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ペーパードライバーでも自動車保険は必要?

車を所有しているけれど、ほとんど運転しない——いわゆる「ペーパードライバー」の人は意外と多くいます。
「年に数回しかハンドルを握らないのに、普通のドライバーと同じように保険料を払い続けるのは損なのでは?」と感じたことはないでしょうか。
実は、この疑問は多くの人が抱えており、ペーパードライバー専用の考え方を知っておくことで、無駄な保険料をしっかりとカットできるようになります。
では、そもそもペーパードライバーでも自動車保険は必要なのか?という根本的な疑問から見ていきましょう。
車に乗らない期間がある場合の補償リスク

「乗らないなら事故も起きないから安全」と思われがちですが、車を動かさなくてもリスクはゼロにはなりません。
実際に、ペーパードライバーでも発生しやすいトラブルは以下のようなケースです。
【車を動かさなくても起こりうるトラブル例】
駐車場での物損事故→ 隣の車がドアをぶつけてきた、子どもが自転車で擦った…など、自分が運転していなくても被害を受けることがある 当て逃げ・イタズラによる損害
→ バンパーに傷がついていたが、相手がわからない=自腹修理になるケースも少なくない 車両火災・自然災害(台風・冠水・落下物)
→ 「停めていただけなのに」でも、台風や水没被害は年々増加している
ポイント
「運転しているときだけの保険」だと思うと損をします。
実際は 「所有している限り、車は常にリスクを抱えている」 というのが保険会社の前提です。
「解約」や「一時停止」は可能?保険の休止制度の現実

「ほとんど乗らないなら、いったん解約して、必要になったときにまた加入すればいいのでは?」
一見もっともに思えますが、自動車保険には“保険料を節約するための解約”という選択肢は現実的ではありません。
解約によるデメリット
等級(ノンフリート等級)がリセットされる→ せっかく上がった等級が「6等級(初期状態)」に戻り、保険料が一気に高くなる 長期間未加入だと「事故歴不明扱い」とされ、保険料が割高に 再契約時に「中断証明書」がないと引き継ぎ不可
“一時停止”のような制度は基本的に存在しない
「バイク保険には“冬だけ乗らない人向けの中断制度”があるけど、車にもあるの?」
→ 自動車保険には原則ありません。
ただし——
例外として「中断証明書制度」があります。
これは 車を手放す or一時的に所有しない場合に、最大10年間まで等級を保留できる制度です。
ポイントまとめ
「乗らないから保険を止める」は コスパが悪い選択肢“解約して節約”よりも、“補償範囲を調整して節約”が正解
ペーパードライバー向けの保険料節約テクニック

ペーパードライバーでも自動車保険は必要——とはいえ、「ほとんど乗らないのに、普通の人と同じ保険料を払うのは納得できない」というのが本音ではないでしょうか。
実は、走行距離が少ない人ほど保険料を下げやすいという特徴があります。ポイントは、「補償内容を削る」ことではなく、“ペーパードライバー向けの条件に設定し直す”こと。
たった数か所の見直しだけで 年間2〜4万円の差がつくケースも珍しくありません。
ここからは、実際に使える節約テクニックを分かりやすく解説していきます。
走行距離が少ない人向けの「走行距離区分割引」とは?

ペーパードライバーのように 「年間の走行距離が短い人限定」で保険料が安くなる割引制度 があることは、まだあまり知られていません。
この割引は保険会社によって呼び方が異なり、以下のような名称で紹介されています。
| 保険会社 | 呼び方の例 |
| ソニー損保 | 走る分だけ保険(走行距離区分) |
| イーデザイン損保 | 走行距離に応じた保険料算出方式 |
| SBI損保 | 年間走行距離で保険料が変わるプラン |
ポイント
「年間走行距離が3,000km未満」の人は特に有利。ほとんど乗らない人は、通常プランのままにしているだけで損をしている可能性があります。
どうやって申請するの?
加入時や更新時に「年間走行距離の目安」を選択する項目があります。
この選択を“適当に多めに設定”してしまう人が多いのですが、これが大きなムダの原因です。
ペーパードライバーなら「1,000km未満」など、最低区分で申請するのが最適
外せる特約と残すべき特約

ペーパードライバーの場合、保険を選ぶ目的は「頻繁な運転への備え」ではなく「たまに乗るときに起こる不安をカバーすること」です。
そのため、一般的なドライバー向けの標準パッケージをそのまま契約してしまうと、必要以上の特約が付いた状態になりがちです。
たとえば、長距離ドライブや旅行中のトラブルに備える「レンタカー特約」や「レジャー向けの追加補償」は、ほとんど運転しない人には過剰な内容になります。特に年式が古い車の場合、車両保険の補償額が車の時価と合っておらず、「保険料だけ高く、いざという時にはほとんど支払われない」というケースもあります。
一方で、対人・対物の基本補償や、示談交渉をサポートしてくれる弁護士費用特約は、ペーパードライバーほど残しておく価値があります。久しぶりに運転する人ほど事故後の対応に不安を感じやすく、交渉トラブルに巻き込まれた際に心強い支えになります。
また、駐車中の物損や当て逃げ被害に備えるロードサービス系の補償も、使用頻度に対してコストが小さいため、残しておいて構いません。
重要なのは、「頻繁に走る人向けの特約は外し、たまの運転でも助かる補償だけ残す」というバランスで最適化することです。これだけでも、保険料は大きく変わってきます。
保険料を下げるなら「運転者条件の最適化」がカギ

あなたは現在、保険の「運転者条件」を意識して設定しているでしょうか?
多くの人は保険会社にすすめられるまま、「家族全員が運転できる」状態で契約しています。しかし、実際には「自分だけが運転する」「配偶者だけが使う」など、運転する人が限られているケースがほとんどです。
もしそうなら、運転者条件を最適化するだけで、補償内容を削らずに保険料だけを下げることができます。「誰が運転するか?」——その設定を少し見直すだけで、年間の支払いは大きく変わります。
運転者限定(本人限定/家族限定)の設定見直し

自動車保険では「誰が運転するのか」を保険会社に申告する必要があります。このとき設定できるのが「運転者限定」です。
たとえば 自分しか運転しないなら「本人限定」、家族も運転する可能性があるなら「家族限定」を選ぶことで、保険料を大きく節約できるケースがあります。
では、どちらを選べば損をしないのでしょうか?
ポイントは 「本当に他の人が運転する可能性があるかどうか」。ペーパードライバーの方の中には、「基本的には自分しか乗らないけれど、念のため…」と広めの条件を選びがちですが、それでは余計な保険料を払っている可能性があります。
本人限定:自分だけが運転するなら保険料が最も安くなる 家族限定:同居の家族(配偶者・子ども・親など)が運転するならこちらが現実的ただし注意点もあります。たとえば、普段は自分だけしか運転しない場合でも「たまに夫(妻)に運転してもらう」「帰省時に家族が運転する」というケースがあるなら、本人限定にしてしまうと補償されないリスクがあります。
つまり――
「安さを取るか、安心を取るか」 を一度真剣に考えることが、保険料のムダを減らす近道と言えるでしょう。
年齢条件で保険料が激変する仕組み

自動車保険の「年齢条件」は、補償の対象となる最年少運転者の年齢で区切られます。
一般的には「全年齢」「21歳以上」「26歳以上」「30歳以上」「35歳以上」と段階があり、条件を上げるほど保険料は下がるのが基本です。なぜ下がるのか? 事故リスクが年齢とともに統計的に低下するため、保険会社はリスクの低い層に割安な料率を適用できるからです。
では、どう決めればムダがないのでしょう。カギは実際に運転する“いちばん若い人”。ふだんはあなたしか運転しないなら、年齢条件を高めに設定するだけで、想像以上の節約につながることがあります。
一方で、たまにでも「20代の子どもが運転する」「帰省中だけ弟が運転する」可能性があるなら、若い層が含まれる条件に合わせる必要があります。ここを間違えると、若い家族が運転して事故を起こしたときに補償対象外になりかねません。安さを優先しますか? それとも“たまの運転”の安心を取りますか?
更新のたびに、誰が実際にハンドルを握るかを具体的に想像してみてください。ペーパードライバーの人ほど「乗る頻度は少ないし高い条件でいいかも?」と思いがちですが、家族の運転予定が少しでもあるなら、補償の“すき間”を作らない設定が結果的に安心です。
逆に、運転者が完全に固定されているなら、年齢条件を一段上げるだけで年間コストを圧縮できる可能性が高まります。
【事例】ペーパードライバーが実際に保険料を下げたケース

ペーパードライバーの方の中には、「ほとんど運転しないのだから保険料はもっと安くできるのでは?」と感じている人も少なくありません。実際、運転者条件と年齢条件を見直すだけで、年間の保険料が大きく下がったケースがあります。
ここでは、30代女性のペーパードライバーが、前年よりも保険料を大幅に節約できた具体的な事例をご紹介します。どのような見直しポイントが有効だったのか、どこで判断が分かれるのか──リアルなケースを通して、ムダな出費を避けるための考え方をわかりやすく解説していきます。
年間走行距離1000km以下→保険料が半額になった例

ペーパードライバーの中には、「年に数回しか運転しないのに、通常の保険料を払っている」という状態の人が意外と多くいます。
今回の事例の女性も同じで、前年の年間走行距離はたった900km程度。それでも、保険の見直しをするまでは「一般的な使用目的・走行距離」として契約していたため、標準的な保険料が維持されたままになっていました。
そこで、契約更新時に「年間走行距離1000km以下(もしくは〜3000km区分)」の低走行プランに切り替えた結果──
保険料は前年の約50%まで一気に下がりました。
なぜここまで差が出るのか?
保険会社の多くは、「事故の発生確率=走行距離に比例する」という前提で料率を設計しています。つまり、乗らない人ほど割安になる設計になっているわけです。
それにもかかわらず、「走行距離の見直し」をしていないだけで、毎年ムダな保険料を払い続けている人が多いのが実情です。
一括見積もりで「ペーパードライバー向けプラン」が見つかった例
保険料を見直すうえで最も効率的なのが、一括見積もりサービスの活用です。
今回のケースでは、従来の保険を継続するのではなく、試しに複数社の見積もりを一度に比較したことで、「ペーパードライバー向けの低走行プラン」を提示してくれる保険会社が見つかりました。
見積もり結果一覧には、一般的なプランに加えて──
「年間走行距離が短い方向け」「ほとんど運転しない人専用の割引」
といった、これまで意識したことのないプラン名が並んでいたのです。
これは、公式サイトや個別の保険会社では気づきにくいポイントです。というのも、「ペーパードライバー向け」という言葉を前面に押し出している保険会社は少ないため、一括見積もりで横並びに比較することで初めて見えてくる情報だからです。
結果として、ペーパードライバー向けの割引に対応している保険会社を選んだことで、前年よりも保険料がさらに下がり、「走らないなら、その分安く」という理想的な契約内容を実現できました。
実際にどれぐらいの保険料が下がったのか(数字で比較)
一括見積もりで「ペーパードライバー向けプラン」が見つかり、さらに 走行距離1,000km以下の区分 を選んだ結果、年間の保険料は以下のように変化しました。
| 項目 | 見直し前(前年契約) | 見直し後(今回の契約) |
| 運転者条件 | 家族限定+全年齢 | 本人限定+26歳以上 |
| 年間走行距離区分 | 指定なし(標準) | 1,000km以下専用プラン |
| 年額保険料 | 約58,000円 | 約29,000円 |
| 削減率 | — | 約50%OFF(-29,000円) |
「こんなに変わるものなの?」と感じるかもしれませんが、ペーパードライバー・低走行・実質一人しか運転しないという条件がそろっている人にとっては、これは決して珍しい数字ではありません。
むしろ、「何も条件を指定しないまま更新していたこと」が、高い保険料の原因だったと言えるでしょう。
まとめ|ペーパードライバーこそ保険の見直しで節約効果が大きい

ペーパードライバーの多くは「年間数回しか運転しないのに、普通の保険料を払っている」という状態になりがちです。しかし、実際の使用状況に合わせて条件を最適化するだけで、保険料は大きく下げられる可能性があります。
特に、今回の事例のように──
本人しか運転しない → 運転者限定で割引走行距離が極端に少ない → 低走行プランで割引
年齢条件を適正化 → 無駄な補償範囲を削減
こうした3つの最適化ポイントを組み合わせるだけで、年間の保険料が半額になることも十分あり得ます。
「ほとんど乗っていない」「契約内容をなんとなく更新している」──
もしそう感じているなら、ペーパードライバーであることを逆に“有利な条件”として活かすべきです。一括見積もりや条件見直しを行うだけで、あなたにも同じ節約効果が期待できます。


「たまにしか車に乗らないのに、毎月の保険料だけはしっかり取られている気がする…」
そんなペーパードライバーの不満は実はとても多く、「ほとんど走らないなら、もっと安くできないの?」という声は年々増えています。
結論から言うと、ペーパードライバーでも自動車保険は必要です。ただし、選び方次第で“乗る人の半額以下”まで保険料を下げられるケースもあります。
では、どの補償を残し、どこを削れば無駄なく安心を確保できるのか?この記事では、「たまにしか運転しない人専用」の保険選びのコツを、初心者でも理解しやすいように整理して解説していきます。