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ヘッドライトの高さ(光軸)がズレていると、自分にとっても対向車や先行車にとっても危険です。光軸の調整はしっかりやっておきたいもの。
ヘッドライトの高さ(光軸)がずれていると危険!
車の運転中に、対向車や後続車のヘッドライトが眩しくて、危ない思いをしたことは無いでしょうか?
相手だけでなく、もしかすると自分の車のヘッドライトが眩しくて、対向車や先行車の視界を妨げているかもしれません。この項目では、ヘッドライトの高さ(光軸)がズレていることに関する懸念事項についてお話しました。
光軸とは?
光軸とは、車のヘッドライトの適度な高さのことを言います。
この光軸が上にズレてしまうと、距離が離れるほど高い位置を照らしてしまうため、対向車が眩しく感じてしまい危険です。また、前方や足元を照らすことができないため、運転するのが危なくなります。
逆に下にズレてしまった場合も同じです。足元ばかり照らしてしまい、前方が十分に見えないため、横断歩道をわたる歩行者を見逃してしまったり、前方に車や障害物があるのを見落としやすくなり、危険です。
車検でも光軸検査は、検査項目の一つになります。
このヘッドライトの高さ(光軸)に関しては、社会問題にまでなっており、国土交通省は令和6年9月20日に、「自動車のヘッドライトのオートレベリングの装備を拡大する」と発表しています。
オートレベライザー(オートレベリング機能)の役割や機能
オートレベライザー(オートレベリング機能)とは、上記の画像のように、車の乗車人数や荷物量、また交差点や踏切で車の姿勢が変化することにより、自動的にヘッドライトの照射方向を変化させるシステムのことです。
現在では、ほとんどのメーカー、車種に標準装備となっているオートレベライザーも、ひと昔前までは、一部の高級車や欧州車にしか装備されていませんでした。
国土交通省は、改正の理由として、以下のとおり明記しています。
自動車は、後部座席に人が乗車したり、トランクに荷物が積載されている状態では、車両後部が下がるため、ヘッドライトの光の向きを調整しない場合、ヘッドライトが上を向き、対向車のドライバー、特に高齢者ドライバーに眩しさを与えるリスクがあります。
そこで、2006年の新車から、光源が明るいヘッドライトを備えた自動車を対象として「ヘッドライトの上下の照射方向を自動で調整するオートレベリング」を備えなければならないこととしていますが、依然として、ヘッドライトの眩しさにより、周囲の自動車等の発見が遅れ、事故に繋がったというケースが過去10年間(2012~2021年)で300件以上発生しています。
このような事故を防止するため、オートレベリングの装備拡大が国際的に議論されてきたところ、今般、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において、このオートレベリングに関する基準改正が合意されたことなどを踏まえ、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の改正を行います。
【適用日】
(1)乗用定員10人以下の乗用車等新型車:令和9年9月1日
(2)車両重量3.5t以上の貨物車及び乗車定員11人以上の乗用車、新型車:令和10年9月1日
継続生産車:令和13年9月1日
引用先:国土交通省
ヘッドライトの高さ(光軸)調整の基準の変更点や検査項目
ヘッドライトの車検における検査項目の基準は、何年も前に変更されており、見直しがされています。
そのせいで、車検に通らない車が増えてしまう懸念があり、今後は注意が必要です。では、どのようなことに注意すれば車検で引っかからないでしょうか?この項目では、それについて詳しくお話しました。
ハイビームからロービームに検査基準が変更
実は、前照灯(ヘッドライト)の車検基準(光軸、光量、色)は、2015年に変更され、2018年からは従来のハイビームからロービームに変更されています。
実際に国土交通省が管轄する検査場では、ロービーム検査が困難な車においては、以前のようにハイビームでの検査を実施していました。しかし、周知開始から5年が経過し、審査体制の整備が完了することから、2024年8月1日以降は、過渡期の取り扱いが見直され、全車ロービーム計測のみで基準適合性審査が実施されています。
検査基準がそれまではハイビームだったのが、ロービームの検査基準に変わった理由は、平成10年9月1日以降に生産された車がロービームを基準にしてヘッドライトが設計されるようになったことも背景にあるようです。ただ、ヘッドライト検査では、車の年式により、ハイビーム(走行用前照灯)検査とロービーム(すれ違い用前照灯)検査と測定方法が異なります。
ひと昔前の車のヘッドライトは暗いことが多く、ハイビームで走行しないことには前方が見えにくいことが多々ありました。暗いだけでなく、雨がふったりすると、ヘッドライトの光が雨に乱反射するという事態が多く起こっていました。
ヘッドライトの設計がロービーム主体で行われるようになってから、ハイビームで走行する車は極端に減少しました。それによって、光軸検査もロービームで行われるようになりました。
ヘッドライトの検査項目
ヘッドライトの検査項目は3つあり、「光軸」、「光量」、「色」になります。
光軸
光軸は、専用の検査機械によって検査されます。
対向車が眩しくないか、光の配分が適正かどうかを確認するという目的で行われています。上記の画像のようにロービームで壁を照らした場合、上方向の光を一定のラインでカットする「カットオフライン」がはっきり出ているかどうかを判断します。
光量
光量は、その名の通り光が基準内の数値になっているかどうかを専用の機械で計測します。基準値よりも光が暗いと、車検には通りません。
色
ケルビン値 | 光の色合い |
3,000~4,000K | 黄色や暖色 |
6,000K以上 | 白色 |
8,000K以上 | 青色 |
ヘッドライトの色は、白色であることが求められます。
ヘッドライトユニットのレンズの曇りや汚れ、劣化など、かなり繊細な調整が必要となります。
ただし、車検では機械ではなく、検査員の目視で測定されるため、検査員によって評価が分かれます。また、ヘッドライトの色は左右で違ってはいけません。左右対称にする必要があります。ヘッドライトを交換する際には、できれば純正品か、社外品を装着する場合は、ディーラーなどに相談し、無難な色のヘッドライトを装着するようにしましょう。
ヘッドライトの高さ(光軸)が、ズレやすい理由と対策
ヘッドライトの高さ(光軸)のズレは、どんな車であっても発生します。では、光軸がズレる原因にはどのようなものがあるのでしょうか?また、それらの対策はどうすれば良いのでしょうか?
衝撃でズレる
光軸は、車の運転中にもズレることがあります。
例えば何かにぶつかったり、段差に乗り上げてしまったりするなど外部から衝撃を受けることでズレてしまったり、車に重い荷物を積んでいたり、後部座席に人が乗っているときにもズレたりします。
ただ、重い荷物を積んだり、後部座席に人が乗った場合の光軸のズレは一時的なものであり、オートレベライザーが搭載されているので、センサーが働いて自動的に修正してくれます。
また、車検や法定点検の際に、調整しますので、事故を起こして車に強い衝撃を与えない場合以外なら、光軸がズレることは滅多にありません。
車高ダウンでズレる
厄介なのが、車のカスタムやドレスアップで車高ダウン(ローダウン)したときにも光軸がズレる場合があります。
この原因は、先述したオートレベライザーがいたずらをするせいです。理由は、オートレベライザーは、今現在、ほとんどの車種で装備されており、とても便利な機能なのですが、高さを感知するセンサーがリヤのみにしか装備されていない車種が多いので、車高ダウンすることで、車の姿勢が変わったと勘違いして光軸がズレるのです。
これを対策する方法は、いろいろな方法があるようですが、「オートレベライザーアジャストロッド」を装着することで、確実に光軸のズレを修正することができます。
価格は5,000円前後(送料別)で購入することができます。バルブを社外品に交換したらズレる
ヘッドライトのバルブを社外品に換えた場合も、光軸がズレる原因になります。
バルブの位置がずれて、リフレクターやプロジェクターに正しく反射せず、光軸がズレる懸念があります。根本的にズレているので、レベライザーでも調整が出来ません。
愛車をカッコ良くしたいという気持ちはよく理解できますが、むやみやたらに社外品のバルブを装着せずに、純正品を装着するか、もしくはディーラーに相談をして、光軸がズレないようなバルブを購入して装着するようにしましょう。
光軸調整を依頼できる業者
ヘッドライトの高さ(光軸)の調整は、意外とセルフでも出来たりします。
しかし、車のメンテナンスをやったことがない方は、どうすれば良いのか困惑しますよね。この項目では、ヘッドライトの高さ(光軸)調整を依頼できる業者や費用の目安についてお話しました。
ディーラー
ディーラ―とは、トヨタや日産、ホンダ、マツダなどの国産自動車メーカーの特約店の他、メルセデスベンツやBMWなどの欧州車自動車メーカーの特約店のことを言います。
ディーラ―でも、ヘッドライトの高さ(光軸)調整には対応しています。ただ、光軸調整のみに対応してくれるかどうかは、該当のディーラーに問い合わせたほうが良いでしょう。
費用は、2,000円~5,000円ほどかかるのが目安になります。
カー用品店
オートバックスやイエローハットなどのカー用品店でも、車検をやっている店舗では光軸調整には対応しています。
費用は、1,000円~3,000円と比較的安い費用で対応しているようです。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドで、車検を行っている店舗なら光軸調整には対応しています。
費用は、1,000円~2,000円ほどで比較的安いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●ヘッドライトの高さ(光軸)がずれていると危険!
●ヘッドライトの高さ(光軸)調整の基準の変更点や検査項目
●ヘッドライトの高さ(光軸)が、ズレやすい原因と対策
●光軸調整を依頼できる業者
でしたね。
近年、車検での光軸の検査の基準が変更された影響で、ヘッドライトの高さ(光軸)の調整には皆さん、結構神経質になっているようです。
ただ、光軸調整は、ディーラーでもガソリンスタンドでも、車検を行っている店舗であれば、たいていは対応可能なので心配はありません。
それに、正しい情報を知った上で、きちんとメンテナンスを行っていれば、車検で引っかかる心配はありません。ここでのお話が皆さんの参考になれば幸いです。
近頃、車検での車のヘッドライトの高さ(光軸)調整の基準が変わったのを皆さんはご存じでしょうか?これは、光軸のズレが原因での事故の増加によるものであり、ちゃんと車検で通るように対応しておきたいものです。
ただ、意外なことで光軸のズレが生じることもあるので、今回は光軸のズレの原因と対策についてお話しました。