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搭乗者傷害保険とは?

搭乗者傷害保険は、事故で車に乗っている人がケガをした際に、あらかじめ決められた金額が支払われる“定額型”の補償です。
金額が一定のため請求が簡単で、過失割合にも左右されにくいという特徴があります。その一方で、人身傷害保険と仕組みが異なるため、どちらを重視すべきか迷いやすい補償でもあります。
ここではまず、搭乗者傷害保険の基本的な仕組みを分かりやすく見ていきましょう。
定額で支払われる“ケガの保険”
搭乗者傷害保険の最も分かりやすい特徴は、「定額で補償が支払われる」という点です。通常の自動車保険は、治療費や通院日数によって金額が変動しますが、搭乗者傷害はシンプルで、
・・ケガをしたら○万円
・入院したら○万円
・手術を受けたら○万円
と、あらかじめ決められた金額がそのまま支払われる仕組みになっています。
そのため、「事故直後で気が動転しているときでも、複雑な手続きなく受け取れる」というメリットがあります。
さらに、過失割合に左右されず、相手の保険の状況にも影響されないため、“とにかく早くお金が必要”という場面で特に役立つ補償ともいえます。
人身傷害保険との補償範囲の違い

搭乗者傷害保険とよく比較されるのが 人身傷害保険 です。両者は「ケガを補償する」という点では共通していますが、支払われる金額の仕組みが大きく異なります。
搭乗者傷害は、事故でケガをした場合に
・死亡:○○万円
・後遺障害:○○万円
・入院:1日○○円
・通院:1日○○円
といったように、あらかじめ設定された金額がそのまま支払われる仕組みです。治療費の実費や過失割合とは関係なく、早く・簡単にお金を受け取れるメリットがあります。
人身傷害保険:実際にかかった “実損払い” の補償一方、人身傷害保険は治療費・休業損害・慰謝料など、実際にかかった金額を補償するのが特徴です。
そのため、
・高額な治療費
・長期入院
・事故後の働けない期間
などの損害が大きいケースでは、必要な金額をしっかりカバーしてくれるという安心があります。
結論:
● 搭乗者傷害 →「すぐに定額がほしい」
● 人身傷害 →「実費をしっかり補償したい」
という使い分けがポイントです。
両方に加入していると重複することもあるため、次の章では “搭乗者傷害が必要な人” の具体例を詳しく見ていきます。
重複するケースが多い理由

搭乗者傷害保険と人身傷害保険は、いずれも「ケガに対する補償」という点では共通しているため、両方に加入すると補償が重複しやすいという特徴があります。
まず押さえておきたいのは、人身傷害保険は“実費を補償する保険”であるため、治療にかかった費用は基本的にすべてカバーされるという点です。
一方、搭乗者傷害保険は“定額払い”で、通院・入院・手術などの金額があらかじめ決まっている仕組みです。
どちらも「ケガに対する補償」であるため内容がかぶりやすい例えば事故で腕を骨折した場合、人身傷害で、
・治療費
・通院交通費
・休業損害
・慰謝料
といった実費相当額がすべて補償されます。さらに搭乗者傷害を付けていると、
・骨折一時金 ○万円
・入院日額 ○千円
がプラスで支払われます。
つまり、人身傷害がある限り「治療費が払えない」という事態はほぼ発生しないため、搭乗者傷害は“上乗せの定額”が出るだけという位置づけになるわけです。
そのため「必要かどうか」が人によって大きく変わる
重複が起きやすいということは、
・とにかく手厚くしたい人 → つける価値あり
・必要最低限でいい人 → 外しても問題ない
というように、家庭によって必要度の振れ幅が大きい特約といえます。
搭乗者傷害保険は必要?判断基準と向いている人

搭乗者傷害保険は、事故に遭った際に「車に乗っていた全員」に定額の保険金が支払われる補償です。
一方で、人身傷害保険と内容が重なる部分も多く、本当に必要なのかどうか、判断が難しい特約でもあります。
では、どういう家庭や使い方で“必要”になり、逆に“なくても問題ない”のはどんなケースなのでしょうか。
この章では、
・日常的に同乗者が多い家庭
・通勤・送迎で車をよく使う人
・人身傷害をどれくらい手厚くしているか
といった観点から、搭乗者傷害保険が向いている人の特徴を分かりやすく解説していきます。
同乗者が多い家庭・送迎が多い家庭

搭乗者傷害保険が特に向いているのは、日常的に「誰かを乗せる機会が多い家庭」です。
例えば、
・子どもの送り迎え
・保育園・習い事への移動
・親や祖父母の通院サポート
・ママ友・友人を乗せて出かける
といったシーンが多い場合、同乗者全員のケガが定額で補償される搭乗者傷害は、生活にフィットしやすい補償といえます。
特に、事故に遭うとケガの程度に関わらず「まずは全員にいくらかのお金が支払われる」ため、急な出費や気持ちの動揺が大きい事故直後の負担軽減につながりやすいのがメリットです。
人身傷害保険だけでも治療費はカバーできますが、「一時金がもらえると助かる」家庭には搭乗者傷害が役立ちます。
スポーツ・通勤など“ケガのリスク”が高い利用者

搭乗者傷害保険は、日常的にケガのリスクが高い人にも向いている補償です。
たとえば、
・毎日の通勤で長距離を運転する
・深夜・早朝の運転が多い
・子どものクラブ活動やスポーツ送迎が頻繁
・自分自身も運動習慣があり、ケガの可能性が高い
といった生活パターンの場合、事故だけでなく“日常の移動中のケガ”が発生しやすくなります。
搭乗者傷害保険はケガに対して 一定額の一時金がすぐ支払われるため、「出費が急に増えるのが困る」「人身傷害だけではカバーしきれない小さなケガにも備えたい」という方に向いた補償です。
特に、スポーツで軽いケガを負った際や、通勤途中の事故で治療が長引きそうな場合にも、定額で受け取れる安心感があるのは大きなメリットです。
人身傷害の補償が最低限の場合

人身傷害保険を「最低限の金額」で設定している場合、搭乗者傷害保険が役立つケースがあります。
人身傷害は実費を補償する強力な保険ですが、
・補償額を低めに設定している
・治療費や休業損害が高額になる可能性がある
・家族が複数台の車を利用している
といった状況では、想定以上の出費が発生する可能性があります。
そんなとき、搭乗者傷害の “定額一時金” が補助の役割を果たすため、人身傷害だけではカバーしきれない部分の安心材料になります。
特に、最低限の人身傷害しか入れていない家庭では、
・軽傷でも一時金が出る
・同乗者全員が補償対象になる
・手続きが簡単で素早く受け取れる
といった点から、生活に厚みを持たせる追加補償として相性が良いと言えるでしょう。
不要になるケース|人身傷害で十分な場合

搭乗者傷害保険は便利な補償ですが、すべての家庭に必ず必要というわけではありません。
とくに、すでに人身傷害保険を“十分な補償額”で加入している場合、搭乗者傷害を追加してもメリットが小さくなるケースがあります。
人身傷害は、治療費や休業損害・慰謝料などを実費でしっかり補償してくれるため、ケガに関する経済的リスクの多くがこの1つでカバーできてしまうのです。
ここでは、「搭乗者傷害を外しても問題ない具体的なパターン」をわかりやすく紹介していきます。
人身傷害を高額設定している

すでに 人身傷害保険を高額に設定して加入している場合、搭乗者傷害保険の必要性は低くなる傾向があります。
人身傷害は、
・治療費
・入院・通院費
・休業損害
・慰謝料
・後遺障害による損失
など、事故で発生する多くの費用を“実費で”しっかりカバーする補償です。
そのため補償額を高めに設定している場合、「治療費が足りなくなる」という状態にはほとんどなりません。
搭乗者傷害は“一時金”なので、補償が上乗せされるだけ
搭乗者傷害は定額で追加されるだけなので、人身傷害で十分にカバーできている家庭では、メリットが小さくなりやすいのが特徴です。
特に、
・人身傷害を3,000万円以上
・5,000万円〜無制限に設定
などしている場合、事故による金銭的リスクはほぼ解消されています。
結論
人身傷害を手厚く設定している家庭では、搭乗者傷害を「外しても支障はない」ケースが多いというのが実務的な判断になります。
車両ごとに家族の利用パターンが明確な場合

家族で複数の車を所有している場合、「どの車を誰が使うか」が明確に決まっている家庭では、搭乗者傷害保険が不要になるケースがあります。
例えば、
・夫:通勤用のコンパクトカー
・妻:買い物・送迎用のミニバン
・子ども:運転しない(同乗のみ)
このように利用パターンが固まっていると、それぞれの車に設定する補償内容も調整しやすくなります。
人身傷害で“全員分の補償”がすでに取れている家庭は不要になりやすい
人身傷害保険は「自分の車以外でも補償される」仕組みがあるため、家族全員がしっかり人身傷害に入っていれば、同乗中のケガに困ることはほぼありません。
つまり、
・各車の利用者が固定されている
・そもそも人身傷害を全車両につけている
こうした家庭では、搭乗者傷害で“上乗せ”をする必要性が低くなります。
結論
車ごとに利用パターンが安定している家庭では、搭乗者傷害を外しても補償のムダが出にくいというのがポイントです。
保険料を最適化したい場合

搭乗者傷害保険をつけることで、保険料の最適化を図りたい場合にも有効です。
例えば、
・人身傷害保険が十分に高額で設定されている
・各車両に対して必要な補償額を最適化したい
といった場合、搭乗者傷害保険を活用することで、無駄な重複を減らしつつ補償を手厚くすることができます。
特に、
・自動車保険の総額を抑えたい
・重複する補償を減らして、最適なプランにしたい
という場合には、搭乗者傷害の定額補償を使って、他の保険を引き下げる選択肢を取ることができます。
具体的には、こんなケースでの保険料最適化が可能
・車両ごとに複数台持ちの家庭では、各車両の利用パターンに合わせて補償を調整し、無駄な保険料を抑えられる。
・家族全員が通勤車両を利用する場合において、搭乗者傷害で同乗者補償をしっかりつけ、他の補償内容を最小限にすることで、保険料を最適化。
結論
保険料を最適化したい場合、搭乗者傷害保険をうまく活用することで、無駄を減らしつつ、必要な部分をしっかりカバーできる効果があります。
まとめ|搭乗者傷害は“家庭の使い方”で必要度が変わる

搭乗者傷害保険は、補償の仕組みがシンプルで、事故直後でも定額の保険金を受け取れる利便性があります。しかし、人身傷害保険との重複が起きやすいため、すべての家庭に必要とは限りません。
ポイントは、
・「どれくらいの頻度で誰を乗せているか」
・「人身傷害保険の補償をどこまで手厚くしているか」
という “家庭の使い方” です。
・送迎が多い家庭
・同乗者が多い生活スタイル
・ケガリスクが高い運転や生活をしている人
こうした家庭では、搭乗者傷害が安心感をプラスしてくれます。
一方、
・人身傷害を高額で設定してい
・車両ごとに利用者が決まっている
・補償の重複を避けて保険料を最適化したい
といったケースでは、必ずしも搭乗者傷害を付ける必要はありません。
結局のところ、“補償のバランスをどう取りたいか” が判断の基準です。あなたの家庭に合った形で、ムダのない補償を選んでいきましょう。



「搭乗者傷害保険って必要なの?」
あなたも一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。
実はこの特約、人身傷害保険とセットで付ける方が多い一方で、補償が重複しやすく“ムダになりやすい”特約でもあるという特徴があります。では、どんな人に必要で、どんな人には不要なのか——。
本記事では、
・搭乗者傷害保険の仕組み
・人身傷害との違い
・必要かどうか判断する具体的な基準
・付けるべきケース/外しても良いケース
を、専門家目線で分かりやすく解説します。あなたの補償設計を見直すきっかけになれば幸いです。