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今や貴重な存在となってしまった直列6気筒エンジンのお話です。
僕が若い頃には、BNR32スカイラインGTーRをはじめ、直列6気筒エンジンを搭載した車種がわんさかと存在したものです。それがいつの間にか、国産車では90系GR スープラのみになってしまいました。

直列6気筒エンジンの特徴や魅力、メリット・デメリットを解説

国産車からすっかり消えてしまった直列6気筒エンジンです。
現行のGR スープラ(90系)のエンジンは直列6気筒ですが、これは国産ではなくBMW社製のエンジンだということは皆さんも十分承知ですね。
では、今や貴重とも言える直列6気筒エンジンについて、その魅力やメリット・デメリットを考えてみましょう。
魅力・特徴
直列6気筒エンジンの魅力や特徴は、当サイトでは語りきれないほどの魅力があります。それらの魅力や特徴をかいつまんで考えてみましょう。
1.エンジン回転が極めてスムーズ
直列6気筒は、自然なバランスの取れた構造を持っています。
1次・2次振動が理論上ゼロになるため、エンジンの振動が少なく、非常に滑らかな回転フィールを実現します。エンジンを高回転まで回しても「上品な滑らかさ」を保つことができ、高級車にふさわしいフィーリングです。
特にターボチャージャーとの組み合わせは、上品な滑らかさに加えて、強いパンチ力のパワーを良い塩梅プラスすることができ、過去に採用されていた車種が極めて多かったのも頷けます。
2.リニアで自然な加速感
パワーとトルクの出方が非常に自然で扱いやすく、ドライバーとの一体感が得やすいです。特にNA(自然吸気)仕様では、アクセル操作に対する反応が直感的で、スポーツドライビングにも適しています。
3.音の魅力
直列6気筒独特の「澄んだ高音」や「吹け上がり音」は、多くのエンスージアストを魅了します。BMWや旧日産スカイラインGT-R(RB26)などのエンジン音は、まさにその代表例です。
直列6気筒エンジンのメリット
| 項目 | 内容 |
| 振動が少ない | 完全バランスに近い設計のため、エンジンマウントへの負荷も少なく静粛性が高い。 |
| 耐久性が高い | バランスが良いため、エンジンの負荷分散が自然で寿命。 メンテナンスがしやすい シリンダーや点火プラグが直線に並んでいるため、整備性が良好。寿命。 |
| メンテナンスがしやすい | シリンダーや点火プラグが直線に並んでいるため、整備性が良好。 |
| 高回転に強い | スムーズな回転が可能なため、スポーツエンジンとしても向いている。 |
僕も、過去に直列6気筒エンジン搭載車は、2台経験しています。車種は、HR31スカイライGT-SとJZZ30ソアラです。
HR31スカイラインのエンジンであるRB20型エンジンは、その時代の2Lと言うこともあってパワー不足の感がありましたが、振動が少なくスムーズなエンジンであった記憶はあります。
JZZ30ソアラに搭載されていた1JZエンジンは、それは高回転までスムーズに吹け上がり、今での名機として語り継がれているほどのエンジンです。
あの高回転まで回した時のエンジンサウンドや、上品とも言えるパワー感は、実際に運転したことがある人でないとわからない魅力があるのです。本当に運転していて気持ちの良いエンジンフィールなのです。
直列6気筒エンジンのデメリット
| 項目 | 内容 |
| 全長が長い | シリンダーが直列に並ぶため、エンジンの全長が長く、搭載スペースの確保が難しい。特に前輪駆動車(FF)には不向き。 |
| 重量が重くなりやすい | 部品点数が増えることと、エンジン全体が大型化することで、車両前方に重量が集中しやすい。操作性に影響する場合も。 |
| コストが高い | 部品点数・精度要求が高く、開発・製造コストが直列4気筒に比べて高め。大量生産には不向き。 |
| エンジンルームに収まりにくい | 特に衝突安全基準が厳しくなった近年の車両設計では、縦に長いエンジンはパッケージングの制約となることがある。 |
主な搭載車種(代表例)
直列6気筒エンジンを搭載した車種は以下の通りです。ひと昔前に比べてもだいぶ少なくなってきているのが現状ですね。なんとも寂しい限りです。
BMW 直列エンジン群
3シリーズ:340i、M3
5シリーズ:540i
7シリーズ:740i
Z4:M40i
X3:xDrive30i、M40i
X:xDrive40i、M60i
M2
M3
M4
日産 RB26DETT(直列6気筒ツインターボ)
スカイラインGTーR(R32~R34)
トヨタ 1JZ/2JZシリーズ
A80スープラ、マークⅡ、チェイサーなど
メルセデスベンツ M256
Eクラス、Sクラスなどの高級セダンに搭載
結論!
直列6気筒エンジンは、振動の少ない極めて滑らかな回転、自然なパワーフィール、美しいサウンドという魅力により、いまなお一部のメーカーやファンに根強い支持があります。
一方で、大きく・重く・コストがかかるため、パッケージング効率が求められる現代のクルマでは採用が難しくなっているのも事実です。
それでもなお、直6にこだわる車種やブランドは「本物志向」を体現する存在であり、エンスージアストにとっては”「走りの本質」を感じさせるエンジン形式”と言えるでしょう。
国産車から直列6気筒エンジンが消えた理由

直列6気筒エンジンが日本の国産車からほとんど姿を消したのには、複数の技術的・経済的・社会的な理由があります。
90年代までトヨタや日産をはじめ、多くのメーカーが直6エンジンを搭載していたにもかかわらず、2000年代以降急速にV6や直4へと置き換わっていった背景を以下に詳しく解説します。
車両設計のコンパクト化とFF化の進行
直6エンジンは全長が長い
シリンダーを一直線に6つ並べる構造のため、エンジン自体が非常に長く、搭載には縦置き(FR)が前提。エンジンルームの長さが必要になるため、車体全体が大きくなりがち。
FF(前輪駆動)レイアウトへの移行
1990年代以降、軽量・低コスト・省燃費を実現するため、多くの国産車はFFベースへと移行。FF車には直列6気筒エンジンは物理的に収まりにくく、設計が非効率になる。
衝突安全基準の強化
前方クラッシャブルゾーンの確保が難しい
車体前方に長い直6を置くと、衝突時のエネルギー吸収スペースが不足し、安全性能評価(NCAP等)に不利。これによりエンジンの”短縮・低背化(=V型や直4化)”がメーカーに求められた。
排ガス・燃費規制の強化
排ガス規制対応のコスト
直6はシンプルで整備性は良いが、部品点数が多く、触媒や排気システムが大型化しやすい。排ガス浄化に必要な部品数が増えるため、コスト増や複雑化を招きやすい。
燃費改善が難しい
部品が多く重いぶん、熱効率もやや不利。特に都市部などの低速域では、V6や直4に燃費で劣る傾向。
製造コストとプラットフォームの効率性
生産効率の悪化
直6は専用の縦置きFRプラットフォームが必要であり、汎用性に欠ける。対して、V6は横置きも可能で多車種展開がしやすい。
部品共通化の妨げ
自社エンジンの多様化は、部品調達・製造ラインの複雑化を招くため、コストダウンの障壁になる。
時代のトレンドとマーケティング的な影響
「6気筒=高級車」という図式が薄れた
技術の進化により、直4ターボやハイブリッドでも十分な出力・静粛性が得られるようになった。
消費者ニーズが「スペックよりも燃費・維持費・環境性能」へとシフトした。
ターボやHVとの相性
小排気量+ターボ、あるいはハイブリッド化においては、コンパクトなエンジンのほうが有利。直6の「大きく重い」特性が新技術との融合を難しくした。
具体的に直列6気筒が消えた流れ
トヨタ
1JZ-GTE/2JZ-GTE → 廃止(2000年代中頃)→ V6(GR系)や直4ターボ、HVに移行
日産
RB26DETT(スカイラインGT-R)→ VQ系V6(Z33など)→ スカイラインもV6化されFRプラットフォーム再編
ホンダ・マツダ・スバル
もともと直6は非採用、水平対向や直4に注力
ただし、直列6気筒エンジンは復活しつつある?
近年、BMWを筆頭に直列6気筒エンジンの再評価が進んでいます。
日本でもトヨタがBMWの直6を搭載した「GRスープラ」を発売し話題となりました。また、マツダは新開発のFRプラットフォームと直6ディーゼル/ガソリンを搭載する「MAZDA6後継」や「CX-60/90」で新たな挑戦を始めています。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●直列6気筒エンジンの特徴や魅力、メリット・デメリットを解説
●国産車から直列6気筒エンジンが消えた理由
でしたね。
直列6気筒エンジンが国産車から姿を消した最大の理由は、「時代の要求するパッケージング効率・安全性・燃費性能」に応えるには不利な構造だったためです。
しかしその滑らかさやサウンド、官能性の高さは今も多くのファンを惹きつけており、限られた車種での復活・再評価が進んでいるのも事実です。
直6エンジンは”「失われたけど、忘れられてはいない技術」”として、今後も特別な存在であり続けるでしょう。



90系GR スープラも、厳密に言えばBMW社製のエンジンです。いったいいつの間に、どういう理由でこのようなことになってしまったのでしょうか?
今回は、車好きのユーザーからも魅力満載のエンジンとも言える「直列6気筒エンジン」についてお話しました。