重指数のものを選ぶようにしよう。荷重指数が標準以下だと、タイヤがバーストするなどの危険が伴うので慎重に選びたい。
スピードレンジ(速度記号)
タイヤ表示 速度記号 |
L | N | Q | R | S | T | H | V | W | Y | ※ZR | (Y) |
最高速度 km/h |
120 | 140 | 160 | 170 | 180 | 190 | 210 | 240 | 270 | 300 | 240km/h超 | 300km/h超 |
ホイールサイズの表記例

① | リム径(インチ):タイヤを装着していない状態でのホイールの直径のこと。 |
② | リム幅(インチ):ホイールの横幅のこと。タイヤをはめ込む部分の幅がインチで表記される。 |
③ | フランジ形状:JかJJが一般的だが、一部でB、K、Lなどの表記も残っている。 |
④ | ボルト穴数:4穴か5穴 オフロード車や重量が重い車であれば6穴もある。 |
⑤ | P.C.D(㎜):ボルト穴を結んでできた円の直径のこと。国産の普通車なら100㎜か114.3㎜が主流。 |
⑥ | インセット(㎜):リム幅の中心線からホイールの車体取り付け面までの長さのこと。 |
インセットの数値が大きいほど、取り付け面がホイールのリム幅の中心線より外側になり、ホイール全体が車体の内側に引き込まれる形(インセット)になる。
また、その逆でインセットの数値が小さいほど、取り付け面がホイールのリム幅の中心線より内側になり、ホイール全体が車体の外側に突出する形(アウトセット)となる。
インセットが許容範囲に収まらないホイールは取り付けることができないため、注意が必要。走行にも支障が出るので、ホイール選びは慎重に行うこと。
タイヤの外径が変わらないようにする
タイヤ・ホイールをインチアップする際に重要なことは、タイヤの外径が変わらないようにすることだ。
タイヤの外径が変わると、スピードメーターの表示に誤差が生じたりタイヤが車体に接触してしまうため、注意が必要だ。!これをちゃんとやらないと車検にも通らないのだ。
インチアップの例
インチアップする場合の正しい例を僕の愛車、30プリウス(3代目プリウス)で話してみると、
純正 | 215/45R17 外径:625.5㎜ |
18インチにインチアップ | 215/40R18 外径:629.2㎜ |
上の表をみてみると、タイヤの外径は約3.7㎜大きくなっている。
インチアップによるタイヤの外径誤差の許容範囲はプラス2~3%と言われているので、十分な許容範囲である。これならスピードメーターに誤差が生じる心配も無いし、車検に通らないことも無い。
タイヤだけでなく、ホイールも見てみよう。
純正 | 17 7 J 5-114.3 50 |
18インチにインチアップ | 18 7.5 J 5-114.3 50 |
表を見てみると、リム径とリム幅がアップしても、P.C.Dやインセットの数字は変わっていないのがわかるだろう。
このように正しいホイール選びが大切だ。30プリウスの例を出してみたが、正しいインチアップをするための知識を専門家に聞いてみるとこうなる。

インチアップをする際に、できれば覚えておいて戴きたい数式があります。
1インチ:25.4㎜
タイヤの厚み=タイヤ幅×扁平率(%)
タイヤ外径=タイヤの厚み(タイヤ幅×扁平率)×2+リム径(インチ)×25.4㎜
となります。
この計算式にお目当てのタイヤ・ホイールの数値を当てはめて計算し、外径誤差の許容範囲がプラス2~3%以内に収まっているか確認してからインチアップを行うと良いでしょう。
愛車を大切にする人のための正しいインチアップのやり方とは?


インチアップをするといっても、ただタイヤ・ホイールのサイズを上げるだけじゃダメなんです。ちゃんと正しい方法でやらないと、乗り心地が悪くなったり、愛車の足回りを傷めたりしてしまいます。
この項目では、正しいインチアップのやり方についてお話しました。
インチアップのメリットはローダウン(車高ダウン)とセットで行ってこそ初めてメリットが生じる!
インチアップに関して、インターネットを検索して情報を得ようとするユーザーの皆さんが気が付かれるのが、どのサイトを見てもインチアップするメリット・デメリットが述べられているのを目にされると思う。
ただ、インチアップに関する僕の意見を言わせて戴くと、たいていのサイトの情報が不足していて少し残念な気持ちになる。というより、車の専門家であろう方が書いている記事なのに大事なことをユーザーに伝えられていないように思う。
インチアップに関してとても大切なことを忘れている!
インチアップは、ローダウン(車高ダウン)とセットで行ってこそ初めてメリットが生じるのだ。ローダウンをせずのインチアップはデメリットしかない!
理由は簡単だ。インチアップをした自分の愛車に乗った時のことを想像してみて欲しい。インチアップを行って、ホイールの外径やタイヤの幅が大きくなるとタイヤのグリップ力やブレーキング性能は向上する。ただ、車のサスペンションの減衰力はそのままなのだ。
車に付いているタイヤ・ホイールは、ショックアブソーバーやコイルスプリングとのバランスが取られた上で取り付けられている。そこにタイヤ・ホイールだけインチアップを行ったらどうなるだろう。
足回りのバランスが狂うのは当然のことである。
サスペンションがフワフワの状態でタイヤ・ホイールのインチアップによってグリップ力やブレーキキング性能が向上した車をドライブしたらどうなるか想像してほしい。
グリップ力やブレーキング性能が向上した分だけ、車のコーナリング時のロールは大きくなるし、ブレーキング時に生ずる身体へのGも大きくなるのだ。
正直乗り心地は悪くなると言ってよいだろう。
また、タイヤ・ホイールとタイヤハウスにできる間隔は、インチアップを行ってもそのままだ。見た目も良くならない。タイヤ・ホイールとタイヤハウスにできる間隔は狭くなってこそ初めて見た目もカッコよくなるのだ。
タイヤ・ホイールのインチアップを行うときは、2~3㎝程度のローダウン(車高ダウン)をセットで行うのがおすすめだ。極端なローダウンはおすすめしない。ツライチまでローダウンすると確かに見た目は良くなるが、車にとってもドライブするドライバーにとっても良くない。
いままでたくさんの車のタイヤ・ホイールのインチアップやローダウンを行ってきた僕に言わせると、車の性能アップやドライバーへの身体の負担を考慮すると2~3㎝のダウンが一番良い!愛車にとってもドライバーにとっても最適なローダウンの仕方を別記事で書いているのでぜひ参考にしてほしい。
タイヤ・ホイールのインチアップをローダウン(車高ダウン)とセットで行うと、見た目はカッコ良くなるし、たった1インチのインチアップでも、走行性能は大幅に向上するのだ。
理想的なインチアップは1インチのアップ!

愛車やドライバーご自身の身体への負担を考慮すると、極端なインチアップはおすすめしない。とにかく乗り心地が悪化するのだ。
僕の過去の愛車30ソアラを例に挙げると、下記の表のとおりだ。
純正 | 225/55R16(4輪) |
18インチにインチアップ | フロント:235/40R18 リヤ:265/35R18 |
見た目はすごく良くなって自分でも気に入ったのだが、ドライバー本人の僕はともかく、同乗者が気持ち悪くなったり、車酔いを起こしたりするようになったのだ!
僕自身も長時間のドライブがしんどくなった記憶がある。昨今のタイヤ・ホイールサイズは大口径化の傾向にある。大きなものだと20インチや21インチまであるのだ。
レクサスのLS500になると純正でも
フロント:245/45R20
リヤ:275/40R20
となるのだから驚きだ。
まあ、レクサスLSのようなビッグセダンだとタイヤ・ホイールの大口径化も理解できるが、普通のセダンやワンボックスに大口径すぎるインチアップは愛車にとってもドライバー本人にとってもデメリットが大きいと思う。
純正より1インチのアップがちょうど良いのだ!
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●タイヤ・ホイールの正しいサイズや特性を知って正しいインチアップをしよう!
●愛車を大切にする人のための正しいインチアップのやり方とは?
でしたね。
タイヤ・ホイールのインチアップに関してお話したが、これから愛車をドレスアップしていこうというオーナーの方もいらっしゃると思います。タイヤ・ホイールのインチアップは、愛車のドレスアップ・チューニングにはとても有効な手段なのです。
ただ、インチアップ単体で考えるのではなく、サスペンションとのバランスを考えた上での正しいインチアップを行うことで愛車の性能が活きてくるのです。
僕自身の考えを多く述べてしまいとても恐縮ですが、僕自身が過去に行ってきた失敗などを元にお話しをさせて戴きました。恐縮ですが参考にして戴くことのできる意見だと思っています。
是非、正しいタイヤ・ホイールのインチアップを行って、愛車をカッコ良く、性能もアップして戴けば幸いです。
インチアップと言っても、ただやみくもにやれば良いという訳ではありません。車検にキチンと通って、愛車の走行性能を損なわなずに見た目をカッコよくする正しいインチアップの方法があるのです。
間違った方法でやってしまうと、車検に通らないどころか愛車の乗り心地は悪くなってしまい、走行性能を逆に悪化させてしまいます。今回は、正しいインチアップのやり方についてお話しましたので、参考にして戴ければ幸いです。