ルノー メガーヌR.S ウルティム (BBM5P2)【試乗記】|フランス産のホットハッチは賛否両論!

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僕には、以前から気になっていた車があった。

ルノー メガーヌR.S(BBM5P2)である。職場の行き帰りの通勤途中で走っているのを見かけたりしていて、「やたら乾いた良い音の排気音だな!」と感心していた。

最近、同じ職場の人がこのクルマを購入した。ただ、その人と話したことも無く親しくもない(結構、人見知りです)ので、乗せてもらいたいと頼む勇気もない。

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そこで、以前に別のハイブリッドカーを試乗させて戴いた自宅の近隣にあるルノーのお店に試乗を申し込みました。既にこのクルマは、生産が終了しており、現在庫限りで販売が終了するとのこと。

これは、乗っておかなければ!ということで、今回の試乗に至りました。

ニュルブルクリンク北コースでの量産FF車最速の実績を持つパワフルな走りを実感!

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細かい理屈はとりあえず置いといて、とにかくパワーがあって速いクルマでした!

ニュルブルリンク北コースでの量産FF車最速の実績は伊達てはないと感じました。パワー感は凄い!この項目では、メガーヌR.Sウルティムを試乗して、良かったところをお話しました。

1.8L直列4気筒4バルブ直噴ターボエンジンの圧倒的パワーを体感!

アイドリング時や、通常のスピードで先行車に続いて巡行している際は、とても落ち着いていて静かなエンジンなのだが、一旦アクセルを強く煽ると、前輪がホイールスピンをして、強いGで前に押し出される。

市街地での試乗なので、6,000回転も回せないのが残念なのだが、僕の過去の車遍歴の記憶から、300ps(221kW)のエンジンパワーのある車であると実感できた。

試乗のあとでカタログを見ると、ターボのタービンにはセラミック製のボールベアリングが使用されていると言う。これは、タービンの主軸用のベアリングが800℃を超す超高温の排気ガスを動力源とするタービンに使用されることから、20万回転を超える超高速回転に耐えなければいけない。

そのことから、従来では自動車に使用されるターボチャージャーの多くには、過酷な環境に強いオイル潤滑ベアリングが採用されてきた。

ただ、それはオイル潤滑ベアリングの構造上、加減速時の摩擦抵抗が大きく、アクセルを踏み込んでから加給が効き始めるところまでタイムラグが生じ、加速の鈍さを感じたドライバーは、必要以上にアクセルを踏み込んでしまうことから、燃費の悪化を招いていたようだ。

これらの問題を解決するために、重量が軽いために発熱量が少なく、高速回転に適しているセラミック製ボールベアリングが採用されたようなのである。

過去にハイパワーな車に乗ってきている僕からしたら、決して猛烈な加速をするモンスターパワーの車ではないが、いざアクセルを強く踏み込むと、強いパワーで車を前に押し出すだけの力のあるエンジンだと感じた。フランス版ホットハッチといったところだろうか。

 

乾いた排気音が最高!スポーツエキゾースト(アクティブバルブ付)の音は脳から汁が出る!

何より気持ちが良いと感じるのが、アクセルを強く煽ったときに、背後から感じる乾いたエキゾーストノートだろう。乾いた排気音が最高である!この音こそが車好きが好む音なのである。

アイドリングでの音ではあるが、乾いたサウンドを聴いてみて戴きたい。

 

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この乾いたサウンドは、メガーヌR.S ウルティムに装備されているスポーツエキゾースト(アクティブバルブ付)の機能だ。

中央マフラーの代わりに、2つの排気ルートを構成するメカニカルバルブが取り付けられ、バルブが閉じられると、中周波数を最適化、低周波数を除去し、特別に設計された経路に排気を送り、バルブが開くと流動抵抗が小さくなるため、排気をより直接的な経路に沿って送り込むことで、エンジンの能力をフルに発揮させ、気持ちの良いサウンドを奏でるのである。

実に上手に考案されたメカニズムではないか!

 

まるで「ON THE RAILS」(オン・ザ・レール)!実によく曲がる4コントロール

狭い市街地の道路を走っていて気づいたのは、狭いカーブや交差点でもよく曲がるクルマであるということだ。狭い箇所の左折でも、内輪差を考慮して逆ハンドルを切る必要が無いのが嬉しい。

これの秘密は、「4コントロール」にあった。四輪操舵である。四輪操舵は、僕が若い頃から国産車にも採用されているシステムなのだが、昔のシステムに比べ、圧倒的な進化を遂げている。

それは、時速60km未満の低速走行では、後輪を前輪とは逆の方向に向ける。そして、時速60km以上の高速走行では、4つの車輪がすべて同じ方向に向けられ、コーナリングでの安定性を高める仕組みである。

この4コントロールは、市街地でも高速域やサーキット走行でも、そのメカニズムの恩恵を存分に発揮しているのだ。

 

洗練された上質なインテリア!大人のホットハッチ

インテリアは、ホットハッチと言えど、とても洗練されていると感じた。

運転席と助手席には、アルカンターラ生地をあしらったRECARO製フロントバケットシートはホールド性抜群である。それに、後部座席のシート生地もアルカンターラなのだろうか?とても手触りが滑らかで心地よい。

アルミ素材を使用したアクセルとブレーキペダルはスポーツカーならではである。

カーボン調素材とレッド&グレーステッチが配されたスポーティーなインテリアは、決してガチャガチャした子供っぽい雰囲気ではなく、本当に大人のホットハッチといったような上品なイメージを醸し出している。

 

賛否両論!ドライブしてみるとわかるメガーヌR.S ウルティム(BBM5P2)の乗り難さ!


ライター

試乗の時間は20分ぐらいだったのですが、時間が経つにつれて、このクルマの難点がわかってきました。

世界限定1,976台と、決して多いとは言えない生産台数なのに、生産がストップされ、在庫を販売したら販売終了となっているこの時期になぜ、まだ多くの台数が売れ残っているのか?

もう、生産終了のクルマなので今更言ってもアレですが、サーキット専用の競技車両だという印象でした。

突き上げが酷い!硬すぎるサスペンション

まず、ドライブしてみて驚いたのだが、スピードが低速な市街地にもかかわらず、サスペンションが硬すぎるのである。

ほんの少しのギャップなのに下からの突き上げが凄いのだ!過去に足回りを固めたチューンドカーに乗っていたことがある僕でも、驚くほどのサスペンションの硬さなのである。突き上げどころか、少しのギャップでハンドルを取られてしまうほどなのだ。

これは、社外品の車高調整式のダンパー&スプリングを取り付けた車であっても、あり得ないようなハードな硬さなのだ。最近の車高調整式のサスペンションは、もう少しマイルドに出来ていると言う。

この硬さは、サスペンション全体よりも、かなりバネレートの高いコイルスプリングを入れているのではないか?という感じの足の硬さのように思える。

これは、サーキットを走るクルマであって、決して市街地で乗るクルマではないとつくづく感じてしまった。実際にこれを購入した方は、あまりの硬さに戸惑ってしまうかもしれないが、コイルスプリングだけでも、もう少しバネレートが低めのものに交換すれば解決するのではないだろうか?

あとでカタログを確認してみると、やっぱりというか、「サーキット走行を重視したシャシー」と書かれてある。

スプリングレート、アンチロールバー、ダンパーをハードな方向に振り、ロールを最小限に抑えることでコーナリングスピードの向上に貢献しているということなのだ。

以前に試乗したルノーのハイブリッドカーのルーテシアは、とても乗り心地の良いサスペンションだった。それとはまったくテイストが違う。

【ハイブリッドカーの試乗】(ルノー ルーテシア E-TECH-FULL-HYBRIDの試乗記)走り・加速・燃費の三拍子そろったコンパクトハイブリッド

これには、賛否両論あると思う。この硬さが好きで分かった上で購入する人、試乗せずに購入してみたが、いざドライブしてみて、あまりの硬さに驚く人もいるだろう。この硬さが好きで購入した人も、実際に所有してみて長い間乗ってみると、足回りの硬さにうんざりしてしまうかもしれない。

勘違いしないで戴きたいのは、決してけなしているのではない。こういうのが好みだというユーザーもいるから売れているのだ。

ただ、これだけははっきりと言えるのは、街乗りを想定したサスペンションではないということだろう。

 

リヤサスペンションは独立懸架にしてほしかった!

サスペンションの硬さは前述したとおりだが、せめてリヤサスペンションは、ダブルウィッシュボーンやマルチリンクなどの独立懸架式にしてほしかった。そうすれば、ギャップを踏んだときに跳ねるのを改善できたのではないか?

リヤサスペンションがトーションビームなのだ。同じようにニュルでFF最速を記録した車に、シビックタイプR(FK8)があるが、それもトーションビームだ。

しかし、シビックタイプR(FK8)の場合は、トーションバーにパイプをつぶして成形するクラッシュドパイプを用いることでロール剛性を飛躍的に向上させている。さらにトーションビームにすることで、スタビライザーを不要として軽量化も実現したほか、トレーリングアームのブッシュを高硬度にし、接地点横剛性を高めてトー変化を抑制している。

勿論、トーションビームが悪いということではない。トーションビームのメリットは、パーツの少なさからして車両の軽量化にとても貢献することだし、最近はホンダのように、トーションビームの良さを活かした足回りも出てきた。

ただ、メガーヌR.Sのトーションビーム採用の理由は何なのだろうか?独立懸架式にはできなかったのだろうか?理由を知りたいが、わからずじまいである。

 

試乗車の情報

トランスミッション:6AT
ボディカラー:ジョン シリウス M

Renault Megane R.S Ultim(ルノー メガーヌR.S ウルティム) ギャラリー

 

Runault Megane R.S Ultime(ルノー メガーヌR.S ウルティム)主要諸元

型式:7BAーBBM5P2
車両重量(kg):1,470(EDC)
燃費     :11.3
市街地モード :8.0
郊外モード  :12.0
高速道路モード:13.0

最小回転半径(m):5.2

[エンジン仕様詳細] 型式:M5P
総排気量:1,798
種類:水冷直列4気筒横置
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
内径×工程:79.7×90.1
最高出力(ネット)kW(PS)/rpm.:221(300)/6,000
最大トルク(ネット) N・m(kgf・m)/rpm.:420(42.8)/3,200
燃料タンク容量(L):47

[車両寸法・定員] 全長×全幅×全高(㎜):4,410×1,875×1,465
ホイールベース(㎜):2,670
トレッド フロント/リヤ(㎜):1,620/1,600
最低地上高(㎜):明記なし
室内(長さ×幅×高さ)(㎜):明記なし
乗車定員(名):5

[足回り/ブレーキ/駆動方式] サスペンション(フロント):マクファーソンストラット式コイルスプリング
(リヤ)  :トーションビーム式コイルスプリング
ブレーキ(フロント/リヤ)   :油圧式ベンチレーテッドディスク/油圧式ディスク
駆動方式                           :FF(前輪駆動方式)

メーカー希望小売価格:6,590,000円(税込)

 

まとめ

ライター

いかがでしたでしょうか?

今回のお話は、大まかに言って、

ニュルブルクリンク北コースでの量産FF車最速の実績を持つパワフルな走りを実感!
賛否両論!ドライブしてみるとわかるメガーヌR.S ウルティム(BBM5P2)の乗り難さ!
Renault Megane R.S Ultim(ルノー メガーヌR.S ウルティム)のギャラリーおよび主要諸元

でしたね。

メガーヌR.S ウルティム(BBM5P2)は、想像以上に速いクルマでした。ニュルでFF最速の記録を持つだけあると思いました。それだけに、販売終了となってしまうのは、少々残念な気もしますが、また日本市場向けに良いスポーツカーを開発してくれることを期待しています。

実は、このクルマは、現在庫限りで販売終了になるようです。2024年11月の時点でまだ、少し在庫が残っているようですので、興味がある方は、是非試乗してみて、気に入れば早めに購入されると良いでしょう。

この記事が参考になれば幸いです。

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