スバル BRZ(ZD8) 試乗記|2.4L水平対向DOHC4気筒エンジンは、乗り手を選ぶ!

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スバル BRZ(ZD8)の試乗に行ってきた。

実は、少し前にトヨタのGR86(ND8)に既に試乗をしている。スバルとトヨタの共同開発の同じクルマなのにどうして?と思われるかもしれないが、僕には確認したいことがいくつかあった。

ライター

今回の試乗で、ようやくこの車の特徴やメーカーの意図するところを理解できたような気がします。素晴らしいスポーツカーだと感心するのと同時に、昨今の世界的な車づくりの事情を垣間見れた気がします。

これから、この車を購入しようと検討中の方々の参考になれば幸いです。

スバルのピュアスポーツカー BRZ(ZD8)のドライビングテイストとは、どんなもの?

ライター

実は、トヨタのGR86(ND8)には、既に試乗していますので、実質2回目の試乗になります。今回の試乗では、前回のトヨタのGR86(ND8)の試乗のときに浮足立って余裕が無く、感じることが出来なかった発見がありました。

2回目の試乗で、この車の特徴を再確認することができました。これは市販車とは言え、「競技用車両のベース車」の要素が強いというイメージを受けました。

ピュアスポーツとは言えど、サーキットを走る競技用車両という印象

スバルのBRZ(ZD8)は、トヨタのGR86(ND8)同様、「ピュアスポーツカー」という呼ばれ方をしている。

まず、極端に低いシートポジション。乗る際も大変だが、自分に合った最適なシートポジションを合わせるのに苦労するのだ。「これでいいだろう」と思って、いざ走り出してみると、シートポジションが合わなくて、クルマを止めて合わせなおさないといけなかったりする。普段、セダンやミニバンに乗り慣れている方は苦労するだろう。

確かに、「快適性や居住性を犠牲にしてでも、運動性能を特化させたクルマ」という定義を満たしてはいる。実際に公道を試乗で運転してみても、2.4Lの水平対向DOHCエンジンは、トルクがとても太く、自在にラインをトレースして速く走ることができる車である。運転していて気持ちが良い。

ただ、ピュアスポーツとは言え、ラリーやワンメイクレース、ジムカーナやダートトライアルと言った競技用車両のベース車としての要素が強い。つまり、誰でも乗れるのではなく、乗り手を選ぶクルマのように思えた。

実際に、初代モデルのBRZ(ZC6)に比べて排気量は2.4Lにアップされている。エンジンのボア×ストロークも、初代モデルの86×86から、ストロークは変わらずピストンのボアがアップされて94×86となっている。

チューンドカーのエンジンを排気量アップする手法でよく使われるストロークはそのままで、ピストンの太さを太くする「ショートストローク、ボアアップ」というチューニングである。いわゆる「高回転型のエンジン」という訳だろう。

とにかく速いのである。コーナーでのLSDの効き方もイージーになったとはいえ、それなりにFRらしい強いクセがあるし、直線の加速力もそうである。

ひと昔前のライトウェイトスポーツカーのように一般ユーザーが軽く乗りこなせるレベルではないのだ。今まで、コンパクトカーやワンボックスカーにしか乗ったことがないけど、スポーツカーに乗ってみたいというユーザーには難しいように思う。

だから、トルクがとても太くパワーが大きくなったエンジンは公道では持て余す。担当してくれた営業マンは、「余裕がある排気量で乗りやすいでしょ?」と言うが、このパワーは一般ユーザーは持て余すだろうと思う。エンジンのパワー的には余裕があるかもしれないが、ドライブするユーザーには余裕が無くなるのではないか?

誤解しないで戴きたいのは、決して悪いと言っているのではない。僕のような意見のユーザーさんは結構多いと思うのだが、市販車であるスポーツカーは、「踏み切れるから楽しい!」のだ。それを考えると、エンジンは初代モデルの2.0Lのままで良かったのではないだろうか?批判するわけではないが、これだとトルクやパワーがありすぎて、公道で一般っユーザーが乗りこなせないのではないだろうか。

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6気筒にして欲しい!という声は多いけど、おそらく造ることができない

初代モデルよりボアアップされて、2.4L水平対向DOHCになったエンジンであるが、どうせ2.4Lにするのであれば、4気筒ではなく、6気筒にしてほしかったのが僕の意見である。

実際に、ユーザーさんで6気筒を求める方々は多いと言う。実際にひと昔前のスバルには6気筒の水平対向エンジンが存在しており、造る技術はあるはずなのだ。

でも、時代の流れなのだろうか?昨今の規制が許さないのであろう。6気筒が出てくる可能性は極めて低いだろう。車メーカーの体力の問題もある。大手メーカーのトヨタでさえ、2.5Lのエンジンは6気筒は存在しない。4気筒なのである。レクサスも、2.0Lのガソリン車や2.5Lのハイブリッド車のエンジンは4気筒である。3.5Lになって、ようやく6気筒になるのだ。

GRスープラの30Bエンジンは6気筒だが、皆さんもご存じのとおり、エンジンはBMW社製である。国産で6気筒エンジンを造るのが難しくなってきている。日本ではなく世界中の自動車メーカーが、だんだんと厳しくなるCo2削減に対して、制限を余儀なくされているように思う。造りたくても造れないのだ。

 

ターボ化も期待できなさそう!ならばボルトオン・ターボという手段!

6気筒もそうだが、いっそのことターボ化してはどうか?という意見も多いようだ。実際に、チューニングメーカーによるBRZ(ZD8)とGR86(ND8)向けのボルトオンターボキットが発売されている。チューニングメーカーのHKSとトラストによるものだ。

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HKS製 BRZ(ZD8)用ボルトオンターボキット



上記の画像はHKS製のボルトオンターボキットだ。タービンはGTⅢRSを使用し、純正クラッチ、純正インジェクターのままで、純正に+125PSアップの366PS、トルクは純正+130N・mアップの391N・mを発揮する。

キット内容は、GTⅢRSタービンに、エクステンションパイプ、専用触媒、専用インタークーラーで、価格は902,000円(税込・取付工賃別)で発売されている。

 

TRUST GReddy製 BRZ(ZD8)用ボルトオンターボキット



上記の画像はTRUST製のものである。装着後のパワーは、HKS製に比べると控えめで、純正に対しての+50PSアップの290PSを発生する。

キット内容は、T620Zタービンに、専用アクチュエーター、エキゾーストマニホールド、フロントパイプ、インタークーラー、アルミパイピング、エアインクスホースアダブター、その他ショートパーツ一式と言ったところだ。このキット内容で、726,000円(税込・取付工賃別)で、これに専用触媒を追加すると814,000円(税込・取付工賃別)となる。

恐らく、エンジンの6気筒同様、メーカーによるターボ化も期待できないだろうと誰もが予測している。世界的な排ガス規制もあり、自動車メーカーにそこまでの余力は無いのが現状だろう。

自動車メーカーが出来ないことを、このようにチューニングメーカーが頑張ってくれれば、クルマ好きのユーザーも喜ぶだろうし、僕はそれで良いと思っている。

ノーマルで乗るにしろ、自分好みにカスタムするにしろ、車自体はとても優秀で良いクルマなのだから、それぞれが好きな方法でスポーツカーを味わって戴きたいものである。

 

スバル BRZ(ZD8)のグレードの選び方

ライター

スバル BRZ(ZD8)のグレード選びは、トヨタのGR86(ND8)同様、豪華標準装備や豪華オプションを付けれるほうにするか?もしくは競技用車両により近いほうにするか?という選択肢になる方が多いのではないでしょうか?

この項目では、グレードの選び方についてお話しました。参考にして戴ければ幸いです。

brembo(ブレンボ)のブレーキなどの豪華オプションを付けたいのなら、STI-Sport!

BRZ(ZD8)の最上級グレードは「STI Sport」だ。STI Sportとは、「SUBARU TECNICA INTERNATIONAL INC.」のことであり、スバルの連結子会社である。モータースポーツへの参画やパーツの開発・販売会社であり、BMWであればM社と言ったところだろうか。

最上級グレードのSTI Sportには、日立Astemo製のSFRDフロントダンパーや、ウルトラスエード/本革のシート、BOMEXのメーターが標準で付く。特に日立Astemo製のSFRDフロントダンパーは、路面の凹凸を拾い、適切に伸縮するダンパーであり、乗り心地を損なわず滑らかに走れるダンパーだ。ただ単に硬いだけのダンパーとは違う。

これは過去にインプレッサ STI Sportにも採用された実績がある優れモノだ。

オプション設定として圧巻なのが、brembo製のブレーキである。しかも、17インチフロント&リヤベンチレーテッドディスクブレーキで、キャリパーはゴールドである。クルマ好きが憧れる「ゴールドブレンボ」というやつだ。

このゴールドキャリパーのbremboだが、オプション価格は220,000円(税込)なのである。これを後付けしようとするとなんと、600,000円にもなってしまう高額なパーツなのだ。これがメーカーオプションだと220,000円で付けることができるのだから、メーカーオプションの強みだなとつくづく思うのだ。

なお、このbrembo製ブレーキは、生産可能台数の上限に達した場合は、注文の受付を終了するという。早い者勝ちだね。

他にも、STIスポーツパーツとして、BBSの鍛造ホイールを付けることができる。センターキャップやホイール本体にBBSのロゴは入らず、「STI」のロゴが入るのだが、432,960円(税込)でチョイスできる。後付けでBBSを買えば、このような価格で買うことはできない。

 

サーキットへ行くなら、Cup Car Basic!

スバル BRZ(ZD8)には、トヨタ GR86(ND8)と同じく、競技用モデルの「Cup Car Basic」の設定がある。

Cup Car Basicは、競技用車両のベース車両として、一部のユーザー垂涎のパーツが装備されているのだ。主な装備は以下の通り。

装備名 用途
ロールケージ(6点式+サイドバー) クルマの剛性アップとレースでの衝突や事故からドライバーを守る、硬い鉄でできたケージ
空冷式エンジンオイルクーラー 過酷なレースで、エンジンを熱から守る熱対策パーツ
6点式シートベルト用アイボルト(運転席) 6点式のシートベルトの装着ができるアイボルト
専用フロアマット(運転席/助手席) ロールケージ対応の溝があるフロアマット
エンジン封印 TOYOTA Gazoo Racing GR86/BRZカップの参加において、装着が義務付けられている

 

ただ、このような装備がある反面、パーツによってはそっけない部分もある。マフラーなんかは、カッターすら無く、パイプのみだし、ホイールは16インチのスチールホイールなのだ。

社外品に交換する前提の最低限の装備になっているところもある。「どうせ、換えるのだからそれでいい!」と言う方に対してはオススメのグレードだろう。

 

[SUBARU BRZ 主要諸元] 型式:3BAーZD8 (グレード:STI Sport 6MT)
車両重量(kg):1,270〈1,280〉
車両総重量(kg):1,490〈1,500〉
燃費     :11.9〈11.9〉
市街地モード :8.0〈8.0〉
郊外モード  :12.8〈12.9〉
高速道路モード:14.2〈14.1〉

最小回転半径(m):5.4

[エンジン仕様詳細] 型式:FA24
総排気量:2,387
種類:水平対向4気筒
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
内径×工程:94.0×86.0
最高出力(ネット)kW(PS)/rpm.:173(235)/7,000
最大トルク(ネット) N・m(kgf・m)/rpm.:250(25.5)/3,700
燃料タンク容量(L):50

[車両寸法・定員] 全長×全幅×全高(㎜):4,265×1,775×1,310(アンテナを含む数値)
ホイールベース(㎜):2,575
トレッド フロント/リヤ(㎜):1,520/1,550
最低地上高(㎜):130
室内(長さ×幅×高さ)(㎜):1,625×1,480×1,060
乗車定員(名):4

[足回り/ブレーキ/駆動方式] サスペンション(フロント):マクファーソンストラット式コイルスプリング
(リヤ)  :ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
ブレーキ(フロント/リヤ)   :ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
駆動方式                           :FR(後輪駆動方式)

 

まとめ

ライター

いかがでしたでしょうか?

今回のお話は、大まかに言って、

スバルのピュアスポーツカー BRZ(ZD8)のドライビングテイストとは、どんなもの?
スバル BRZ(ZD8)のグレードの選び方
スバル BRZ(ZD8)ギャラリー

でしたね。

今回のレビューは、クルマそのもののレビューと言うより、僕個人や他のユーザーさんの意見を多く書いてしまいましたが、BRZ(ZD8)が、とても人気で売れているスポーツカーであることは間違いがありません。本当に素晴らしい車だと思うから、僕の希望や願望も書かせて戴きました。

スポーツカーの好きな人が増えて、本当に楽しくて、希望の持てる車社会になってほしいと心から願っているのです。

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