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車検の検査項目の一つに、「ブーツ類」の検査があります。
ブーツ類は、車のパーツのなかでも重要な役割を果たしています。
車検での検査項目になっている車の7種類のブーツの役割と詳細
車検での検査項目の一つに、「ブーツ類の検査」があります。
車のブーツ類は7種類あり、それぞれの役割があります。これが破れやひび割れなどで破損していたらちょっと厄介です。ではこれらのブーツ類のそれぞれの役割とはどういったものでしょうか?
ドライブシャフトブーツ
ドライブシャフトブーツとは、エンジンからタイヤに動力を伝えるドライブシャフトのジョイント部を保護するゴム製の部品です。
ドライブシャフトブーツは以下のような役割を果たします。
グリースの漏れを防ぐホコリや砂利、水などの異物からジョイント部を守る
ジョイント部が伸縮して曲がりに対応する
ドライブシャフトブーツは、走行時の熱や急カーブ、でこぼこ道などの悪路走行によって劣化しやすいため、亀裂や破損などに注意が必要です。ブーツが破れなどによって破損すると、砂利や水がジョイント部に侵入し、ドライブシャフトが破損し、走行不能につながる可能性があります。
ステアリングラックブーツ
ステアリングラックブーツは、ハンドルを切ったときにタイヤを動かすギヤ機構を保護するゴム製のカバーです。ステアリングラックという部品に装着されており、異物や水の侵入を防ぐ役割があります。
ステアリングラックブーツは、ゴム製のため使用や経年劣化によって亀裂が入ったり裂けたりすることがあります。これを破れたまま走行すると、関節部分に雨や汚れが付着して傷めてしまい、最悪の場合ジョイントが破損してステアリング操作ができなくなる可能性があります。
タイロッドエンドブーツ
タイロッドエンドブーツは、ステアリング操作の力をタイヤに伝えるタイロッドエンドの関節部を保護するゴム製の部品です。
タイロッドエンドブーツの役割は以下の通りです。
ステアリング操作の度に摺りながら動くため、その際に生じる摩擦を抑えるためにグリースが塗布されており、漏洩防止や異物の侵入を防止する走行中の衝撃・振動を吸収、緩和して操作の安定性を保つ
スタビリンクダストブーツ
スタビリンクダストブーツは、自動車のサスペンションとスタビライザーの連結部分を保護するゴム製のカバーです。
スタビライザーはコーナリング時に車の傾きやロールを抑える部品であり、コの字型やUの字型をしたバネの細長いパーツです。スタビリンクダストブーツは、スタビライザー側とサスペンション側にそれぞれ装備されています。
ロアアームボールジョイントブーツ
ロアアームボールジョイントブーツは、タイヤを下から支えるアームの関節部に装着されているゴム製のパーツで、ボールジョイントを保護し潤滑する役割を担っています。
ボールジョイントはサスペンション機構の関節として、タイヤが上下左右に動く際にスムーズな動きをサポートしています。ボールジョイントにはグリースが塗布されており、ブーツはグリースの漏洩防止や異物の侵入防止を目的とします。
ブレーキダストブーツ
ブレーキダストブーツは、ブレーキキャリパー内のピストンを保護するために備え付けられている蛇腹状のカバーです。ピストンに水や異物などが侵入するのを防ぎ、ブレーキの利きが悪くなるのを防止します。
ブレーキダストブーツは、回転や往復運動などを行う継手部分に使用され、走行中の車に飛んでくる小石やホコリ、水などによって部品が損傷を受けないように保護する役割を果たします。
サスペンションダストブーツ
サスペンションダストブーツは、サスペンションのショックアブソーバーのシリンダー内を往復するロッドや、ロッドとシリンダーの接合部にあるオイルシールを保護する蛇腹状のカバーです。
走行中にタイヤが巻き上げる砂利やホコリなどから部品を保護する役割を果たしており、主に足廻りに用いられます。
ブーツに破れや亀裂があると、保安基準に適合しない!
ブーツはゴム製のパーツのため、強い衝撃や経年劣化などで破れたり亀裂が入ったりして破損します。車検の際に、ブーツが破損していた場合は、車検には通らないのでしょうか?
是非知っておいて戴きたいことですので、参考にしてみて下さい。
ブーツの破れは車検には通らない!
車には7種類のブーツがあり、すべて車検での検査項目になります。
車検では、車をフロアジャッキでジャッキアップして、下廻りを検査します。具体的に検査する部分はオイル漏れやボルトの緩みの有無などになります。その際に、ブーツ類の破れや亀裂の有無も検査されます。
破れや亀裂、経年劣化によって破損しますが、破損したブーツだと車検は不合格になります。車検の前の事前見積もりでは、ブーツが破損している場合には、車検を実施する店舗から交換を要請されるでしょう。
ブーツ類に破れや亀裂があると、保安基準適合外になり、再検査を要求されます。ブーツを新品に交換するか修理するなどして、再検査に臨むことになります。
では、ブーツが破れたり亀裂が入ってしまうと、具体的には車にどのような弊害があるのでしょうか?
ブーツが破れるとグリースが漏れる
先述しました車の7種類のブーツは、そのほとんどがグリースの漏れを保護する役割を担っています。
ブーツが破れや亀裂によって破損することで、グリースが漏れてしまいます。これらを放置すると、ガタが発生したり、異物が混入したり、部品が破損したり脱落したりして、車が動かなくなってしまう恐れがあります。
ブーツ類が車検の検査項目になっているのは、それらの危険性を防止するためであり、自動四輪車(自動車)の場合、新車の購入後3年~その後2年ごとに行い、国の保安基準および安全かつ環境に配慮するために、決まった検査項目が設定されています。
ブーツが破れる原因
どのブーツも、使用を続けるうちに摩耗してひび割れや破れが生じる可能性があります。ブーツは大抵の場合、連結部や、よく動く可動部に設置されていることが多いため、運転を継続するたびに、どうしても傷んでいきます。
また、ゴム製のため、経年劣化は避けられず、消耗部品になるため定期的な交換は必要になってくるでしょう。
ブーツの交換時期と交換費用、ブーツを長持ちさせる方法
ブーツには寿命があります。消耗部品ですので、定期的な交換はどうしても必要になります。
ただ、どれくらいの寿命なのか?また、適切な交換時期や交換費用はどれくらいなのか?どうせなら、できるだけ長持ちさせたいけど、具体的にどうすれば良いかなどをお話しました。
ブーツの寿命や交換時期
各ブーツの寿命や交換時期は以下の通りです。
ブーツの名称 | 寿命と交換時期 |
ドライブシャフトブーツ | 走行年数5年もしくは走行距離5万km |
ステアリングラックブーツ | 走行距離5万km |
タイロッドエンドブーツ | 走行距離10万km、それより早い場合もある |
スタビリンクダストブーツ | 走行距離5万km |
ロアアームボールジョイントブーツ | 10年もしくは走行距離10万km、環境や走行距離によって大きく異なる |
ブレーキダストブーツ | 走行距離5万kmもしくは走行年数5年 |
サスペンションダストブーツ | 走行距離10万kmもしくは10年程度 |
上記の寿命や適切な交換時期は、あくまでも参考値であり、車のおける使用環境や運転の仕方によって大きく異なってきます。
普段の走行距離が多い車や、山道での運転が多い車に関しては、上記の数値よりも寿命や交換時期が早まる可能性が高いです。適切な交換時期は、行きつけのディーラーや整備工場に相談すれば良いでしょう。
ブーツの交換費用
各ブーツの交換費用は以下の通りです。
ブーツの名称 | 交換費用 |
ドライブシャフトブーツ | アウターブーツで1箇所あたり2~3.5万円、インナーブーツで1箇所あたり1.5~3万円 作業工賃3,500~5,000円 |
ステアリングラックブーツ | 片側で8,000~23,000円、トーイン調整があると更に費用が発生する |
タイロッドエンドブーツ | 片側3,000~10,000円、店舗によってバラつきがあるが、部品代よりも工賃の価格設定にもよって違う |
スタビリンクダストブーツ | 5,000~10,000円、店舗によってバラつきがある |
ロアアームボールジョイントブーツ | 6,000~15,000円、車種によってバラつきがある |
ブレーキダストブーツ | 1箇所あたり5,000~10,000円 |
サスペンションダストブーツ | 1箇所あたり5,000~10,000円 |
先述しました寿命や交換時期と同じく、交換費用には店舗や車種によってバラつきがあるのが現実です。ディーラーで交換すると高かったり、意外と高いのがガソリンスタンでの交換です。
オートバックスやイエローハットなどのカーショップは比較的安い傾向にあるようですので、いろいろ見積もりを取ってみるのが良いでしょう。
ブーツ類の劣化は、なかなか目が届かないのが多いようです。大切なパーツですので、気にしておきましょう。
ブーツを長持ちさせる方法
先述しましたように、交換となると結構な費用が掛かってしまうブーツ類ですが、できるだけ長持ちさせたいですよね。では、どうすればブーツ類を長持ちさせることできるのでしょうか?
運転が荒いと、ブーツ類の劣化は早い!
ブーツ類の劣化の早い遅いは、運転の仕方によって大きく変わってきます。
各ブーツが装着されている箇所は、連結部や可動部がほとんどであり、どうしても動く部分ですので、走行による劣化からは避けることはできません。
しかし、運転を丁寧にするか、荒い運転をするかによって劣化具合は大きく変わってきます。また、悪路走行が多い車は劣化が早い傾向にあります。
普段の運転の仕方を丁寧に行うことによって、劣化を遅らせることは十分に可能です。ぜひ丁寧な運転を心掛けてみて下さい。
悪路や雨の後は、下廻りの洗車をしっかり行う
これらのブーツ類は、たいていが車の下回りに位置します。
これらは走る道路の状況によっても、汚れや劣化に大きく影響します。雨の後やぬかるみのある道路を走った後は、下廻りを洗い流すくらいのメンテナンスをすることをおすすめします。
僕の愛車は、初年度登録からもうすぐ10年が経過(2025年1月現在)しますが、未だにブーツ類の交換はしたことがありません。車検の際にも、店舗のスタッフの方から「下廻りがとてもきれいな車ですね」と褒められたぐらいです。
コイン洗車場に設置してある高圧洗浄機などで、タイヤハウスや車の下廻りに水を吹きかけるだけでも効果は十分あります。面倒くさがらずに行うことで、ブーツ類の劣化を遅らせることは十分可能です。是非やってみられることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●車検での検査項目になっている車の7種類のブーツの役割と詳細
●ブーツに破れや亀裂があると、保安基準に適合しない!
●ブーツの交換時期と交換費用、ブーツを長持ちさせる方法
でしたね。
車検の検査項目の一つにもなっているブーツ類の検査ですが、検査に合格する以前に、車のパーツを守ってくれている大切な部品になります。
普段から、「破れていないか?亀裂は無いか?」など、気を配って戴き、大切にしてくれれば幸いです。
皆さんは、車のパーツの中でも、ブーツ類の状態はあまり気にしていない方がほとんどではないでしょうか?僕もそうですが、実は、ブーツ類は車検の検査項目の中に入っているぐらいですので、とても重要な役割を果たしているパーツなのです。
今回は、各ブーツの名称や役割、車検でのブーツ類の検査の内容、ブーツが破れや亀裂などで破損している場合はどうなるのか?についてお話しました。