車検での検査項目である「スピードメーター」の誤差はどれくらいまでが許容範囲なのか?スピードメーターの役割や車検での測定の方法を解説!

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スピードメーター検査は、車検の点検項目の中の大切な一つです。

スピードメーターの検査で不合格になってしまうことは通常、滅多にありません。ただ、ごくたまにスピードメーター誤差が大きくなることがあるのです。

ライター

近年の車のスピードメーターは、年々進化しており、とても正確に速度を示すようになってきています。ただ、スピードメーターの示す速度と実際の速度に大きく誤差があると、重大な事故につながる恐れがあります。

当記事では、車検の検査項目のひとつである「スピードメーター誤差」の基準や誤差が大きくなる原因や対策についてお話しました。

スピードメーターの役割と、車検でのスピードメーター測定の方法

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私たちが普段の運転中に何気なく見ているスピードメーターは、実は車検の検査項目の重要な一つになります。

スピードメーターを車検で検査する目的は、スピードメーターの速度表示と実際の速度に誤差が生じてないかを確認するためです。その誤差には許容範囲が定められており、許容範囲を超えると車検には不合格になります。

では、スピードメーターの検査って、車検ではどのような検査をしているのでしょうか?

ここでは、スピードメーターの役割や、車検でのスピードメーターの検査の方法など、詳しくお話しました。

スピードメーターは安全運転のための大切なパーツ

スピードメーターは、車やバイクなどの車両系に付いている速度計のことです。

スピードメーターから今現在の速度が表示されることにより、安全な速度で走行したり、速度違反を防止し、公道を安全な状態で走るための大切な車のパーツになります。

スピードメーターが、現在車が走行している速度を正確に表示することによって、運転しているドライバー本人だけでなく、他の車や歩行者の安全を守った道路環境を保ち、安心して通行ができるのです。

スピードメーターの規格は主に、JIS(日本産業規格)において、「自動車用スピードメーター」として、細かく定められています。

スピードメーターの表示方法は主に、「アナログ式」と「デジタル式」があります。また作動方法は、「機械式」「電気式」「電子式」の3種類に分類されます。

昨今は、時代の流れとともに、アナログ式のスピードメーターを見かけることはほとんど無くなりました。今現在は、電子式や電気式が主流を占めるようになっています。

ただ、実はスピードメーターが表示する速度は、実際に出ているスピードとはピッタリとは合ってはいません。「えっ!本当?」と思われたかもしれませんが、それはなぜでしょうか?

 

スピードメーターに誤差が生じる原因

スピードメーターが表示する速度は、タイヤの外周長とタイヤの回転数から計算しています。ですので、実際の測定値ではなく、あくまでも「想定値」となるのです。

また、スピードメーターと実際の速度との誤差が生じる原因は、

タイヤの摩耗具合
タイヤの空気圧
その車の状況

など、さまざまな要因があります。純正タイヤとは違う銘柄のタイヤを履かせていたり、インチアップしてタイヤのサイズが違っていたりすることで、タイヤの外周長が変わるために誤差が生じます。

それに、機械とは言っても、人間が作ったものですので、多少の誤差はどうしても生じてしまいます。特にひと昔前までは、スピードメーターは機械式が主流であり、電気式や電子式が主流になったのはごく最近のことになります。

ただ、先述しましたように、昔と違って現在のスピードメーターは電気式や電子式が主流であり、機械式のスピードメーターはほぼ見かけなくなりました。スピードメーターそのものの精度も上がり、性能も良くなっています。スピードメーターが原因で車検に不合格になるケースはほとんど無いといっても良いでしょう。

それに、スピードメーターが表示する速度は実際の走行速度よりも高い数値が出ると言われており、誤差があってスピードを出しすぎてしまう可能性は極めて低いのです。

ですので、実際の速度が40km/h出ているときでも、スピードメーターの速度表記は45km/hだったりしますので、その方が安全ですし、スピード違反をする心配も無いというわけです。

 

車検でのスピードメーターの誤差の測定の方法

車検の検査項目の中にある「スピードメーター検査」は、スピードメーターを時速40kmに維持したうえで、実際の走行スピードとスピードメーターの表示に誤差が無いかを確認する検査になります。

専用の測定器を使用し、スピードメーターの表示するスピードと測定器が表示するスピードを比較して、誤差を測定する検査になります。ただ、全く誤差がないというわけではなく、どの車であっても多少の誤差は出るのです。

スピードメーターの速度誤差の許容範囲は、上下ともに時速10km以内と定められています。それ以上の誤差があると、車検を通過することができません。

ただ、上記の画像にもありますように、スピードメーターの速度誤差の許容範囲は、その車の製造年月日によって変わってきます。

スピードメーターに表示される数値:V1(km/h)
速度計試験機を用いて計測した速度:V2(km/h)※

とした場合のそれぞれの誤差範囲を表す数式は以下の通りです。これらの数式に、上記のV1とV2の数値を当てはめて計算し、誤差を算出するという仕組みになっています。

 

2006年(平成18年)12月31日以前に製造された車の場合(軽自動車・二輪車を除く)

まず、2006年(平成18年)12月31日以前に製造された車の場合(軽自動車・二輪車等を除く)ですと、

10(V1-6)/11≦V2≦(100/90)V1

という数式を用いて誤差を計算します。仮に「V1=40km/h」とした場合、速度計試験機で計測される実際の速度の許容範囲は以下のように算出されます。

10×(40-6)÷11≦V2≦(100÷90)×40
30.90……≦V2≦44.44……

という計算になるわけですが、車検時に計測をする整備士が車検の記録簿に記入する指定整備記録簿には、車検時のスピードメーターの誤差が+9.0km/h~-4.4km/hの範囲内であれば車検を通過できるとされています。

 

2007年(平成19年)1月1日以降に製造された車の場合(軽自動車・二輪車を除く)

また、2007年(平成19年)1月1日以降に製造された車の場合(軽自動車・二輪車等を除く)ですと、

10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1

という数式を用いて誤差を計算します。仮に「V1=40km/h」とした場合、速度計試験機で計測される実際の速度の許容範囲は以下のように算出されます。

10×(40-6)÷11≦V2≦(100÷94)×40
30.90……≦V2≦42.55……

車の製造年月日によって変わってくる計算式の違いによるスピードメーターの誤差の許容範囲は、先述しましたスピードメーターの精度が上がっている2007年(平成19年)1月1日以降に製造された車のほうが、ほんの少しだけ厳しくなっています。

※道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2016.6.17】

 

知っておきたい!スピードメーターの重要性

車検の検査項目にも入っている、とても重要な要素が多いスピードメーターの誤差の検査ですが、もし、スピードメーターの表示速度よりも、実際の速度のほうが速かった場合、その車を運転するドライバ―は重大な事故を起こし、加害者になる危険性が高まります。そういう意味においても、スピードメーターの検査はとても重要です。

人の大切な命をも奪ってしまう事故の加害者にならないように、大きな誤差が出ないように普段から点検しておくことが大切です。

では、スピードメーターの誤差を極力小さくして、車検で引っかからないようにするためには、どのような対策が有効なのでしょうか?次の項目で詳しくお話してみましょう。

 

車検でスピードメーター検査で引っかからないためにやっておきたいこと

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車検で、スピードメーター検査で引っかかってしまうことは滅多にありません。ただ、車検を行っている業者さんが言うには、たまに引っ掛かるケースがあるということです。

それはどのようなことが原因で引っかかってしまうのか?また、車検でスピードメーター検査で引っかからないためにやっておきたいことについてお話しました。

 

タイヤの空気圧を正常に保っておく

タイヤの空気圧によってタイヤの外周長が変わってくることがあると言うことは先述した通りです。

タイヤの空気圧は、高すぎても低すぎても、外周長が変わってしまい、スピードメーターに誤差が出る原因になってしまいます。

タイヤの空気圧を正常な状態に保っておくには、運転席側のドアの内側にラベルが貼られて、そこに自動車メーカー推奨の空気圧が明記されています。空気圧は、その明記された数値に近い値の空気圧を保っておくことで、外周長への影響を少なくすることができるでしょう。

ただ、これらの空気圧の高い低いぐらいで、スピードメーター検査で引っかかってしまうことは、ごく稀なこと。外周長が変わりやすいのは、タイヤ&ホイールをインチアップやインチダウンした際に多く発生します。

 

タイヤ&ホイールのインチアップには要注意!

ドレスアップやカスタムで、タイヤ&ホイールをインチアップするのは、愛車がカッコ良くなってとても嬉しいですね。ただ、極端なインチアップやインチダウンは、スピードメーターの誤差が大きくなってしまう原因になります。

正しい方法のインチアップやインチダウンであれば、タイヤの外周長が極端に変わってしまうことはありません。正しいインチアップやインチダウンをしたとしても、ほんの少しだけは外周長は変わるのです。でも、車検で引っかかるほど大きな外周長の変化はありませんので、心配はいりません。

注意すべきなのは、ホイールのリム径が大きくなったのに、タイヤの扁平率がそのままだったり、リム径が大きくなった分だけ、適度なリム幅のアップができていなかったりすると、タイヤの外周長が極端に変わってしまい、スピードメーターの表示が狂ってしまうのです。

インチアップ、インチダウンをする際は、タイヤの外周長が極端に変わってスピードメーターが狂ってしまわないよう、ショップのスタッフの方に相談をして、適度なインチアップやインチダウンができるようにすると良いでしょう。

愛車を大切にする人のためのタイヤ・ホイールの正しいインチアップのやり方を徹底解説!

 

足廻りを交換した際は、アライメント調整を行い、タイヤを正常な状態に保っておく

タイヤ&ホイールのインチアップやインチダウンのやり方がマズイと、タイヤの外周長が極端に変わってしまい、スピードメーターの誤差が大きくなって車検に不合格になってなるということは先述したとおりですが、注意すべきことは、タイヤ&ホイールのインチップやインチダウンだけに限りません。

ローダウン(車高ダウン)するために足廻りを社外品に交換すると、トー角やキャスター角、キャンバー角が変化してバランスが狂ってしまう原因になります。

そうならないように、足廻りを交換した際には、必ず「四輪ホイールアライメント」をとって、アライメント測定・調整を行っておきましょう。

足廻りを交換したのに、アライメントを取っていないと、スピードメーターに誤差が出る懸念だけでなく、車がまっすぐに正常に走ってくれないリスクがあります。

車検でのスピードメーター検査は、車が安全に走るための大切な検査項目です。しっかりと調整を行って、安全に運転ができるように日ごろからメンテナンスをしておきたいですね。

 

まとめ

ライター

いかがでしたでしょうか?

今回のお話は、大まかに言って、

スピードメーターの役割と、車検でのスピードメーター測定の方法
車検でスピードメーター検査で引っかからないためにやっておきたいこと

でしたね。

これらのことに最低限注意しておけば、車検でスピードメーターの誤差で不合格になってしまうことは滅多にありません。ただ、インチアップやインチダウンなどのカスタムをした車は要注意なので、正しい方法でメンテナンスを行っておきましょう。

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