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ZVW30プリウス(3代目プリウス)の足廻りには、「入力分離型アッパーマウント」が採用されています。
このアッパーマウントは、通常のアッパーマウントと違い、工夫された点が多くあって、注目されているのです。

入力分離型アッパーマウントの詳細


ZVW30プリウス(3代目プリウス)に標準装備されている「入力分離型アッパーマウント」は、とても工夫されたしくみです。
具体的なメカニズムはどうなっているのか、この項目では詳しい仕組みを解説しました。
入力分離型アッパーマウントが標準装備されたグレード
入力分離型アッパーマウントは、ZVW30プリウス(3代目プリウス)に標準装備されているパーツになります。
ただ、全てのグレードに装備されているわけではありません。標準装備されているグレードは以下の通りです。
マイナーチェンジによって、後期型では全てのグレードに標準装備となった
| 前期型 | ・SおよびGのツーリンググレード(17インチタイヤ&ホイール装着車) ・ソーラーパネル付ムーンルーフ装着車(メーカーオプション) |
| 後期型 | 全てのグレード |
入力分離型アッパーマウントは、前期型では上記のグレードおよびメーカーオプション装備車にのみ、標準装備されていました。
ただ、2011年12月のマイナーチェンジによって、後期型の全グレードに標準装備と変更されています。
入力分離型アッパーマウントとはこういうもの!
入力分離型アッパーマウントとは、ストラット式サスペンションにおいて、ショックアブソーバー(ダンパー)からの衝撃と、コイルスプリングからの衝撃を別々の経路で受け止める構造のアッパーマウントのことをいいます。
具体的には、以下の2つの衝撃がアッパーマウントに伝わります。
1.ショックアブソーバー(ダンパー)からの衝撃
ショックアブソーバー(ダンパー)は、路面からの衝撃や振動を吸収する役割を担っています。この衝撃は、アッパーマウントのゴムブッシュなどを介して車体へと伝わります。
2.コイルスプリングからの衝撃
コイルスプリングは、車体の重さを支え、路面からの衝撃を吸収する役割を担っています。この衝撃は、アッパーマウントのストラトベアリングなどを介して車体へと伝わります。
入力分離型アッパーマウントでは、これらの2つの衝撃を別々の経路で受け止めることで、それぞれの衝撃に対する干渉を減らし、より効果的なサスペンション性能を引き出すことができます。
ただ、この入力分離型アッパーマウントも、ショックアブソーバー本体と同様に、走行距離を重ねることによって、劣化していきます。
10万キロ以上の走行距離車や、ある程度年数の経過した車両では、アッパーマウントが劣化することで、路面からの衝撃を吸収しきれずに、乗り心地が悪化したりしますので、交換が必要になってきます。
入力分離型アッパーマウントのメリットとデメリット
どんな部品やパーツにも、完璧なものは存在しません。やはり、メリットもあれば、デメリットもあると言えるでしょう。入力分離型アッパーマウントのメリットとデメリットは、どのようなものが予想できるでしょうか?
入力分離型アッパーマウントのメリット
| 乗り心地の向上 | ショックアブソーバー(ダンパー)とコイルスプリングからの衝撃を分離することで、路面からの細かい振動や衝撃をより効果的に吸収し、乗り心地を向上させることができます。 |
| 操縦安定性の向上 | ショックアブソーバーとコイルスプリングからの衝撃を分離することで、車の挙動を安定させ、操縦安定性を向上させることができます。 |
| 異音の低減 | アッパーマウントの劣化による異音(ガタガタ音、ギシギシ音など)を低減することができます。 |
| 耐久性の向上 | ショックアブソーバーとコイルスプリングからの衝撃を分離することで、アッパーマウントにかかる負担を軽減し、耐久性を向上させることができます。 |
入力分離型アッパーマウントのデメリット
| コスト | 一般的なアッパーマウントに比べて、構造が複雑なため、コストが高くなる傾向があります。 |
| 適合車種が限られる | 車種によっては、適合するものが限られる場合があります。 |
入力分離型アッパーマウントは、ZVW30プリウスの後期型以降、50系プリウス(ZVW51プリウス)や60系プリウス(MXWH60プリウス)の全グレードに純正採用されています。
入力分離型アッパーマウントが装着されることによって、路面からの衝撃がマイルドになり、乗り心地を向上させることが期待できます。
長く車を乗り続ける場合は、良い状態で乗りたいものです。走行距離を重ねた車や他走行車は、ショックアブソーバー本体やコイルスプリング同様に、定期的に交換することをおすすめします。その他の周辺部品であるゴム製のブッシュ類も同時に交換することで、良い状態で長く乗ることができるのです。
入力分離型アッパーマウントの交換を含めて、足廻りの効果的なメンテナンスを実施しよう!

乗り心地の向上に優れた効果が期待できると言われる「入力分離型アッパーマウント」でも、走行距離を重ねることで、当然劣化をします。良い状態で車を維持しようと思えば、交換が必要になってくるのです。
この項目では、入力分離型アッパーマウントの交換を含めた、足廻りのメンテナンスを提案しました。
アッパーマウントの交換だけでは、交換工賃が割高になる!
ライターの僕自身も、近々に足廻りの交換を計画中ですので、アッパーマウントの見積もりをトヨタに依頼しました。
ところが、アッパーマウントの交換だけでも、工賃がとても高いのです。部品代および工賃は以下の通りです。
入力分離型アッパーマウントの部品代および交換工賃
部品代:10,472円
交換工賃:47,850円
合計:58,322円
いくら何でも、アッパーマウントの交換のみで、5万円近くの交換工賃がかかってしまうのは、ナンセンスだと思います。部品代より高い工賃など、とんでもない!と考えるユーザーさんがほとんどでしょう。
交換工賃が高くなってしまう理由として、ZVW30プリウス(3代目プリウス)の場合ですと、アッパーマウントを含めた足廻りを交換する場合、構造的に、足廻りを外す際に、ワイパーを外さないといけないという手間がかかってしまうのです。これが、ZVW30プリウス(3代目プリウス)の足廻りの交換工賃が他の車種に比べて高くなってしまう原因だと考えられるのです。
その場合、アッパーマウントのみを交換するのではなく、ショックアブソーバー(ダンパー)本体とコイルスプリングの交換と同時に、アッパーマウントの交換をしてみてはいかがでしょうか?
おすすめは、「純正形状ショックアブソーバー+ダウンスプリング」のセット
ZVW30プリウス(3代目プリウス)の足廻りを交換する際に、多くのユーザーさんが足廻りの種類として一番多く想像されるのが、「車高調整式サスペンション(車高調)」になるでしょう。
最近は、品質の良い車高調整式サスペンション(車高調)も多く出回ってきています。価格も比較的安い価格で販売されているのも目立つようになってきました。
ただ、僕ライターの個人的な意見になってしまって大変恐縮なのですが、車高調整式サスペンション(車高調)は、あくまでもサーキット走行などの競技用です。公道を走る車には不向きなのです。
確かに、「車高調整式サスペンション(車高調)に交換して、乗り心地が良くなった!」という製品もたまに耳にすることがあります。ご自分のZVW30プリウス(3代目プリウス)に実際に装着されたユーザーさんのご意見ですので、事実なのでしょう。
車高調整式サスペンション(車高調)は、公道の走行には向かない!
でも、交換した車高調整式サスペンション(車高調)を短いスパンの20,000~30,000kmごとに交換するのであれば、車高調整式サスペンション(車高調)でも大丈夫でしょう。耐久性の問題なのです。
でも、ほとんどのユーザーさんが、交換したのであれば100,000kmほどの耐久性を求めると思うのです。短いスパンで交換できるのは、週末にサーキットに通う特定のユーザーさんだけに限られるでしょう。
そこで、僕ライターがZVW30プリウス(3代目プリウス)の足廻りの交換としておすすめできるのが、「純正形状ショックアブソーバー+ダウンスプリング」のセットなのです。
このキットは、純正のアッパーマウントを使用することが前提のサスペンションキットです。アッパーマウントも別に購入しなければなりませんが、ZVW30プリウス(3代目プリウス)の純正サスペンションをOEM生産しているKYB社製のものですので、安心して使用できるかと思います。
このキットは、車高のダウン量が2~3㎝のダウンですので、車高調整式サスペンション(車高調)に比べると物足りなく感じるかもしれません。車高調整式サスペンション(車高調)のように5~6㎝も下がらないからです。
でも、これなら乗り心地を損なう懸念もなく、程よいダウン量で足廻りのリフレッシュが可能なのです。
見た目と同時に、乗り心地を重要視されるユーザーさんであれば、このような足廻りを検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●入力分離型アッパーマウントの詳細
●入力分離型アッパーマウントの交換を含めて、足廻りの効果的なメンテナンスを実施しよう!
でしたね。
ZVW30プリウス(3代目プリウス)も、生産終了からだいぶ年月が経過して、既に「旧車」と言ってもおかしくないほどになってきています。
車を良い状態で長く乗りたいというオーナーさんにとって、足廻りのメンテナンスはとても重要になってきます。今回のご提案を参考にして戴ければ幸いです。



ZVW30プリウス(3代目プリウス)も、最終型の生産終了から10年以上が経過しています。入力分離型アッパーマウントとは、どのようなものなのか?というお話と、アッパーマウントの交換を含めた足廻りのリフレッシュのお話をしました。