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日本に鍛造ホイールは多く出回っていますが、鍛造ホイールのOEM生産が増えてきているようです。
鍛造ホイールは、高い技術力やノウハウが必要なため、どこのメーカーでも作れるものではないからです。

鍛造ホイールのOEMの意義と、メリットやデメリットとは?

鋳造ホイールに比べると高価にはなってしまいますが、強度や軽さなどが圧倒的に違う鍛造ホイール。価格以上のメリットが多く得られ、F1を始めとしたレースやモータースポーツのシーンだけでなく、一般ユーザーの間でも人気が高まってきています。
この項目では、鍛造ホイールのOEMについてお話しました。
鍛造ホイールのOEMとは?
鍛造ホイールのOEM(相手先ブランドによる生産)は、特定の自動車メーカー向けに、そのメーカーのブランドで販売されるホイールを製造することです。
鍛造ホイールは、金属を叩いて成形する製造方法で作られ、強度や軽量性に優れているため、高性能を求める自動車によく採用されます。
OEM鍛造ホイールを製造する主なメーカーとしては、BBS JAPAN、RAYS(レイズ)、鍛栄舎(TWS)などが挙げられます。
これらのメーカーは、自社ブランドのホイールを製造するだけでなく、多くの自動車メーカーのOEM製品も手掛けています。例えば、BBSはBMWやアウディなどの高級車に、RAYSは日産やスバルなどのスポーツモデルにOEM供給しています。
鍛造ホイールのOEMのメリット
鍛造ホイールをOEM生産することは、さまざまなメリットがあります。
そのメリットは、どのようなことがあるでしょうか?ちょっと考えてみましょう。
高品質なホイール
鍛造ホイールは、鋳造ホイールに比べて強度が高く、軽量であるため、車両の走行性能を向上させることができます。
鍛造ホイールが高品質な理由とは?
| 項目 | 内容 |
| 高強度 | 金属組織が密になることで、同じサイズでも鋳造ホイールよりも遥かに強度が高い。衝撃や負荷に強い。 |
| 軽量 | 強度が高いため、不要な肉厚を削減でき、結果として軽量になる。バネ下重量の軽減に貢献。 |
| 高剛性 | 剛性が高く、ハンドリング性能やブレーキ応答性が向上する。特にスポーツ走行に有利。 |
| 寸法精度が高い | 金型を使って圧力成型するため、製品の公差が非常に小さくバランス調整も最小限で済む。 |
| 耐久性に優れる | 素材疲労に強く、長期にわたって性能を維持。モータースポーツや高性能車にも採用される理由となっている。 |
ブランドイメージの向上
OEM供給を受けることで、自動車メーカーは自社のブランドイメージを高めることができます。
鍛造ホイールのOEMのデメリット
鍛造ホイールをOEM生産することは、メリットばかりではありません。デメリットも同じように存在します。
では、OEM生産で生じる可能性があるデメリットとは、どのようなことが予想できるでしょうか?一緒に考えてみましょう。
デザインの制約がある
OEM製品は、自動車メーカーの意向に沿って設計されるため、デザインの自由度が低い場合があります。
高コスト
鍛造ホイール自体が高価であるため、OEM製品も高価になる傾向があります。
納期がかかる
OEM生産は、大量生産になるため、納期がかかる場合があります。
メリットもあれば、デメリットもあるのが鍛造ホイールのOEM生産の現状です。
ただ、我々ユーザーにとって、鍛造ホイールのOEMは実に多くのメリットがあります。それは、車の乗り心地の良さや品質の高さをホイールに求めているユーザーが多くなってきているからかもしれません。
OEMを行っている日本の鍛造ホイールメーカーと、その特徴

じつは、日本国内で純然たる鍛造ホイールのメーカーは、BBS JAPAN、RAYS(レイズ)、鍛栄舎(TWS)の3社のみです。(僕の知っている限りでは)
各社の特徴と、OEM生産を行っている状況をお話しました。あなたの愛車のホイール選びの参考になれば幸いです。
BBS JAPAN
BBS JAPANは、富山県高岡市に本社を置く、自動車用ホイールメーカーです。会社の詳細は以下の通りです。
BBS JAPAN株式会社 会社紹介(詳細)
| 項目 | 内容 |
| 会社名 | BBS JAPAN株式会社(ビー・ビー・エス・ジャパン) |
| 所在地 | 富山県高岡市福田六家525番地 |
| 設立 | 1983年(ドイツBBS社との技術提携により設立) |
| 資本金 | 1億円 |
| 事業内容 | 鍛造アルミホイールの製造・販売(主に自動車用) |
| ブランド | BBS(ビー・ビー・エス) |
| メーカー公式サイト | BBS JAPAN |
歴史と背景
BBS JAPANは、もともとは、繊維機械用のビームを作る工場としてスタートしました。その鍛造技術を活かして、1983年にドイツBBSとの技術提携を行ったのが、鍛造ホイールメーカーとしてのBBS JAPANの本格始動となります。
当初よりF1などモータースポーツ用ホイールの製造を担い、のちに一般市販車向け製品にも展開されました。
高岡工場(富山県)は、世界最高水準の鍛造ホイール専用工場として知られます。
技術の特徴
BBS JAPANが誇る鍛造技術は、以下のような点で評価されています。
鍛造プロセス
「熱間鍛造」を採用。アルミ素材を高温で加熱し、2万トンものプレスで成形。高精度金型とNC加工によって、わずかなズレも許さない精密な造形を実現。
最終仕上げは職人の手で行われる工程もあり、品質重視の姿勢が貫かれています。
特許技術
「DIAMOND CUT(ダイヤモンドカット)」などの高度な表面処理や、独自の放熱性や軽量化に優れたスポーク設計は業界でも評判です。
主な製品ラインナップ
| 製品名 | 特徴 |
| BBS LM | 長年のロングセラーモデル。2ピース構造。深リムデザイン。 |
| BBS RI-A | スーパーGT、FIAレースなどの実践由来。1ピース構造の超軽量鍛造。 |
| BBS FI-R | 究極の超軽量・高剛性モデル。F1のテクノロジーを反映。 |
| BBS RE-V7 | スポーツとプレミアムの両立。次世代設計モデル。 |
採用実績
国内外の自動車メーカー純正(OEM)ホイールとしても多く採用(例:レクサス、日産GT-Rなど) F1、WEC、DTM などの国際レースシーン VIPカーやスポーツカーのアフターマーケットでも圧倒的な人気ブランドの理念
「We do not compromise.(一切の妥協を許さない)」
品質、性能、美しさ──そのすべてにおいて“本物”を追求するのがBBSの哲学です。
RAYS(レイズ)
RAYS(レイズ)は、大阪府東大阪市に本社を置く、自動車用アルミホイールメーカーです。会社の詳細は以下の通りです。
RAYS株式会社 会社紹介(詳細)
| 項目 | 内容 |
| 会社名 | RAYS株式会社 |
| 所在地 | 大阪府東大阪市長田西4丁目1番13号 |
| 設立 | 1973年(昭和48年) |
| 資本金 | 5,000万円 |
| 事業内容 | 鍛造・鋳造ホイールの製造・販売(モータースポーツ・市販車・OEM) |
| ブランド | VOLKRACING、GRAM LIGHTS、VERSUS、HOMURA、A・LAP、TEAM DAYTONAなど |
| メーカー公式サイト | RAYS |
企業概要
RAYSは、日本を代表する総合ホイールメーカーであり、特に鍛造ホイールの技術力と供給量では世界トップクラスです。
鍛造のみならず、鋳造ホイールも幅広くラインナップし、スポーツからラグジュアリー、オフロードに至るまであらゆる市場をカバーしています。
技術の特徴
1. 世界有数の鍛造ホイール技術
自社内に鍛造設備・金型設計・製造・仕上げまで完結できる一貫生産体制を保有。 6,000トン〜10,000トンの大型プレス機を用いたアルミ熱間鍛造。 特許取得済のRCF(RAYS Cast Flow Forming)技術で、軽量かつ高剛性を実現。2. 「Made in Japan」品質
全製品を国内生産・国内品質管理。 世界中のモータースポーツチームやプレミアムカーに納入される品質を、すべての製品に反映しています。主なブランドと特徴
| ブランド | 特徴 |
| VOLK RACING | 鍛造ホイールの象徴。モータースポーツ向け超軽量高剛性モデル。例:TE37、CE28N、ZE40など |
| GRAM LIGHTS | ストリートスポーツ志向の鋳造ホイール。スタイリッシュでコスパも良好。 |
| HOMURA | 高級車向けラグジュアリーホイール。デザイン性重視。 |
| A・LAP | 軽量で強度の高い軽カー・コンパクトカー向け鍛造ホイール。 |
OEM供給実績
RAYSは多くの自動車メーカーに対して純正(OEM)ホイールを供給しています。
主な採用実績は、以下の通りです。
モータースポーツとの関係
スーパーGT、フォーミュラ、ラリー、D1GPなど幅広い競技に参戦 モータースポーツで培った技術を市販製品にフィードバック 公式パートナー:TOYOTA GAZOO Racing、NISMO、無限 など企業理念・スローガン
「The concept is racing」
モータースポーツで勝つことを最優先に考え、性能を第一にした製品開発を追求する企業姿勢が表れています。
鍛栄舎(TWS)
株式会社 鍛栄舎の会社情報は、以下の通りです。
株式会社鍛栄舎(TAN-EI-SYA WHEEL SUPPLY)– 会社紹介(詳細)
| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 株式会社鍛栄舎(たんえいしゃ) |
| 英文社名 | TAN-EI-SYA WHEEL SUPPLY CO., LTD. |
| 所在地 | 富山県射水市新堀34-5 |
| 設立 | 1979年(昭和54年) |
| 資本金 | 9,600万円 |
| 事業内容 | 鍛造アルミホイールの製造・販売、航空機部品の鍛造など |
| ブランド名 | TWS(ティーダブリューエス)(自社ブランド) |
| メーカー公式サイト | TWS |
企業概要
株式会社鍛栄舎は、航空機部品やモータースポーツ部品の鍛造製造から発展した、日本屈指の鍛造専門メーカーです。
その高度な技術を応用し、自社ブランド「TWS(TAN-EI-SYA WHEEL SUPPLY)」を立ち上げ、高級車・スポーツカー向けの高品質ホイールを展開しています。
技術の特徴
1. 航空宇宙グレードの鍛造技術
元々は航空機・宇宙産業向けの高精度鍛造部品の製造からスタート。そのため、素材選定・圧縮制御・熱処理・強度バランスに関するノウハウが極めて高度。 非常に緻密な金属組織を実現し、強度と軽量性を両立。
2. 一貫生産体制
金型設計、鍛造、熱処理、機械加工、表面仕上げまで、すべて自社工場内で完結。 国内で完結する「完全内製・完全MADE IN JAPAN」。3. 3DCAD・CAEによる設計最適化
応力解析や空力分析を駆使し、重量・剛性・耐久性のバランスを最適化。 精密加工機と高精度CNCマシンによる仕上げ。主な製品ブランドとシリーズ
| ブランド/シリーズ | 特徴 |
| TWS Exlete | 高級車・セダン向けのラグジュアリー鍛造ホイール。デザイン性と高剛性を両立。 |
| TWS Motorsport | スポーツ走行・サーキット走行向け。超軽量・高剛性モデル(RS317など) |
| TWS Reizend | 高級感あるコンケイプ形状と洗練されたディテール。輸入車オーナーにも人気。 |
| TWS Exspur ”R”Segment | マグネシウムと新アルミ合金”UDM”素材から拘ったフラッグシップモデル。 |
OEM供給実績
TWSの鍛造ホイールは、レクサスやスバルSTI、トヨタGRなどの純正ホイールとして採用実績があります。また、一部の欧州スーパーカーメーカー向けにOEM供給しているとも言われています(詳細非公開の場合が多い)。
モータースポーツとの関わり
スーパーGTやワンメイクレースにホイール供給実績あり。 「TWS Motorsport RS317」などの競技向けモデルを市販化。ブランドスローガン
「すべては究極の精度と性能のために」
見た目の美しさ以上に、素材、設計、製造すべてにおいて極限の精度を追求していることがTWSの核です。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●鍛造ホイールのOEMの意義と、メリットやデメリットとは?
●OEMを行っている日本の鍛造ホイールメーカーと、その特徴
でしたね。
鍛造ホイールは、製造するのに大変高度な技術やノウハウを要します。それだけに実績や信頼のある3社にOEMが集中するのは自然の理かもしれません。
僕も、必ず自分の愛車向けに、3社のうちのどれかの鍛造ホイールを装着したいと頑張っています。これらの鍛造ホイールは、それだけ車好きのユーザーの心を、強く惹きつけるものがあると思うのです。







今回は、日産やトヨタなどの自動車メーカーや、MUGEN(無限)やNISMO(ニスモ)などの自動車メーカー系チューナーにも、鍛造ホイールのOEM供給を行っている状況をお話しました。
このお話を聞くと、あなたの愛車にも鍛造ホイールを装着したくなるかもしれませんので、ご注意下さい。