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LEXAS IS300(ASE30)F SPORTを試乗した。
なぜ?いまさらLEXASなのか?と言われそうだが、昨今の国産車の事情は、僕からすると悲しい現実がある。
プレミアム小型セダンのジェントルな走りと乗り心地
グレード:IS300 F SPORT
ボディカラー:ホワイトノーヴァガラスフレーク
プレミアムメーカーの小型セダンは、期待を裏切らない、質感の高い走りと乗り心地でした。
とにかく、高級セダンはこうでないといけないと思いました。IS300 Fスポーツ(ASE30)の試乗レビューです。購入したいとお考えの方は、参考にして戴ければ幸いです。
マイルドでジェントルな走りは、ダウンサイジングターボの持ち味か!?
IS300 Fスポーツ(ASE30)のエンジンは、直列4気筒DOHCインタークーラーターボなのだが、今更ながら当然ではあるが、ひと昔前のターボカー独特のドッカンなフィーリングの爆発的な加速は無い。
近年主流になってきている「ダウンサイジングターボ」といった、排気量の小ささによるパワー不足をターボの加給によってカバーするという手法である。
ベタ踏みに近いぐらい強くアクセルを踏み込まない限り、爆発的な加速はしない。あくまでもマイルドでスムーズなのだ。でも、マイルドでありながらも、フロントグリルの奥を覗けば、大型のインタークーラーが装着されているのがわかる。
若かりし頃、ハイパワーなターボカーを乗り継いできた僕はそうではないのだが、このようなテイストを好むユーザーは、意外と多い。安全であり、それでいて楽しく乗れる仕様なのである。助手席に乗る人も安心して乗っていられるだろう。
やっぱり、プレミアムメーカーの小型セダンのLEXUSなのだから、どこまでもマイルドでジェントルなのである。
大径タイヤ&ホイールでありながら、マイルドな乗り心地はサスペンションが優れているから!
IS300 Fスポーツ(ASE30)は、大径のホイールとタイヤを履いている。各サイズは下記の表のとおり。
リム径 | オフセット(インセット) | リム幅 | P.C.D | 穴数 | ハブ径 | タイヤサイズ | |
フロント | 19インチ | +45㎜ | 8.5 | 114.3㎜ | 5穴 | 不明 | 235/40R19 |
リヤ | +60㎜ | 9.5 | 265/40R19 |
パワーの割には、相当のワイド&低扁平のタイヤ&ホイールなのである。これぐらいのサイズだと、乗り心地は相当ハードになりがちだし、ちょっとした路面のギャップを踏んだら、強い突き上げ感があるのだが、乗り心地はマイルドでスムーズなのである。
とにかく乗り心地が良い!ここはやっぱりプレミアムメーカーの車づくりだね!と思うところだが、これはサスペンションが良い仕事をしている。
サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リヤがマルチリンク式の設定でかなり贅沢なチョイスになっている。フロントとリヤの両方に独立懸架式のサスペンションを採用している例は、スポーツカーでも意外と少ないものなのだ。
サスペンションが前後とも独立懸架式になっているだけではない。これはレクサスの多くの車種で採用されていて話題を呼んでいるが、ヤマハ発動機が開発した「パフォーマンスダンパー」の影響が大きいだろう。
このパフォーマンスダンパーが最初に採用されたのは、2001年に限定300台で発売された「トヨタ クラウン アスリートVX」である。それ以降、多くの車種に採用されており、このIS300 Fスポーツ(ASE30)には、フロントのみに採用されている。
コンパクトセダンとは呼ばれてはいるものの、2800㎜もあるロングホイールベースの長い車体をドライバーのストレスを軽減して曲げるには、このパフォーマンスダンパーが大きく貢献しているように思う。
このパフォーマンスダンパーに関しては、別記事で上げるようにしたいので、詳しいことは、添付の動画を見て戴きたい。
ハブボルト締結構造の採用により、高い操舵フィールと質感の乗り心地!
LEXUSの多くの車種で採用されているのが、ホイールとハブベアリングの締結を、ハブナット締結からハブボルト締結に変更していることだ。
このIS300 Fスポーツにも採用されている。
これによって、高剛性化とバネ下重量の軽減になり、操舵フィールが向上し、質感の高い乗り心地に貢献している。
IS300 F SPORT(アイエス300 エフ・スポーツ)の良いところ、残念なところ
僕が試乗したIS300 Fスポーツ(ASE30)には、「ここはいいね!」というところもあれば、「ここは残念ポイントだな!」と思うところもあります。
僕の偏見的な意見かもしれませんが、試乗してみて正直な感想を述べさせて戴きました。
ワイド&ローのフォルムはスポーツセダンのお手本だ!
IS300 Fスポーツ(ASE30)の外観は、「ワイド&ロー」のフォルムが前モデルに比べてより強調されており、スポーツセダンらしさが車全体から醸し出されている。
ヘッドライトは、L字型のポジションランプの下に薄型のハイ&ロービームのLEDヘッドランプを配置して横長の目になっている。
フロントフェンダーは大きく膨らみ、ドアパネル下からリヤにかけては、まるでサイドフィンを付けたような流線型のフォルムを纏っている。そしてリヤビューは、バンパーを大きく膨らませて低重心なスタンスを強調している。
とにかく、「立ち姿」がとても良いのだ。僕は、今までの車を見た経験上、速そうな車はその立ち姿で判断している。立ち姿こそが車の命だと思うのだ。
質感が高く、洗練されたインテリア
インテリアは、とにかく上品で洗練されていると感じた。
ひと昔前の高級セダンのように、本革シートと木目パネルの組み合わせのようなギラギラしてケバケバしい内装とは一線を画す。
専用本革シートも、ディンプル加工した本革ステアリングと本革シフトノブも、あくまでもさりげない演出をしている。本当にプレミアムセダンという表現がピッタリなのだ。
乗る人を選ぶクルマこそがLEXUSだということだろう。
出来れば6気筒にこだわってほしかった!
一つだけ僕が残念に思うのが、エンジンである。
プレミアムセダンであれば、6気筒にこだわってほしかったのが正直な感想だ。上級グレードのIS500(USE30)とIS350(GSE31)がV型8気筒とV型6気筒であり、残りのグレードはハイブリッドモデルを含めてすべて4気筒なのである。
「昔は…だった」と言っても仕方ないのだが、排気量が2.0L以上であれば、6気筒がほとんどだったのだ。
同じ2.0Lエンジンでも、4気筒と6気筒では、エンジンフィールが全く違う。音、振動の少なさ、スムーズな吹き上がり、高速域での回転の伸びなど、フィーリングの良さは6気筒に軍配が上がる。ダウンサイジングターボも選択肢の一つかもしれないが、2.5L~3.0Lの自然吸気(NA)のエンジンにしてほしかった。
これは、車の詳しい方であればご存じであると思うが、どのメーカーも今、6気筒モデルがかなり減少している。理由としては、クラッシャブルゾーンの確保に6気筒では不利だということと、FF車に搭載しにくいといったデメリットはあるものの、どこか納得がいかない。
これは、僕の概念かもしれない。プレミアムセダン=6気筒+FR(後輪駆動)という概念が強いのだろう。
LEXAS IS300 F SPORT ギャラリー&主要諸元
LEXAS IS300 F SPORT ギャラリー
LEXAS IS300 F SPORT 主要諸元
[LEXAS IS300 F-SPORT 主要諸元] 型式:3BA-ASE30-BEZLZ車両重量(kg):1,640
車両総重量(kg):1,915
燃費 :12.2
市街地モード :8.8
郊外モード :12.0
高速道路モード:14.7
最小回転半径(m):5.2
[エンジン仕様詳細] 型式:8AR-FTS総排気量:1,998
種類:直列4気筒インタークーラー付ターボ
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
内径×工程:86.0×86.0
最高出力(ネット)kW(PS)/rpm.:180(245)/5,200~5,800
最大トルク(ネット) N・m(kgf・m)/rpm.:350(35.7)/1,650~4,400
燃料タンク容量(L):66 [車両寸法・定員] 全長×全幅×全高(㎜):4,710×1,840×1,435
ホイールベース(㎜):2,800
トレッド フロント/リヤ(㎜):1,580/1,570
最低地上高(㎜):130
室内(長さ×幅×高さ)(㎜):1,945×1,500×1,160(ムーンルーフ装着車は1,115)
乗車定員(名):5 [足回り/ブレーキ/駆動方式] サスペンション(フロント):ダブルウィッシュボーン式(スタビライザー付)
(リヤ) :マルチリンク式(スタビライザー付)
ブレーキ(フロント/リヤ) :ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
駆動方式 :FR(後輪駆動方式)
トランスミッション:8・speed SPDS(電子制御8速オートマチック)
メーカー希望小売価格:5,360,000円(税込)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のお話は、大まかに言って、
●プレミアム小型セダンのジェントルな走りと乗り心地
●IS300 F SPORT(アイエス300 エフ・スポーツ)の良いところ、残念なところ
●LEXAS IS300 F SPORT ギャラリー&主要諸元
でしたね。IS300 Fスポーツ(ASE30)は、スポーツセダンらしい車だという印象は想像通りでした。エンジンが4気筒というのは少し残念ではありますが、今の車を取り巻く環境の厳しさであれば、仕方ないのかもしれませんね。
でも、LEXASには、これからもカッコいいセダンを造り続けて欲しいと願っています。
昨今の国産車の悲しい現実とは、
・生粋の4ドアセダンの減少&不人気
・FR(後輪駆動)の減少
・6気筒の減少
があります。とても悲しいです。
そこで、日本のプレミアムメーカーのセダンは今どのようなものなのか?確認も含めて試乗に行ってきました。